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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第62話 神経質な教会

 神官見習いとして最西国で生活を始めたアメリア。とはいえ、他の神官や神官見習いたちからはすぐに怪しまれることとなった。

 それというのは、聖女の補佐であったタビラがそばについているためである。

 タビラの地位は、司教、聖女に次いで第三位という実に高い地位にある。そんなタビラが、神官見習いに専属としてくっついているのだ。誰だって怪しむというものである。

 当然ながら、アメリアもその周りからの視線に気が付いている。

 ところが、当のタビラはまったく気にしていない。気にしていないどころか実に堂々としている。そう、それはそこにいるのが当然といったような態度なのだ。


「タビラ様、なぜ神官見習いについていらっしゃるのですか」


 他の神官からこんな言葉が飛んでくる始末だ。


「この方は、大神殿の中で最も神聖力の強い神官見習いでございます。そのような方を大神殿からお借りしてきたのです。でしたら、私が面倒を見るというのは当然ではないのですか?」


 タビラは、文句を言ってくる神官にそう返すものの、全員を納得させるのは難しいものだ。

 アメリアに対して敵対心むき出しの言葉を投げかける上に、タビラにも罵詈雑言(ばりぞうごん)が飛んでいく。はっきりいって、教会で神に仕えるものとして失格ともいえる態度だ。

 しかし、こんな風になってしまうのにも理由はある。

 それがいわずもがな、最西国からの圧力だ。

 聖女であるニシアを失ったことで平常心を失ってしまった最西国は、教会に対して結構な無理難題を吹っかけるようになっていた。そのことで国と教会の間に軋轢が生じており、神官もこの通りに余裕を失ってしまっているという。

 この状況は看過できたものではないが、ここでアメリアのことを聖女だと明かせば、どこから最西国に話が漏れるか分からない。そうなると使い潰されたようになってしまったニシアの二の舞になりかねないのだ。なので、タビラはぐっとこらえている。

 それを黙って見ていられるアメリアではない。

 前世ではそうでもなかったのだが、今世は慈悲の女神マーシエスの加護を受けていることもあってか、かなりお人好しになっている。困っている状況を放っておけないのだ。


「みなさん、落ち着いて下さい」


 アメリアは両手を組んで軽く祈りを捧げる。

 その瞬間、アメリアから光の粒が舞い散り、文句を言っていた神官たちを黙らせていた。

 軽く祈っただけでその場に祝福が起きたのである。


「こ、この力は……」


「まるで、聖女様のようだ……」


 神官たちは、亡くなられたばかりの先代聖女であるニシアのことを思い出している。

 直にこの現象を見た神官たちは、先程までのアメリアとタビラに対する罵詈雑言をやめている。


「こ、これは失礼致しました。確かにこの方は力を持っておいででございます。ひ、非礼をお詫び申し上げます」


 さっさと態度を改めている。この人たちは冷静さを取り戻したようだし、力を認めるだけの余裕があるようだった。


「分かって下さればいいのです。とにかく現状は、中央の大神殿からお越しいただいたこの方を私は支えることになっております。あまり失礼の内容にしてくださいね」


「はい、承知致しました」


 神官たちはタビラの言葉を受け入れていた。

 これでアメリアの生活は少しはマシになるかと思われたのだが、そう簡単にいくわけがなかった。

 まだまだアメリアに対して懐疑的な神官はいるわけだし、それよりもなにも、アメリアには気になって仕方のない存在がいた。


「じー……」


(ま、また見ていらっしゃいますね。確か、リオンとか言いましたっけ。今年で13歳。私と同い年の神官見習いですよね)


 そう、アメリアを見つめるリオンという神官見習いである。

 神官というのは忙しい職業だ。見習いであれば、神官の補佐には入るし、神殿の雑用もかなり回される。

 それだというのに、リオンという少年はしょっちゅうアメリアのことを眺めている。

 ただでさえニシアが亡くなったことでピリピリしている教会の中。このようなさぼりにも等しい行為が許されるのか。否、許されるわけがなかった。


「こら、リオン。そこで何をしているんだ」


「わわっ!」


 神官に見つかり怒鳴られると、リオンはどこかへと走り去ってしまう。

 まったく、規律の厳しい教会の中で、かなり自由に過ごしているようである。

 同じ神官見習いであれば、アメリアも雑用はかなり免除してもらっている。ただ、アメリアの場合は、実態が聖女なので当然というものだ。

 だが、このリオンはまごうことなき神官見習いである。こんな状態でよく破門にされないものだと、アメリアは困った表情でリオンのことを見ている。


 アメリアの最西国の教会での生活はこんな感じである。

 神官から見習いのくせに生意気だと文句を言われれば、神聖力を見せつけて黙らせるという状況が最初は繰り返された。

 それも段々と収まっていくというのに、リオンがのぞきに来るというのはまったく解消されないでいる。

 とはいえ、軽々に異性との接触は許されないので、アメリアは黙ってその様子を見守り続けている。

 最西国の教会でうまくやっていけるのだろうか。ちょっぴり不安に思うアメリアなのであった。

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