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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第48話 アメリアの決意

 最西国の聖女が亡くなり、前回の修行で聖女となった女性たちも、ついに過半数割れを起こしてしまった。こうなってくると、魔族たちを押さえ込んでいる結界も、あとどのくらいもつのかというのが気になってくるところだ。大神殿は特に気を揉んでいるように思える。

 だが、聖女候補から聖女を選び出すには、どうしても三年の修行期間を乗り切らねばならない。これを繰り上げられることはまず考えられなかった。

 過去には一応繰り上がった例もあるらしいが、時代が古くて記録に残るだけである。何の確証もないのだ。

 大司教たちも、かなり厳しい対応を迫られており、修行は今まで通りなのだが、周りはかなり騒がしくなっている。


「神殿も大変ですわね」


「これだけ焦っている様子は見た覚えがありませんよ」


 クレアたちも口々に異常さを漏らしてしまう状況だ。

 このような状況にアメリアも思わず気にかけてしまうくらいだった。

 大神殿というのは、ポーラリア王国の要であり、世界中の教会の中心となる存在だ。そこがこのように機能不全に陥ってしまうことは、そのまま世界の不安定を招いてしまう。それだけは、できる限り避けなければならないのだ。

 ただ、このことは慈悲の女神であるマーシエスも懸念していること。なによりも、アメリアはそのことをよくわかっている。


(悔しいですね。マーシエス様の加護を受けているとはいいましても、その力の使い方を十分には理解していません。ですので、このような状況に陥りながらも、私にできることはそう多くありません)


 アメリアもかなり焦りを覚えている。

 だが、神殿から繰り上げて聖女の任命を受けようとした際に、それを断って一年間という期限を設けたのは、他でもないアメリアだ。それゆえ、今更繰り上げてくれというのも、虫のいい話というものなのである。なんというか、自分で蒔いた種ともいえる状況なのである。


(とりあえず、冬を越すことができれば、その一年間という期限が過ぎます。となりましたら、この冬のうちに聖女の力を使いこなすしかありません)


 状況をはっきりと把握したアメリアは、しっかりとこの冬の目標を定めた。

 この世界の安定を図るために、聖女となった先の人探しのためにも、アメリアは聖女候補としての修行にけりをつける決意を固めたのだ。


 修行がイレギュラーにお休みとなった翌日のこと、アメリアは朝食の後にフォトニアに声をかける。


「フォトリア様、お話をよろしいでしょうか」


 アメリアの表情は、かなり思いつめたものだった。そのただならぬ表情を見て、フォトニアは大体の内容を察しているようである。


「……そうですか、アメリアさん。固めていただけましたか」


「……はい」


 これだけで話は終わりである。

 だが、こうなるともう、フォトニアの手から、アメリアは外れることになる。フォトニアの役目は、あくまでも聖女候補たちの指導だからだ。

 この場合、アメリアだけに構うわけにはいかないということになる。

 なにせ、残り二年間の修行を圧縮するとなれば、通常の修行に加えておまけにというわけにはいかないのだ。時間が足りなさすぎる。

 そう、それ専門に教育係を用意しなければならなくなる。

 そんなわけで、少し手配に時間がかかるというわけで、アメリアはもう少し通常の修行にかかってもらうことになった。

 残りの圧縮した修行を行うのは、一体どんな女性神官になるのだろうか。フォトニアと話を終えたアメリアは、かなり気にしているようである。

 しかし、ここまで半年以上の暮らしが続いているとはいっても、大神殿の神官とはほとんど顔を合わせたことがない。ゆえに、自分の指導にあたる神官が誰になるのかはまったくわからなかった。少なくとも、大司教とグイードはありえないということしかわからなかった。

 まったく想像がつかないので、とにかくアメリアはいつものように修行を続けるしかなかった。


「アメリアさん、いったい何の話でしたの?」


 戻ってきたアメリアに対して、クレアが詰め寄っている。

 クレアはこの大神殿での修行において、アメリアにとっては一番の友人である。だから、このように気にして当然というわけなのだ。

 とはいえ、フォトニアとの話をすんなりとクレアに話をしていいかというと、アメリアには躊躇がある。

 だが、一番の友人だからこそ、隠しているのは心苦しい。アメリアはかなり悩んだ。


「クレアさん」


「どうかしましたか、アメリアさん」


 真剣な表情を向けると、クレアは何かを感じ取ったようである。


「……そうですのね。一足先に聖女になられるのですか」


「な、なぜそれを?!」


 ズバリと言い当てられて、アメリアは目を丸くしている。まだクレアには一言もそのことを話していないのだから。

 だが、以前にその話は出たことがあるし、重要な場には必ず呼ばれていた。

 それなりに付き合いのあるクレアだからこそ、ピンときたというわけだった。


「わたくしたちなら大丈夫ですわ。必ずや追いついてやりますから」


「クレアさん……」


 すべてを察したクレアの表情は力強かった。

 一番の友人の後押しもあり、アメリアは遠慮なく聖女になることができる。

 その夜のこと、正式にアメリアが聖女に選ばれたことが発表されるのであった。

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