第1話「あの爺さん?」
着ぐるみモンスター
Another Story
「もし、ぬらりひょんが口を滑らせたら」
第1話「あの爺さん?」
内田紀人 作
※この物語は、本編とは異なる世界線の物語です。
「ぬらりひょんって、人の家に勝手に入って、お茶を飲むんでしょ?」
則人が、得意げに言った。
「…………」
ぬらりひょんの眉が、ぴくっと動く。
「……誰からそんな話を聞いたんじゃ」
「児童館のおじいちゃん!」
「まったく、あの爺さん……余計なことまで教えおって」
「…………」
ぬらりひょんが止まった。
則人も止まった。
数秒。
二人の間に、妙な沈黙が流れる。
「……今、なんて言った?」
「何も言っとらん」
「言ったよ」
「気のせいじゃ」
「『あの爺さん』って言った!」
「言っとらん」
「言った!」
「言っとらん!」
「絶対言った!」
則人が、じーっとぬらりひょんの顔を見る。
「…………」
ぬらりひょんが、わずかに顔をそらした。
「な、なんじゃ」
「児童館のおじいちゃん、知ってるの?」
「知らん」
「じゃあ、なんで『あの爺さん』って言ったの?」
「…………」
ぬらりひょんは、すっと空を見上げた。
「今日はよい天気じゃな」
則人も空を見上げた。
よく晴れている。
「ほんとだ!」
「そうじゃろう」
「……じゃなくて!」
「ちっ」
「今、舌打ちした!?」
「しとらん」
「ごまかした!」
「ごまかしておらん」
「絶対ごまかした!」
則人は、逃がさないと言わんばかりにぬらりひょんの前へ回り込む。
右へ。
ぬらりひょんも右へ。
左へ。
ぬらりひょんも左へ。
「ねえ」
「なんじゃ」
「知ってるんでしょ?」
「知らんと言っとる」
「ほんと?」
「ほんとじゃ」
「ほんとのほんと?」
「何回聞く気じゃ!」
則人は腕を組んだ。
「うーん……」
「何じゃ、その顔は」
「考えてる」
「何を」
「もしかして」
則人の目が、少しずつ輝き始める。
「児童館のおじいちゃんも妖怪とか?」
「なぜそうなる!」
「だって、おじいちゃん妖怪の話いっぱい知ってるもん」
「昔話に詳しい人間など、いくらでもおるわ!」
「でもさ」
「なんじゃ」
「お茶もよく飲んでるよ」
「だから何じゃ」
「ぬらりひょんもお茶好き?」
「好きじゃ」
「ほら!」
「何が『ほら』じゃ!」
則人が指を折り始めた。
「おじいちゃんは、お茶が好き」
「うむ」
「ぬらりひょんも、お茶が好き」
「茶が好きな年寄りなど珍しくもない!」
「おじいちゃんは妖怪に詳しい」
「そうらしいの」
「ぬらりひょんも妖怪に詳しい!」
「わしは妖怪じゃぞ!」
「あと」
則人がぬらりひょんを上から下まで眺める。
「二人とも、おじいちゃん!」
「最後だけ雑すぎるわ!」
「でも共通点あるじゃん!」
「その程度で何が分かる!」
「なんか怪しい!」
「どこがじゃ!」
則人は、さらに考え込む。
その表情を見て。
今度はぬらりひょんの方が嫌な予感を覚えた。
「……おい」
「なに?」
「今、何を考えとる」
「別に?」
「その顔は何か考えとる顔じゃ」
「じゃあ質問!」
「断る」
「まだ聞いてない!」
「聞かんでもろくな質問ではないと分かる」
「好きな飲み物は?」
「茶」
「やっぱり!」
則人の目が輝く。
「さっき聞いたじゃろうが!」
「確認!」
「何の確認じゃ!」
「次! 妖怪の昔話は詳しい?」
「だから、わしは妖怪じゃ!」
「やっぱり同じ!」
「何が同じなんじゃ!」
則人は、どんどん楽しくなってきた。
ぬらりひょんは、どんどん嫌そうな顔になっていく。
「よし」
「何が『よし』じゃ」
「もっと調べる!」
「何を」
「児童館のおじいちゃんと、ぬらりひょんの共通点!」
「やめんか!」
「なんで?」
「人を勝手に調べるでない!」
「探偵みたいで楽しそう!」
「誰が探偵じゃ!」
「ぼく!」
「聞いておらん!」
則人は、もうすっかりその気だった。
「明日、児童館で調べてくる!」
「やめろと言っとるじゃろう!」
「お茶以外にも、きっと何かあるよ!」
「ない!」
「まだ調べてないじゃん!」
「調べんでよい!」
則人が楽しそうに走り出す。
「待て!」
ぬらりひょんが呼び止める。
すると。
則人は少し離れたところで、ぴたりと止まった。
振り返る。
「ぬらりひょん!」
「なんじゃ!」
「絶対なんか隠してるでしょ!」
「隠しとらん!」
「ほんとかなー?」
にやり。
則人は笑う。
「明日、調べてくるからねー!」
「調べるなー!」
ぬらりひょんの声を背中で聞きながら。
則人は楽しそうに走っていった。
◇
一人残されたぬらりひょんは。
しばらく、その小さな背中を見送っていた。
「…………」
やがて。
深いため息。
「まったく……」
頭を掻く。
「あの小僧に余計なことを言うものではないのう」
ちらりと。
則人が消えていった方を見る。
「しばらくは、面倒なことになりそうじゃ」
その顔には。
いつもの呆れだけではない。
ほんの少し。
何かを隠している者だけが見せるような。
困った色が浮かんでいた。
――つづく
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
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企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




