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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第14話 神聖力を使ってみよう

 基本的なことを繰り返し、神殿での生活が10週を経過する。

 我慢を強いられてきたこともあってか、すでに数名の脱落者が出ている。40人ほどいた聖女候補は、ギリギリ40名を下回っている。

 休養日が明け、翌日の朝食の場でのことだった。アメリアたちの前にフォトニアが姿を現した。


「お食事を始める前にみなさまにお知らせすることがございます」


 唐突な話に、聖女候補たちの中からはどよめきが起きている。なにせこれから食事というタイミングで、いきなり待てを食らってしまったからだ。

 寝起きの後にお祈りとランニングを済ませて腹ペコ状態なので、それだけみんなの虫の居所が悪いというわけである。判断をミスれば、それこそ暴動でも起きそうな感じである。

 だが、フォトニアは構わずに話を続けている。


「本日より、座学の時間は神聖力の実技へと変更させていただきます。お昼からの街へ出ての奉仕活動も、実技の時間とさせていただきます。これまでみなさんがいかほど学んできたのかということを見させて頂きます」


 フォトニアはそういうと、食前の祈りを始める。

 祈りが始まってしまえば、誰も反論することはできないからだ。聖職者という立場上、この祈りという行為をないがしろにできるわけがない。反論を封じるにはなんとも便利なことである。


(実にうまいやり方ですね。私たちは教会関係者ですから、お祈りをおろそかにはできませんもの。そして、お祈りが終われば食事ができる。腹ペコの状態であれば食事に気を取られますから、結果として一方的に言いたいことを伝えられるというわけです)


 狡猾な教会のやり方に、アメリアは思わず顔をにやけさせていた。


「どうしたのよ、アメリア。そんな風に笑っちゃって」


「いえ、何でもありません。さぁ、食べてしまいましょう」


 正面に座っている聖女候補から疑問を投げかけられるも、アメリアはにこやかに笑っていた。


 食事が終われば、いつものように神殿の外周や廊下などの掃除を行い、一般の来訪者がやってくる頃には、聖女候補たちは座学を行う部屋へと集められていた。

 集められた部屋が部屋なので、やっぱり座学じゃんと思う聖女候補たち。ざわざわと騒ぎながらお互いの顔を見合っている。

 そんな中でもアメリアはまったく動じておらず、黙って座っている。

 一応、この場には座学で使っている教科書は持ってくるようにといわれていたので、全員ちゃんと教科書は持ってきている。

 しばらくすると、フォトニアが姿を見せる。


「みなさん、おそろいですね」


 声をかけながら、フォトニアは全員の姿を見回している。40人をわずかに切った聖女候補たちだが、全員そろっていることが確認されたので、フォトニアは話を始める。


「さて、本日からはいよいよ神聖力の実技へと授業が変わります」


 食事の席で話していた通り、実技になると聞いて、一気にみんなの表情が変わっている。

 奇跡を起こすと言われている聖女の力を振るうための第一歩なのだ。聖女を目指す少女たちからすれば、興味しかないのである。


「魔法学の観点からすれば、神聖力は光属性を帯びた魔力という解釈がなされます。立場の違いですので、私どもとしてはそれを否定することはいたしません」


 いきなり座学の授業と代わり映えのしない話が始まっている。


「ですが、神聖力というのは、慈悲の女神マーシエス様から分け与えられた力でございます。明らかに魔力とは違う効力を持った力なのです」


 フォトニアは、ずいぶんと強く論説している。

 この世界に存在する六つの属性は、魔法学の立場から定義された属性に過ぎないというのが、神殿の考え方のようである。

 だが、実際に神聖力を使う魔法というのは、それ以外の属性とは毛色がそれなりに異なっている。

 なかでも治癒と浄化と解呪というのは、神聖力を使う光魔法にしか存在しない魔法だ。この特異点の多さこそが、フォトニアたちが光魔法は他の魔法とは違うと評する理由なのである。


「さて、これまで後回しにしてきた神聖力を使用ですが、本日よりいよいよ解禁いたします」


 フォトニアの言葉に、聖女候補たちは嬉しそうな声を上げている。

 その様子を見たフォトニアは、全員にとある課題を出すことにした。


「それでは、実技を教えていく前に。みなさんに一つの課題を出させていただきましょう」


「課題?」


 課題という単語を聞いた瞬間に、全員が騒めき出す。

 すぐさまフォトニアは手を打って全員を黙らせる。


「やることはとても単純です。みなさんにこれを出してもらい、昼食の時間まで維持して頂きたいのです」


 フォトニアはそういうと、自分の手のひらの上に神聖力を集中させて、両手ですっぽり覆い隠せるくらいの大きさの光の球体を生み出していた。

 あまりにもきれいなその球体を見て、聖女候補たちは感嘆の声を上げている。


「みなさんは、これまでに教会で神聖力の扱い方を身につけているはずですからね。このくらいは簡単にできるでしょう。もしわからなければ、座学の教本の中に書いてありますので、確認をして行って下さい。それでは、早速始めて下さい」


 実技一日目から、まさかの試験である。

 聖女候補たちが慌てる中、アメリアも課題をこなすために、自分の両手をそっと胸の前に構えている。

 フォトニアが見守る中、どのくらいの聖女候補が無事に光の玉を出すことができるのだろうか。

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