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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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44/70

第44話 冬が始まった

 冬を迎えると、アメリアたちの環境は一気に厳しくなる、それというのも現在の住まいがかなり寒差に対して対応していないからだ。

 ある意味、アメリアたちは信仰というものを試されているといえる。


「ううっ、寒い……」


 暖房なんてものはなく、隙間風が入らないとはいえども、とにかく建物は寒い。

 寝床にはさすがに毛布が配られてはいるものの、そんなものは付け焼刃である。

 襲い来る冬の寒さに、アメリアたちは必死に耐えている。


(これだけ寒くては、みなさんも大変でしょうね。私の住んでいた教会はまだ暖かい地域にあったので、恵まれてはいましたね)


 アメリアは寒さに耐えながら、そんなことを思っていた。

 やはり、あまりの厳しさにかつての居住地のことを思い出してしまうようだった。

 アメリアの住んでいた教会のある場所は、ここまでの寒さになることはなかったようなのだ。


「ウォーム」


 アメリアは両手を合わせながら、前世で習った英語の暖かいを意味する単語をつぶやく。

 そうすると、両手からオレンジ色の光が漏れだして、心ばかりか自分の周りが暖かくなったように感じる。


(ふぅ、これで少しはマシになりましたね。みなさんにもお教えして、暖かく過ごせるようにして差し上げませんと)


 すっかり寒さが和らいだアメリアは、他のみんなのことを思いながら、その日は眠りについた。


 翌朝起きてみると、これだけ寒かった理由がよりはっきりとしていた。

 なんと、神殿の周囲には雪が降っていたのだ。辺り一面が真っ白に染まり、見るからに寒そうである。


「こ、これは雪です。転生してから初めて見ました!」


 ところがどっこい。他のみんなが寒さで歯をガチガチといわせる中、アメリア一人だけが顔を明るくしてはしゃいでしまっている。それだけ、雪を見て喜んでいるというわけだ。


「し、信じられませんわ」


 雪の積もる中ではしゃぐアメリアを見て、クレアはものすごく信じられないものを見ている顔をしている。

 アメリアはとにかく、走り回った挙句、雪の中に倒れ込んでいた。


「ああ、この冷たい感触、懐かしいです」


 前世、日本で過ごしていた時のことを思い出して、気が付いたらアメリアの目からは涙がこぼれていた。


「あ、アメリアさん?!」


 アメリアの涙を見て、クレアが大慌てになっている。


「どうしたのですか。どこか痛いのですか?」


「いえ、なんともありませんよ。どうなさったのですか、クレアさん」


 あまりにも慌てた様子で心配してくるクレアの姿に、アメリアはきょとんとした表情で不思議そうに感じている。


「どうしたもこうしたもありませんわよ。どうして涙を流されているのですか」


「え……」


 クレアに言われて、そっと自分の頬に触れるアメリア。その時、初めて自分が涙を流していることに気が付いた。


「あら、本当に涙が流れていますね。でも、心配ありません。私の中で、何かの感情があふれてきたのでしょう」


 さすがに雪のことを懐かしんでいたということは言えるわけがないので、ひとまず適当にごまかしておく。

 出身地のことを話せば、雪など見たことがないことくらい、すぐに分かってしまうからだ。


「まったく、驚かさない下さいな」


「はい、申し訳ございません」


 クレアに咎められて、アメリアは素直に謝っていた。

 しばらくすると、再びクレアがアメリアに対して話しかけてくる。


「アメリアさん、そういえば寒くありませんの?」


 聖女候補たちの着ている服では、あまり防寒が効いていない。他のみんなは震えながら祈りや走り込みを行っている。

 そんな中で、アメリア一人だけ平然としているので、誰だって気になってしまうというものだ。


「あっ、そうでした。神聖力を使いまして、自分の周りをちょっとぽかぽかした感じにしているんですよ」


「そ、そんなことができるのですか?」


「はい、できますよ」


 ずいぶんと大げさに驚くクレアに対して、アメリアはにっこりと答えている。

 そうかと思うと、その方法をクレアに対して教えている。


「ウォーム」


 アメリアに言われた通りにクレアが行うと、クレアはその効果にハッとした表情を浮かべている。


「た、確かにほんのりとですけれど暖かくなりましたわ。こんなことができますなんて、初めて知りました」


 効果が瞬間的に現れ、しかもはっきりと感じ取れるとあって、クレアは驚いていた。


「これは、他のみなさんにも教えませんと」


「そうですね。もし無理なようでしたら、私たちがその魔法を使ってあげませんとね」


「そうですわね」


 そんなわけで、アメリアとクレアは、他の聖女候補たちにもこの魔法を教えて回っていた。

 行えない聖女候補もいたものの、アメリアが考えた通りに、他人に対しても使ってあげることができた。これならば、寒さに凍える他者を救ってあげることができる。なんとも素晴らしいことだと感じている。

 こうして、アメリアが思いついた方法で、聖女候補たちは寒い冬を何とか乗り越えられることになりそうである。

 ただ、その間は常に神聖力を消費するために、聖女候補たちの力量を問われることになるようだ。

 まだ冬は始まったばかり。無事に乗り越えられるように願うアメリアたちなのである。

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