第4話「決定的な証拠?」
着ぐるみモンスター
Another Story
「もし、ぬらりひょんが口を滑らせたら」
第4話「決定的な証拠?」
内田紀人 作
※この物語は、本編とは異なる世界線の物語です。
数日後。
児童館では。
ボランティアのおじいちゃんが、子どもたちに妖怪の昔話をしていた。
もちろん。
則人は最前列。
膝の上には。
あの小さなノートが置かれている。
「昔の人はね」
おじいちゃんが、ゆっくりと話し始める。
「妖怪を、ただ怖いものとして考えていたわけじゃないんだよ」
「怖くないの?」
一人の子が聞いた。
「怖い妖怪もいるよ。でもね」
おじいちゃんは笑う。
「人のすぐそばにいる、不思議な存在として考えられていた妖怪もたくさんいるんだ」
「すぐそば?」
「そう」
おじいちゃんが頷く。
「見えないからって、いないとは限らないからね」
「…………」
則人の耳が。
ぴくっと動いた。
「見えないからって……」
小さく繰り返す。
「いないとは限らない……」
すぐにノートを開いた。
さらさら。
『みえないからって、いないとはかぎらない』
書き終える。
そして。
その横に。
ぐるぐるぐる。
大きな丸をつけた。
「よし!」
「何がよしなの?」
おじいちゃんが聞く。
「なんでもない!」
「また調査?」
「…………」
則人が止まる。
「今のなし!」
「やっぱり調査なんだね」
「ひみつ!」
おじいちゃんは楽しそうに笑った。
「そうか、そうか」
「絶対言わないでね!」
「誰に?」
「…………」
則人がまた止まる。
「それもひみつ!」
「秘密だらけだねえ」
おじいちゃんは。
それ以上は聞かなかった。
則人はノートを見る。
お茶が好き。
濃いお茶が好き。
妖怪に詳しい。
言うことも似ている。
そして。
『見えないからって、いないとは限らない』
「…………」
則人の目が。
だんだん輝いていく。
これは。
かなり大きな証拠かもしれない。
◇
夕方。
ぬらりひょんが現れるなり。
則人は駆け寄った。
「質問!」
「またか」
ぬらりひょんが、露骨に嫌そうな顔をする。
「今日は大事な質問だから!」
「毎回そう言っとらんか?」
「今日はもっと大事!」
「嫌な予感しかしないのう」
則人はノートを後ろに隠した。
そして。
できるだけ何でもないことのように聞く。
「ねえ、ぬらりひょん」
「なんじゃ」
「妖怪ってさ」
「うむ」
「見えないからって、いないとは限らないよね?」
「当然じゃ」
「やっぱり!」
則人が勢いよくノートを開く。
「…………」
ぬらりひょんの顔が引きつった。
「何がじゃ」
「おじいちゃんも今日、まったく同じこと言った!」
「…………」
「今、止まった!」
「止まっておらん!」
「止まったよ!」
「お前は人の顔を観察しすぎじゃ!」
則人は気にせず。
ノートを開いて指を折り始める。
「お茶が好き」
「そんな老人は多い」
「濃いお茶が好き」
「好みが同じだけじゃ」
「妖怪に詳しい」
「わしは妖怪じゃ」
「言うことも似てる」
「偶然じゃ」
「それに」
則人が顔を上げる。
「最初に『あの爺さん』って言った」
「…………」
ぬらりひょんが黙る。
「ほら!」
「何がじゃ!」
「また止まった!」
「考え事くらいするわ!」
「何考えてたの?」
「…………」
ぬらりひょんが顔をそらす。
「もう忘れろ」
「それ!」
「なんじゃ!」
「それ、一番怪しい言い方だよ!」
「面倒くさい小僧じゃのう!」
則人は。
さらに一歩近づいた。
「ねえ」
「なんじゃ」
「ほんとは」
少しだけ声を落とす。
「おじいちゃんのこと、知ってるんでしょ?」
「知らん」
「ほんとに?」
「ほんとじゃ」
「一回も会ったことない?」
「…………」
ぬらりひょんが。
一瞬。
黙った。
「…………」
則人も黙る。
そして。
目を見開いた。
「今のは長かった!」
「何がじゃ!」
「いつもより長かった!」
「時間を計るでない!」
「絶対なんか考えた!」
「考えとらん!」
「じゃあ、すぐ答えられたじゃん!」
「どうやったらお前が諦めるかを考えておったんじゃ!」
「じゃあ、やっぱり何かある!」
「なぜそうなる!」
則人は。
興奮した様子でノートを開く。
さらさらさら。
「何を書いとる!」
「今の!」
「今の何じゃ!」
「答えるまでに時間がかかった!」
「それを証拠にするな!」
「大事な証拠だよ!」
「どこがじゃ!」
則人はノートを閉じた。
そして。
何かを決意したように頷く。
「よし」
「今度は何じゃ」
「決めた!」
「嫌な予感しかせん」
「明日」
則人が。
びしっと指を立てる。
「確かめる!」
「何を」
「おじいちゃんと、ぬらりひょんに」
一拍。
「本当に関係があるのか!」
「やめんか!」
即答だった。
則人の目が、さらに輝く。
「ほら!」
「何がじゃ!」
「今、すぐ止めた!」
「止めるに決まっとるじゃろう!」
「なんで?」
「人を勝手に調べるなと何度言えば分かる!」
「ここまで調べたんだから、最後までやる!」
「人の話を最後まで聞けとは教わらなかったのか!」
「聞いてるよ!」
「なら『やめろ』も聞け!」
「それは別!」
「別ではない!」
則人はノートを抱えて。
走り出した。
「じゃあ明日!」
「待て!」
「決定的な証拠、見つけるからねー!」
「見つけんでよい!」
「絶対見つける!」
「やめんかー!」
則人の姿が。
遠ざかっていく。
◇
一人残されたぬらりひょんは。
しばらく黙っていた。
「…………」
やがて。
深い。
深いため息。
「まったく……」
則人が走っていった方を見る。
「どこまで調べる気じゃ、あの小僧は」
そう呟いて。
ぬらりひょんは。
ほんの少しだけ。
困ったように目を細めた。
――つづく
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。
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【人間×生成AIによる合作作品】
企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




