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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第59話 長い旅路

 翌日、アメリアは朝の祈りを終えて、食事を取り、砦を出発する。

 ポーラリア王国を出たわけなのだが、こうして入った国は、よりにもよって最西国ではない。そう、間に別の国挟まっているのだ。

 最も西の国と名乗るだけあって、まだ先は長い。ただ、最西国というのが、大陸の西端なのか、世界の最も西なのかは分からない。だが、陸続きであるので、間違いなく大陸の西端であることは間違いなさそうだ。


「アメリア様、最西国へはもう一度国境の砦を通り抜けることになります。まだ先が長いですが、耐えて下さい」


「はい。実はポーラリアから出たのが初めてですので、そこは心配ないと思います。新しい土地というだけで、楽しくなってきますから」


 タビラの心配をよそに、アメリアはにっこりと笑っている。

 馬車の中にはアメリアとタビラの二人しかいない。

 用心棒として同行することになったソノは、御者の隣に座っている。馬を新たに確保できなかったのでしょうがない。

 なんとも不愛想な感じのソノに対して、御者はどことなく怯えているようだ。


 そんなこんなで、ポーラリア王国と最西国との間に挟まった国を、馬車がゆっくりと抜けていく。

 かなり横長の国のようで、七日間馬車で移動しても、まだ抜けるような気配はなかった。


「意外とこの国を抜けませんね」


「ここはかなり横に長い国になっています。それというのも、南北を山に挟まれた国となっていますからね。山に挟まれたような場所は、魔族の巣窟になることがございます。それを懸念した聖女様によって、ここにも国ができたのです」


「そうなのですね」


 タビラの説明を聞いて、アメリアは驚いた表情をしている。今までそのような歴史を習ってこなかったからだ。


「それで、この国の聖女様は、現在はいらっしゃるのでしょうか」


 気になったアメリアが質問をするものの、タビラは暗い顔をして首を横に振るだけだった。どうやら、すでにこの国の聖女は亡くなっているようだ。

 だからこそ、アメリアが最西国の聖女となったのである。それだけこの西側が重要ということなのだ。

 御者台に座るソノの耳にもその話は聞こえている。

 魔王である彼にとっても、今の話はかなり有益な話だ。

 今現在通っている場所を落とせば、大神殿とアメリアが就任する最西国に挟まれるとはいえ、対人間の攻略を行う上で充当な拠点となり得るからだ。

 だが、どういうわけかソノはあまり興味を示すような雰囲気ではなかった。


(確かに重要な立ち位置になりそうだが、この場に駐留させる魔族をどうやって説得するか。具体的に作戦を詰めねば、実行に移すのは難しいだろう。ならば、捨ておいた方がいい)


 そんな感じで、すっかりどうでもいい場所となってしまったようだった。

 魔王であればすぐに奪いにかかりそうなものではあるが、ソノはそれよりもアメリアの方が気になっているようである。


(あの時もそうなのだが、どうして余はこの聖女をここまで気に掛ける。急性魔力欠乏症にかかった時だって、放っておけば余たちの脅威になる前に葬れたものを……。どうも最近の余は、自分でも分からん状態になっているようだ)


 両腕を組んだ状態で、大きなため息をついている。御者台という場所にいるために、足は組んではいない。一応護衛という任に就いているので、いつでも動けるようにしているのだ。

 だが、その胸中はかなり複雑な模様。魔王もいろいろと大変なのである。


 そうしている間に、長い長い隣国の旅が終わりを迎えようとしている。

 隣国に入って八日目の昼過ぎのこと、目の前に最西国へとつながる関所が見えてきたのだ。

 もちろん、話に合った通り、関所の脇には山が連なっている。

 ようやく自分が聖女として赴任することになる最西国に到着したのだ。その時のアメリアは、かなり緊張した面持ちを浮かべている。

 新しい聖女とはいえど、今年でまだ13歳という若さの自分が、きちんと受け入れてもらえるのかが心配だからだ。

 なにせ、前世であれば中学校に入学したばかりの未熟者。その意識を引きずるアメリアは、不安でいっぱいなのである。

 だが、タビラはアメリアの隣に移動して、そっと手をアメリアの膝に乗せる。


「タビラさん?」


「ご心配なく。私も似たような年齢で最西国にニシア様と一緒にやって来たのです。最初こそ驚かれるでしょうが、聖女様だと分かれば、みなさん歓迎して下さいますとも」


 タビラは自分の経験を交えて、アメリアを安心させようとしている。

 その話を聞いたアメリアは、思わずホッとした表情を浮かべてしまう。それだけ、不安を抱えていたというわけだ。

 山がちだった隣国を抜けた先には、一体どのような土地が広がっているのだろうか。

 アメリアは新しい土地に対して、様々な思いを巡らせている。

 そしてなにより、自分がきちんと聖女としてやっていけるのか、そのことも心配なのである。

 関所に到着したアメリアたちは、ここでも一泊をして、日を改めて最西国へと入ることとなった。


 聖女アメリアとしての第一歩が、いよいよ始まる。

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