第2話「共通点を探せ!」
着ぐるみモンスター
Another Story
「もし、ぬらりひょんが口を滑らせたら」
第2話「共通点を探せ!」
内田紀人 作
※この物語は、本編とは異なる世界線の物語です。
次の日。
児童館に着いた則人は。
さっそく、ボランティアのおじいちゃんを観察していた。
じーっ。
「……則人くん」
「なに?」
「さっきから、ずっと見てない?」
「見てないよ」
「見てると思うけどなあ」
則人は慌てて顔をそらした。
「気のせい!」
「そうかなあ」
おじいちゃんは苦笑する。
少しすると。
また。
じーっ。
「やっぱり見てるよね?」
「見てない!」
「さっきより見てる気がするけど」
「気のせい!」
「便利な言葉だね、それ」
「うん!」
「褒めてないよ」
おじいちゃんは笑いながら。
手元の湯のみを持ち上げた。
そして。
お茶を一口。
「あっ」
則人の目が光る。
すぐに、小さなノートを取り出した。
さらさら。
『おちゃがすき』
「…………」
おじいちゃんがノートを見る。
「何を書いてるの?」
「ひみつ!」
「最近、ひみつが多いなあ」
「これは大事な調査なの!」
「調査?」
「…………」
則人が止まった。
「今、言った?」
「言ったね」
「忘れて!」
「難しいなあ」
「じゃあ、ひみつ!」
「分かった、分かった」
おじいちゃんは楽しそうに笑っている。
則人はノートを胸に抱えた。
昨日。
ぬらりひょんが口にした言葉。
『あの爺さん』
知らない相手なら。
そんな言い方をするだろうか。
則人には。
どうしても気になって仕方がなかった。
だから今日は。
二人の共通点を探す。
それが則人の。
大事な調査だった。
◇
しばらくすると。
おじいちゃんの周りに、何人かの子どもたちが集まり始めた。
「今日は何の話?」
「妖怪!」
「怖いやつ?」
「今日は、そんなに怖くない話かな」
則人も。
すぐに最前列へ座る。
もちろん。
調査のため。
……だけではない。
妖怪の話は普通に聞きたい。
おじいちゃんが話し始めた。
「昔の人はね」
「うん」
「今よりずっと、見えないものを身近に感じていたんだよ」
「見えないもの?」
「そう」
おじいちゃんが穏やかに笑う。
「何か変なことが起きた時に」
「うん」
「ただ『分からない』で終わらせるんじゃなくて」
「うんうん」
「そこに名前をつけたり、姿を想像したりした」
「それが妖怪?」
「そうだね」
則人の目が輝く。
「怖い妖怪もいる?」
「いるよ」
「変なのも?」
「たくさんいる」
「たらい小僧も?」
「もちろん」
「あれ、ほんとにたらい持ってるよ!」
「…………」
おじいちゃんが少しだけ止まった。
「則人くん」
「なに?」
「会ったことあるみたいな言い方だね」
「あるよ!」
「…………」
今度は。
おじいちゃんが、少し困った顔をした。
「そうなんだ」
「うん!」
「まあ……則人くんなら、ありそうだね」
「でしょ!」
則人は嬉しそうに頷く。
そして。
はっとする。
今は調査中だった。
すぐにノートを開く。
『ようかいにくわしい』
その横に。
大きな丸。
「よし……」
「何がよしなの?」
「なんでもない!」
おじいちゃんが首を傾げる。
則人はノートを隠した。
一つ目。
お茶が好き。
二つ目。
妖怪に詳しい。
「…………」
まだ。
これだけじゃ弱い。
もっと。
すごい共通点が必要だった。
◇
夕方。
「質問します!」
則人は。
現れたぬらりひょんの前に立った。
「断る」
「まだ何も言ってない!」
「昨日から嫌な予感しかしない」
「好きな飲み物は?」
「茶」
「やっぱり!」
則人が勢いよくノートを開く。
大きな丸。
ぐるぐる。
「何をしとる」
「共通点!」
「まだやっとったのか!」
「もちろん!」
「やめんか!」
「次!」
「聞け!」
「妖怪の昔話に詳しい?」
「わしは妖怪じゃぞ!」
「やっぱり!」
また。
丸。
「何が『やっぱり』じゃ!」
「おじいちゃんも妖怪に詳しかった!」
「昔話に詳しい老人くらいおるじゃろうが!」
「でも同じ!」
「その程度なら、いくらでも同じ者がおる!」
「…………」
則人がノートを見る。
「じゃあ」
「なんじゃ」
「もっとある!」
「まだあるのか」
則人が指を折る。
「おじいちゃんは、お茶が好き」
「うむ」
「妖怪に詳しい」
「うむ」
「おじいちゃん」
「見れば分かる」
「ぬらりひょんも、おじいちゃんっぽい!」
「最後だけ雑すぎるわ!」
則人が吹き出す。
「でも似てるじゃん!」
「似ておらん!」
「どっちも年寄りだし」
「誰が年寄りじゃ!」
「おじいちゃんじゃないの?」
「…………」
「今、何で止まったの?」
「お前の失礼さに呆れただけじゃ!」
「ふーん」
則人は、まったく納得していない。
ぬらりひょんが腕を組む。
「その程度で同じだと思うな」
「…………」
則人の動きが止まった。
ぬらりひょんも止まった。
「…………」
「…………」
則人が。
ゆっくり顔を上げる。
「今」
「なんじゃ」
「ぼく、『同じ』って言ってないよね?」
「…………」
「似てるって言っただけだよね?」
「…………」
ぬらりひょんが。
静かに空を見上げた。
「今日はよい風じゃな」
「またごまかした!」
「ごまかしておらん!」
「昨日もそれやった!」
「昨日は天気じゃ!」
「今日は風!」
「違うからよいじゃろう!」
「そういう問題じゃない!」
則人がぬらりひょんを指さす。
「やっぱり怪しい!」
「怪しくない!」
「絶対なんかある!」
「ない!」
「じゃあ、もっと調べる!」
「まだやる気か!」
「もちろん!」
則人はノートをぱらぱらとめくる。
「今日は二個増えた!」
「増やすな!」
「明日は、もっとすごい共通点探す!」
「やめんか!」
「お茶とか妖怪より、もっと決定的なやつ!」
「何を探す気じゃ!」
「まだ分かんない!」
「なら探すな!」
則人は。
もうすっかり探偵気分だった。
「絶対見つけるからね!」
「見つけんでよい!」
「じゃあねー!」
「待て!」
則人は。
楽しそうに走っていった。
◇
一人残されたぬらりひょんは。
その背中を見送りながら。
頭を抱えた。
「……面倒なことになったのう」
少しして。
顔を上げる。
「まったく」
深いため息をつく。
「昔から、妙なところだけ勘のよい小僧じゃ」
そして。
それ以上は。
何も言わなかった。
――つづく
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企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




