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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第13話 少女の目指す聖女様

 さらに一週間が経ち、二度目の休養日がやって来る。

 この日の朝食を終えたアメリアは、ちょっと怪しげな動きを見かけてしまう。


「あらっ、あの子たちは一体どこに向かうのでしょうね」


 神殿の奥の方へと歩いていく聖女候補たちの姿が見えたのだ。

 このアメリアの疑問に答えてくれたのは、同じテーブルを囲む聖女候補の一人だった。

 先週とは違い、とても調子が良いようだ。


「ああ、あの子は脱落者ね。これだけ厳しい修行ですから、耐えきれなかったのでしょう」


 話を聞いたアメリアは、そうなのかと納得した表情を浮かべている。


「聖女様というのは私たちにとって憧れの存在ですけれど、仕事は過酷だと聞きます。この程度で音を上げているようでは、とてもではありませんが聖女には向いておりません。当然の結果ですね」


「そうなのですね」


 話を聞いたアメリアは、当たり障りのない言葉を返しておく。

 しかし、アメリアはこの言葉をものすごく理解していた。なにせ、転生前に読んだWEB小説や漫画などで、その辺りの知識は持ち合わせているのだから。

 やはり、聖女になるということには相当の覚悟を持たなければならないということのようだ。改めてそのことを感じさせられる。


「現在いらっしゃる聖女の方々もお年を召していらっしゃいますけれど、私たちはどのくらい聖女になれますでしょうかね」


 別の聖女候補は不安を口にしている。

 アメリアは知らなかったようで、ちょっと興味があるようで、その聖女候補に思わず詰め寄っている。


「聖女と呼ばれる方は、現在いらっしゃるのですね。どのような方なのでしょうか」


「ちょ、ちょっと近いですよ」


「……これは失礼しました」


 近いと怒られたので、アメリアは咳払いをしながらおとなしく席に座り直す。

 そして、改めて現在の聖女について聞き直している。

 目の前の聖女候補の話では、現在は世界に六人ほどの聖女がいるようだ。”ほど”と付け加えたのは、その聖女候補が知った時での人数だからで、すでに数年が経過しているので変化している可能性があったからだ。

 アメリアは構わないという態度で聞いている。

 だが、その話は続けられることはなかった。


「何をお話なのでしょうか」


「ミシエル様……」


 アメリアたちのところに姿を見せたのは、グイードと同じように聖女候補を連れてきた女性神官だった

 名前をミシエルというらしい。ウェイブのかかったグレーのロングヘアの女性で、瞳は深い青色をしている。服装はフォトニアに比べると少し簡素な感じのする服装である。


「ミシエル様、聖女様のことについてお話を聞かせていただくことはできますでしょうか。よいところだけでも構いません。私たちが目指す聖女様の姿というのを、いま一度確認しておきたいのです」


 まるで咎めるような視線を向けてくるミシエルに対し、アメリアは真剣な表情で掛け合っている。

 アメリアの声に同調する等に、他の聖女候補たちも、真剣な表情をミシエルに対して向けている。

 あまりにもじっと見つめてくるアメリアたちの視線に、ミシエルは根負けをしたようである。


「仕方ありませんね。聖女様のことに関しては、今後のフォトニア様の座学の中でお話をする予定でしたが、そこまで熱心であるのなら、私の方で特別にお教えしましょう」


 両手を体の前で軽く重ね合わせ、困ったような表情を浮かべながらミシエルはアメリアたちの頼みを聞き届けている。

 アメリアたち六人を連れて、ミシエルは自分の部屋へと案内していった。

 そこにある客人用の席にアメリアたちを座らせ、ミシエルは聖女について話し始めた。


 それによると、聖女というのは修道者の中でも特に神聖力を持った女性たちのことを言うらしい。女神マーシエスの力を強く体現しているといい、治癒、浄化、保護の力に長けた女性が選ばれるのとのこと。

 前回の聖女選定の修行は、現在の教官であるフォトニアがまだ若かった頃のことであり、今から二十年ほど前になるそうだ。

 当時の聖女は十三名。世界各地の国に一人ずつ派遣されて、国の問題にあたっていたとのことなどが語られた。


「聖女の力というのは強力でして、ひとたび祈れば災害は治まり、病やケガは癒え、魔物は怯むといわれております。聖女の力は多くの恵みをもたらすのです」


 ミシエルは聖女について、事細かくアメリアたちに説明をしている。

 どうやら一国に聖女が一人というのは、聖女の負担を軽減すると同時に、その奪い合いが発生しないようにするための措置なのだという。

 それはそうだろう。慈悲の女神の使いである聖女が理由で争いが起きてしまえば、それこそ本末転倒というもの。

 だからこそ、あまり聖女たちに実力差の出ないように三年間という時間をかけて、その教育を施すということなのだろう。アメリアはこの修行の趣旨というものを、なんとなくだが理解したようだった。


「さぁ、このくらいでよいでしょう。また明日から五日間の修行が始まります。今の話は聞かなかったことにして、その心にしっかりと留めておいて下さいね」


「承知しました。ありがとうございます、ミシエル様」


 丁寧にお礼を述べると、アメリアたちはミシエルの部屋から出ていく。

 なんにしても、聖女というものは、この世界からしたら世界平和の象徴という存在のようだ。

 聞かされた聖女像というものに、アメリア以外の聖女候補たちはやる気を出しているようである。


(でしたら、私はみなさんが聖女になれるように補助するようにしましょう。マーシエス様には悪いですけれど、やはりそのような任は私には重いと思いますからね)


 アメリアたちはこんなことを思いながら、他の五人の姿をじっと見つめていたのだった。

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