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氷の塊

『うーん。これ、どうしようかな。』


 アイルは氷塊の中にあるフォレストタイガーを眺めて呟いた。

どうせなら皮を靴にしたいと思ったのだが、魔物の解体など一度もやったことがない。


『どう解体すればいいのかわからないし。エルフ達に相談しよう。とりあえず異空間に入れておけばいいかな。』


 空間魔法【収納】を発動し、氷塊を掴み異空間へ放り投げた。


 地面がまだ凍っている箇所もあるが、精霊にお願いして冷気を散らしてもらったし暫くすれば元に戻るだろう。



『たしかここら辺だったかな?すみませーん!アイサー!メイサー!』

「アイル殿」

「アイル様!」


 アイサーとメイサーそして他のエルフ達も木の上から顔を出して呼びかけに応えた。


『フォレストタイガーの群れ、十頭でしたよねー?もう大丈夫ですよー!』


 アイルが手を上げながら近づくと、エルフ達は次々に地面に降り立った。


「あの、アイル殿。先程の氷の柱はアイル殿が?」

『ええ。そうですよ。森を焼くわけにもいかなかったので。申し訳ないのですが、フォレストタイガーの解体をお手伝いしていただくことはできますか?解体の仕方がわからなくて。それに靴や服があまりないので、皮を使えればと。」

「我々は何もしていないので、手伝いとは言わず全てお任せください!」

『本当ですか!ありがとうございます!』

「アイル殿、それよりもお体のほうは大丈夫ですか?あんな膨大な魔力を消費していて。それと、討伐したフォレストタイガーはどこに。」

『別に問題ないですよ?それほど魔力は込めていませんし。それとフォレストタイガーでしたら異空間にいれてありますので、村についたらお出しします。』

「あの魔力で、それほどなんて。アイル様の魔力総量が尋常では無いのですね。それにフォレストタイガーなんて大きな物も空間魔法で収納できるとは。」


 姉弟から解体の協力について言質も取れたことだし、あとは村へ戻ってサークラ様から褒美(酒と果物)を貰うか。

 村を離れる前に、皮の靴が出来上がると良いのだが。


 主に酒と果物に対して心を躍らせながら、サラ村の帰路についた。

 行きは生物、種族についての話がメインだったが帰りは酒や食べ物の話ばかりだ。アイサー含め数人の戦士と酒の話しで盛り上がった。あの酒は何から出来ている。あの酒は後味が良いなど、戦士たちは相当酒が好きなようだ。





「アイル様。随分早いお帰りで、如何なさいましたか?」


 朝一に村から出た一向が、まだ朝の部類となるだろう早々に帰ってきた為、心配したのかサークラ様が直々に村の入り口まで迎えに来てくれた。後ろにはシールスとリンシーもいる。恐らく三人とも気掛かりだったのだろう。


「少し前ですが急に大量の精霊が森を通り抜けていきました。何か森で異変でもあったのですか?」

『いえ、特に異変は無かったですよ?』

「姉上、サークラ様に連絡していないのですか?」

「え?戦士長である貴方が既にしているものかと」


 後ろで姉弟がコソコソ話している。サークラ様もらその様子に気がついたのか、二人に声をかけた。


「メイサー、アイサー。報告を聞きましょう。すぐに来なさい。すぐに。」


 これが怒気というのだろうか。声をかけられた姉弟は少し青い顔をしているように感じた。


「アイル様。また後ほど。」


 サークラ様は、シールスとリンシーそれに青い顔をした二人を引き連れて大樹へと向かっていった。

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