第3話「お茶で見破れ!」
着ぐるみモンスター
Another Story
「もし、ぬらりひょんが口を滑らせたら」
第3話「お茶で見破れ!」
内田紀人 作
※この物語は、本編とは異なる世界線の物語です。
翌日。
則人は児童館で、ボランティアのおじいちゃんの前に二つの湯のみを並べていた。
「おじいちゃん!」
「どうしたの、則人くん」
「実験する!」
「実験?」
おじいちゃんが、二つの湯のみを見る。
「こっちは普通のお茶!」
「うん」
「こっちは、ちょっと濃いお茶!」
「なるほど」
「好きな方を飲んで!」
「…………」
おじいちゃんが、少しだけ笑った。
「何の実験なんだろう」
「いいから!」
「はいはい」
二つを見比べる。
そして。
濃い方の湯のみへ手を伸ばした。
「こっちかな」
「あっ!」
則人の目が輝く。
すぐにノートを取り出した。
さらさら。
『こいおちゃがすき』
その横に。
大きな丸。
「また何か書いてるね」
「ひみつ!」
「最近、本当にひみつが多いなあ」
「大事な調査だから!」
「調査って言っちゃってるよ」
「…………」
則人が止まる。
おじいちゃんが笑った。
「まあ、いいけどね」
「忘れて!」
「それは難しいなあ」
「えー!」
おじいちゃんは、楽しそうに濃いお茶を飲んだ。
◇
夕方。
今度は。
ぬらりひょんの前に。
同じ二つの湯のみが並べられていた。
「なんじゃ、これは」
「実験!」
「嫌な予感しかしない」
「好きな方を飲んで!」
「なぜじゃ」
「いいから!」
「よくない!」
「早く!」
ぬらりひょんは、ものすごく嫌そうな顔をしながら。
二つの湯のみを見比べた。
普通のお茶。
濃いお茶。
「…………」
そして。
濃い方へ手を伸ばした。
「あっ!」
則人が立ち上がる。
「やっぱり!」
「何がじゃ!」
「おじいちゃんも、こっち選んだ!」
「それがどうした!」
則人は勢いよくノートを開いた。
『こいおちゃがすき』
大きな丸。
さらに、その横へもう一つ丸を重ねる。
「また共通点!」
「茶の好みが同じ者など、いくらでもおるわ!」
「でも一個増えた!」
「増やすな!」
「これで三個!」
「数えるな!」
「お茶好き!」
「うむ」
「妖怪に詳しい!」
「わしは妖怪じゃ!」
「濃いお茶が好き!」
「だから、それがどうした!」
則人は。
とても満足そうだった。
ぬらりひょんは。
とても不満そうだった。
◇
「次の質問!」
「まだあるのか!?」
則人が。
今度は少しだけ真面目な顔になった。
「児童館のおじいちゃんね」
「うむ」
「よく言うんだ」
「何をじゃ」
則人が。
おじいちゃんの口調を真似する。
「『人の話は、最後まで聞くんだよ』って」
「…………」
ぬらりひょんの眉が。
ほんの少し。
動いた。
「今!」
則人が指をさす。
「何じゃ!」
「眉、動いた!」
「眉くらい動くわ!」
「知ってる言葉だった?」
「どこにでもある言葉じゃろう!」
「ほんとかなあ」
「ほんとじゃ!」
則人は。
じーっと。
ぬらりひょんの顔を見る。
「なんじゃ」
「似てる」
「似ておらん」
「まだ何も言ってないよ?」
「…………」
則人の目が細くなる。
「今」
「なんじゃ」
「自分から否定した」
「…………」
「怪しい!」
「怪しくない!」
「おじいちゃんも『人の話は最後まで聞く』って言う」
「よいことを言う老人じゃな!」
「ぬらりひょんも、ぼくに最後まで話聞けってよく言う!」
「お前が途中で飛び出すからじゃ!」
「同じじゃん!」
「違う!」
「似てる!」
「似ておらん!」
「じゃあさ」
則人が。
にやっと笑った。
ぬらりひょんの顔が。
さらに嫌そうになる。
「何じゃ」
「今度」
「嫌じゃ」
「まだ何も言ってない!」
「その顔で分かる!」
「おじいちゃんと一緒に」
「嫌じゃ!」
「お茶飲んでみる?」
「…………」
ぬらりひょんが。
止まった。
則人も。
止まった。
「…………」
「…………」
数秒。
「どうしたの?」
「別に」
「また止まった!」
「止まっとらん!」
「今の長かった!」
「考え事をしていただけじゃ!」
「何を?」
「…………」
「何を?」
「今日はよい夕焼けじゃな」
「またごまかした!」
「ごまかしておらん!」
「今度は夕焼け!」
「昨日は風じゃった!」
「その前は天気!」
「毎日違うものを褒めて何が悪い!」
「そういう問題じゃないって!」
◇
則人は。
楽しそうにノートへ何かを書き込んでいる。
ぬらりひょんが。
横から覗こうとした。
「何を書いとる」
「見るの禁止!」
則人が慌ててノートを胸へ抱える。
「人を勝手に調べておいて何を言っとる!」
「まだ途中だから!」
「いつまで続ける気じゃ」
「分かるまで!」
「何が分かるまでじゃ!」
「それはまだ秘密!」
「お前自身も分かっておらんだけじゃろう!」
「違うよ!」
「では何を調べとる!」
「…………」
則人が少し考えた。
「ぬらりひょんが」
「うむ」
「児童館のおじいちゃんのこと、どれくらい知ってるか!」
「…………」
ぬらりひょんが。
また黙る。
「ほら!」
「何がじゃ!」
「やっぱり知ってる!」
「知らん!」
「じゃあ明日も調べる!」
「やめんか!」
「もっとすごいの探す!」
「何をじゃ!」
「決定的な証拠!」
「見つけんでよい!」
則人はノートを抱え。
楽しそうに走っていった。
「じゃあねー!」
「待て!」
「明日も調査するからねー!」
「するなー!」
ぬらりひょんの声が響いた。
◇
一人残されたぬらりひょんは。
大きくため息をついた。
「まったく……」
そして。
手元の湯のみを見る。
濃いお茶。
「…………」
しばらく見つめる。
「しばらく」
ぽつり。
「薄い茶でも飲むかのう」
そう呟いてから。
もう一度。
深いため息をついた。
――つづく
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。
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企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




