↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アメリアの恋人探し  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/70

第33話 リミット

 アメリアがマーシエスと話している頃、現実世界では……。


「ええい、治癒師はどうしているのです。薬師もいないのですか!」


 かなり王太子が慌てている。

 それもそうだ。自分の国で発見された呪具のためにわざわざ来てくれた聖女候補が死にかけているのだ。何かがあっては神殿に顔向けができない。ゆえに王太子は余裕を失っているのだ。

 さらに、アメリアに下された診察結果を聞いて、さらに王太子は絶望の淵に立たされる。


 急性魔力欠乏症。


 なんらかの原因で、急速に体内の魔力が少なくなってしまう深刻な病状である。

 過去にもこの病気で何人もの人間が命を落としている。ゆえに、この病状を聞いた時の王太子の顔は蒼白となってしまった。

 素晴らしい神聖力を持ち、見た目も麗しい美少女であるアメリア。

 せっかく出会えた伴侶たりうる少女のまさかの事態。王太子は何がなんでもアメリアを救うために奔走する。


 それから二日後。

 なんら有効策を打てないまま、時間だけが過ぎていく。

 アメリアの補佐としてやってきていたグイードも、すっかり心配で頻繁にアメリアが眠る部屋へとやって来ている。


「アメリアは目を覚ますのでしょうか」


「なんともいえません。ただ、過去の症例からいって、まだ生きていらっしゃるというのはあまり例を見ません。アメリアさんは、必死に生きようとしているのです」


 医者は、このようにいうのが精一杯だった。

 医者からしてみても、急性魔力欠乏症から生還した例が少なすぎる。なので、これが言える精一杯のことなのだ。


「三日以上の生存例はさらに減ります。今夜が峠と見てもよいのでしょう」


「なんということなのだ……」


 絶望的な内容に、グイードは言葉を失った。

 見かねた医者は、グイードにある方法を教える。


「エーテルポーションなるものをご存じでしょうか」


「ええ。神殿でも話に聞いたことがございます」


 医者の挙げた名前には、グイードも聞き覚えがあった。

 それは、奇跡の薬とも言われる薬の一種で、こと魔力関連に関して高い回復効果を持つ。

 だが、材料が希少かつ、精製方法もほとんど知られていないので、その存在すらもかなり怪しい薬だ。

 それでも、効果としては急性魔力欠乏症を完全回復したという記録が残っている一品である。


「神殿では名前を聞くくらいで、実物を見たという話は聞いたことがない。だが、判明してから神殿に早馬を出したとしても、到底間に合う距離ではない。やはり、アメリアのことは諦めるしかないのでしょうか」


 そんな幻の薬の話を出されたとて、今なければ意味がないのだ。

 アメリアの命は、今まさに消えかけてしまっているのだから。

 そして、医者はそのことだけを告げると、自分にはもうできることがないと、アメリアの部屋から出ていってしまった。

 この間も、王太子とモネは、自分を責めるような思いでもって、アメリアを助ける方法を探して動いている。王太子は連れ出した責任で、モネは侍女としての責務を果たせなかった自責の念からだ。

 だが、結局何の解決も見つからず、王太子もモネも、アメリアの元へとやって来ていた。

 焦燥からすっかり意気消沈をしてしまっている二人の顔は、それはもう、この世の終わりといった表情となっていた。


「王太子殿下、申し訳ございません」


 アメリアの部屋で、モネは王太子に対して深く頭を下げている。


「アメリア様の侍女として配属されたといいますのに、主を守れぬなど、侍女たる意味があるのでしょうか」


 モネは王太子に対して強く訴えている。


「もし、アメリア様が亡くなるようなことがございましたら、その時は、私の首をはねて下さいませ」


「何を言う。私が無理やり外に誘わなければ、あのような時刻に巻き込まれることはなかったのです。お前にばかり罪をかぶせるつもりはありません」


 自分を厳しく罰せと訴えるモネに対して、王太子は強く否定をしている。自分にも責任があるのだ。侍女ばかりを責められない。

 しかし、二日間探し回ったというのに、打てる手段のひとつも見つけられなかった。王太子は、自分の不甲斐なさに強く憤りを感じている。


「今夜は、私はアメリアの側を離れません。それはお前も同じなのでしょう、モネ」


「もちろんでございますとも。こうなれば最終手段である、神頼みに賭けるしかありません。きっと真剣に祈れば、その思いは必ず届くはずでございます」


 何かと力一杯に訴えるモネ。王太子も、なぜかこれには強くこくりと頷いている。

 そして、二人はアメリアを挟み込むように陣取ると、回復を願ってただひたすらと祈りを捧げ続ける。

 二人の願いはひとつ。ただアメリアが再び元気に目を開けることだった。


 時間は経過し、医者に峠といわれた夜中を迎える。

 アメリアの横には、祈る姿のまま眠ってしまった王太子とモネの姿がある。

 二人はひたすらにアメリアの回復を祈り続けたものの、ついにはその限界を迎えてしまったのである。

 二人の願いもむなしく、このままアメリアの命の灯は消え去ってしまうのか。

 そう思われた時、アメリアの体に異変が起きるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。