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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第6話 神殿暮らしの始まり

 大司教との挨拶を終えたアメリアは、聖女候補の部屋へと連れていかれる。

 やってきたのは、大神殿の中ではなく、その外側に建てられた同じ石造りの建物だった。グイードの説明によれば、40名ほどの聖女候補が世界中より集められているとのこと。アメリアもその中の一人としてしばらくの間、神殿で暮らすことになる。

 聖女となれなかった聖女候補も、能力があるということで、選定が終わった後にはそれなりの要職に就くことになるのだという。

 そうやって連れてこられた、聖女候補たちの詰め所。部屋は畳四枚ほどの広さしかない。ベッドと机があるものの、それ以外にはこれといった置き場のない実に殺風景な場所だった。これならば、あの小さな片田舎の教会の方が部屋は広かった。


(座って半畳、寝て一畳とは言うけれど、これはまた質素極まりない部屋だわね)


 さすがのアメリアも、驚きを隠せない様子である。


(そういえば、前世に存在した宗教の中には、同じように苦行を行うという話は聞いたことがあるわね。これもそういうことなのかしら)


 このことを思い浮かべたアメリアは、意外とすぐに、この程度なんてことないと考えることにしたようだった。

 ただ、前世と比べれば娯楽はまったくというほどにない。ただ、転生してからの人生の中でそういった生活を送ってきているので、どちらかといえば慣れたものだろう。どうにかなるでしょうというのがアメリアの見解だった。

 加えてアメリアの支えになっているのは、夢の中で女神マーシエスから告げられた、聖女になれば前世の恋人と再会できるという言葉だ。

 そう、恋人と再会できるということは、前世の約束を果たせるということである。


(どんな姿に転生しているのか分からないけれど、私はきっと見つけ出して幸せな家庭を築くのよ)


 気持ちを切り替えたアメリアは、荷物を置いて狭い部屋の中で気合いを入れている。


 しばらくすると、部屋のドアがノックされる。


「はい、どちら様でしょうか」


 狭い部屋なのですぐに反応ができてしまう。

 神殿の敷地の中なので、あまり警戒をする必要はないだろう。アメリアはすぐにドアを開けている。

 そこに立っていたのは、神殿の若い女性。彼女はどうやら神官見習いのようである。


「アメリア様ですね。グイード様のお申し付けで、当神殿で生活する間の修道着をお持ちいたしました。こちらにお着替えになりましたら、神殿の礼拝堂へとお越し下さいませ」


「分かりました。えっと、礼拝堂の位置は、どちらでしたっけ?」


 了承をしたのはいいものの、アメリアはすぐさまに礼拝堂の位置を聞いていないことを思い出して、女性に尋ねている。


「礼拝堂は、神殿を入ってきてすぐ正面にある部屋でございます。それでは、すぐにご支度下さい」


 女性からは淡々とした答えが返ってくる。仕事だからしょうがないのだろうが、ちょっと味気なさを感じるアメリアなのである。

 できれば仲良くはなりたいものだけれど、これから聖女見習いとして修業を行うとあれば、そういうことはできないと割り切るべきだ。アメリアはさっさと気持ちを切り替えることにした。

 部屋のカーテンを閉めて、アメリアはさっさと服を着替える。

 見習いの神官の女性が持ってきた服装は、今のアメリアの体に程よい感じで合っている。少しだけ大きいようだが、この程度なら誤差の範囲だろう。

 服を着替えて、アメリアは部屋から出てくる。


「お待たせいたしました」


 部屋を出てくると、自分で向かうようにといっていたはずの女性が外で待っていた。おそらく、アメリアが小さいので待っていてくれたのだろう。

 ところが、女性はアメリアの慎重に合わせて少しかがんできた。どうしたのだろうか。


「服が曲がっています。慌てて着たのでしょうが、こういう場所では服の歪みも信仰心の足らなさと受け取られる可能性があります。いかなる時もきちんと身につけて下さい」


「はい、分かりました。申し訳ございません」


 注意を受けたアメリアは、素直に謝罪している。

 しかし、女性はアメリアをそれ以上叱ることはなかった。


「服の着用の仕方について説明を何もしていませんでしたものね。その状態でよく着替えられましたよ。はい、これでよしっと」


 女性は乱れていたアメリアの服装を正すと、立ち上がって手を差し出してくる。


「それでは、ご案内致します。別に一人で向かわせろとは指示されてはおりませんでしたのでね」


 どことなく女性の中に照れくささを感じたアメリアは、女性に向けてにこりと笑顔を向けている。

 すると、女性はちょっと顔をそらして頬を指で触り始めていた。その姿を見たアメリアは、なんだか微笑ましくなってなんだか楽しくなってきてしまったようである。


 こうしてアメリアは、神官見習いの女性に連れられて再び神殿へと戻っていく。

 礼拝堂には、自分と同じように世界中から集められた聖女見習いが集まっているらしく、そのことを聞いたアメリアは、どのような人たちが集まっているのかかなり興味がわいているようだ。

 これから始まる聖女を選定するための共同生活。

 おそらくはつらいものになるだろうが、乗り越えた先にある希望のためにも、アメリアはしっかりと前を見つめるのであった。

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