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着ぐるみモンスター Another  作者: 内田紀人
セミスピーカー編 2

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第5話「正体、見つけた!?」

着ぐるみモンスター


Another Story


「もし、ぬらりひょんが口を滑らせたら」


第5話「正体、見つけた!?」


内田紀人 作


※この物語は、本編とは異なる世界線の物語です。


翌日。


則人は児童館に着くなり。


真っ先に、ボランティアのおじいちゃんを探した。


「いた!」


いつもの場所。


おじいちゃんは、子どもたちに囲まれて楽しそうに話している。


則人は少し離れたところで足を止めた。


そして。


じーっ。


「…………」


観察を始める。


今日こそ。


決定的な証拠を見つける。


そのつもりだった。


「則人くん」


「…………」


「則人くん?」


「…………」


「今日は何を調べるんだい?」


「うわっ!」


則人が飛び上がった。


いつの間にか。


おじいちゃんが、すぐ目の前に立っていた。


「な、なんで分かったの!?」


「毎日あれだけ見られたら、分かるよ」


おじいちゃんが笑う。


「今日は本気だから!」


「今までは本気じゃなかったの?」


「今までも本気!」


「じゃあ、今日はもっと本気なんだね」


「うん!」


「頑張って」


「うん!」


そこまで答えて。


則人が止まる。


「…………」


応援されてしまった。


「いいの?」


「何が?」


「ぼく、調べてるんだよ?」


「そうみたいだね」


「止めないの?」


「悪いことをしてないならね」


「…………」


則人は。


少しだけ調子を狂わされた。


でも。


すぐに気を取り直す。


「よーし!」


ノートを取り出した。


「今日は絶対見つける!」


「何を?」


「ひみつ!」


「はいはい」


おじいちゃんは。


やっぱり笑っていた。



それからしばらく。


則人は、おじいちゃんのあとをこっそり追った。


お茶を飲む。


「…………」


ノートを見る。


もう知っている。


子どもと話す。


「…………」


普通。


本を片づける。


「…………」


普通。


床に落ちた紙を拾う。


「…………」


普通。


泣いている子をなだめる。


「…………」


すごく普通。


「うーん……」


則人は柱の陰から顔を出す。


「普通のおじいちゃんだなあ……」


これでは。


決定的な証拠にならない。


お茶を飲む。


妖怪に詳しい。


言うことが似ている。


それだけなら。


確かにぬらりひょんの言う通り。


偶然かもしれない。


「もっとこう……」


則人が考える。


「ぬらりひょんっぽいことしてくれないかな」


何をすればぬらりひょんっぽいのか。


自分でもよく分からなかった。


その時。


おじいちゃんが廊下の角を曲がった。


「あっ!」


則人が慌てる。


「待って!」


走って追いかける。


角を曲がる。


「…………え?」


誰もいない。


長い廊下が続いている。


右には壁。


左にも壁。


途中に扉はいくつかあるものの。


おじいちゃんが入ったような音はしなかった。


「…………」


則人がきょろきょろと辺りを見る。


「いない」


ついさっきまで。


目の前を歩いていたのに。


「どこ行ったの?」


一歩進む。


また周りを見る。


「おじいちゃーん?」


返事はない。


その時。


背後から。


「何をしとるんじゃ」


「うわあっ!」


則人が飛び上がった。


勢いよく振り返る。


「ぬらりひょん!」


そこには。


ぬらりひょんが立っていた。


「そんなところで何をしとる」


「今!」


則人が指をさす。


「なんじゃ」


「今、おじいちゃんがここ曲がったんだよ!」


「ほう」


「でも、いなくなった!」


「そうか」


「それで!」


則人が、ぬらりひょんへ指を向ける。


「ぬらりひょんが出てきた!」


「それがどうした」


「…………」


則人が。


じーっ。


ぬらりひょんを見る。


「なんじゃ」


「怪しい」


「またそれか!」


「だってタイミングよすぎるもん!」


「偶然じゃ!」


「ほんとに?」


「ほんとじゃ!」


「じゃあ、おじいちゃんどこ行ったの?」


「わしが知るか!」


「でも」


則人は。


ぬらりひょんの周りを一周する。


「な、なんじゃ」


「変身してない?」


「何にじゃ!」


「おじいちゃんから、ぬらりひょんに」


「するか!」


「ほんと?」


「ほんとじゃ!」


「背中にチャックとかない?」


「あるわけなかろう!」


則人が後ろへ回ろうとする。


「見るな!」


「怪しい!」


「どこがじゃ!」


その時だった。


「則人くん?」


「え?」


聞き慣れた声。


則人が振り返る。


廊下の向こうから。


ボランティアのおじいちゃんが歩いてきた。


「こんなところでどうしたの?」


「…………」


則人が固まる。


「おじいちゃん」


「うん?」


ゆっくり。


ぬらりひょんを見る。


「…………」


いる。


もう一度。


おじいちゃんを見る。


「…………」


いる。


右を見る。


おじいちゃん。


左を見る。


ぬらりひょん。


右。


左。


右。


左。


「…………二人いる」


ぬらりひょんが腕を組んだ。


「ほれ見ろ」


「えええええっ!?」


則人が大声を上げる。


おじいちゃんが驚いた。


「どうしたの?」


「いや、だって!」


則人がぬらりひょんを見る。


それから。


おじいちゃんを見る。


「じゃあ……違うの?」


「最初からそう言っとる」


ぬらりひょんが、少し得意そうに言った。


「でも……」


「まだ何かあるのか」


「怪しい」


「まだ言うか!」


おじいちゃんが首を傾げる。


「何の話?」


「なんでもない!」


則人が慌てて答える。


「そう?」


「うん!」


おじいちゃんは。


少し不思議そうにしながら。


そのまま歩いていった。


則人は。


その背中を見送る。


それから。


もう一度ぬらりひょんを見る。


「…………」


「なんじゃ」


「うーん……」


「いい加減、諦めたらどうじゃ」


「…………」


則人は。


まだ納得していない顔をしていた。



児童館からの帰り道。


「絶対、何かあると思うんだよなあ」


「往生際が悪いぞ」


ぬらりひょんが呆れる。


「だって似てるところ多いもん」


「世の中には似た者もおる」


「お茶も好きだし」


「それは多い」


「濃いお茶も好きだし」


「それも珍しくない」


「妖怪にも詳しいし」


「わしは妖怪じゃ」


「言うことも似てるし」


「偶然じゃ」


「『見えないからって、いないとは限らない』って言ったし」


「普通の考え方じゃ」


「最初に」


則人が。


ちらりとぬらりひょんを見る。


「『あの爺さん』って言ったし」


「…………」


「ほら!」


「何がじゃ!」


「また黙った!」


「うるさい!」


「そこだけ全然説明してないじゃん!」


「言い間違いじゃ!」


「知らない人を『あの爺さん』って言い間違える?」


「言う時もある!」


「ほんとかなあ」


則人が、にやっと笑う。


ぬらりひょんは。


ものすごく嫌そうな顔をした。


「じゃあさ」


「なんじゃ」


「今度」


ぬらりひょんの眉が動く。


「おじいちゃんと一緒にお茶飲もうよ」


「…………」


ぬらりひょんが止まった。


則人も止まる。


「…………」


「…………」


数秒。


「どうしたの?」


「別に」


「また止まった!」


「止まっとらん!」


「止まったよ!」


「考え事じゃ!」


「何考えてたの?」


「…………」


則人の目が輝く。


「また止まった!」


「やかましい!」


「やっぱり怪しい!」


「怪しくない!」


「じゃあ一緒に飲める?」


「…………」


「飲めない?」


「…………」


「どっち?」


ぬらりひょんが大きく息を吐く。


「好きにせい」


「ほんと!?」


則人の顔がぱっと明るくなる。


「じゃあ、まだ調べていいんだ!」


「そういう意味ではない!」


「今度は二人を一緒に調べる!」


「やめんか!」


則人は笑いながら走り出した。


「絶対いつか、正体見つけてやるからねー!」


「だから何の正体じゃ!」


ぬらりひょんの声が響く。


「待たんか!」


「じゃあねー!」


則人は。


楽しそうに走っていった。



結局。


その日。


則人が探していた決定的な証拠は。


見つからなかった。


目の前で。


児童館のおじいちゃんと。


ぬらりひょんが同時に存在していた。


普通に考えれば。


それで終わりのはずだった。


けれど。


則人の中に残った小さな疑問は。


なぜか。


消えなかった。


少し離れた場所。


一人になったぬらりひょんが。


深いため息をつく。


「まったく……」


そして。


ほんの少しだけ。


困ったように笑った。


「しつこいところまで、よく似とる」


誰に似ているのか。


その名前までは。


口にしなかった。


――Another Story 完

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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