第二十話 「いっちゃん、放浪の旅を終える」
皆様、おはようございます。
小学校に通い始めて一年。
いっちゃんは、母の紹介でまた別の場所へ移ります。
小学校に通い始めて一年ほど経った頃、母がやってきた。
「いつまでもここにやっかいになるのは申し訳ないけぇ、私のお姉さんの家に行かせてもらおうと思うんよ。ちょうどあっちで子守を探しとってね」
ようやく学校に慣れ、友だちも増えた矢先だったので、胸は少しざわついた。
それでも、いつまでも居候はできないことは理解していた。
伯母の家に行くと、開口一番、
「今日から家事手伝いと子守をしてもらうけぇの」
と伯母さんから言われた。
伯母は、以前会った時から“はっきり物を言う人”という印象があったが、その予想はすぐに確信へと変わった。
朝は5時起床。
かまどでの炊飯は慣れているつもりだったが、
「なんじゃその薪のくべ方は!煙ばっかり出ようるじゃなぁ。こうするんじゃ。ええか、いっぺんしか言わんけぇ、しっかり覚えるんで」
自信は一瞬で砕け散った。
だが、砕けたままでは生きていけない。すぐに気を取り直して伯母の言葉に従った。
味噌汁、漬物の仕込み、洗濯、掃除、農作業――。
伯母は叱りながらも一つひとつ教えてくれた。
厳しい毎日だったが、私は驚くほど早く何でもできるようになった。
ご飯もきちんと食べさせてもらえたし、何よりも“身内がそばにいる”という安心感は何ものにも代えがたいものだった。
こうして伯母の家で暮らすことになり、長かった私の放浪生活は、ようやく静かに終わりを告げた。
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「金木犀」(エンディング)
新たな出会い 新たな旅立ち
新たな未来が 今、始まる
移る季節を伝える風に
強く生きると誓う
長い道でも 歩いてゆけば
本当の自分に きっと会えるから
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(第一部・完)
第二十話をお読みいただき、ありがとうございました。
叱られながらも、味噌汁の味から農作業まで、生きる術を叩き込んでくれた伯母さん。 厳しさの裏にある「身内」としての安心感が、孤独だったいっちゃんの心を強くしていきました。 長かった放浪生活は、この家でようやく静かに終わりを告げます。
さて、放浪の旅が終わったことで、「第一部」はおしまいです。
この先、「第二部」で、またお会いしましょう。




