↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
着ぐるみモンスター Another  作者: 内田紀人
ミラーカメレオン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
73/85

二か月後も

二か月後も


「そういえば」


 咲子が片付いた会場を見ながら、ふと思い出したように言った。


「次のバザー、二か月後にもあるんだよね」


「そうなの?」


 ミオが聞き返す。


「最初に聞いたでしょ!」


「あ、そうだった!」


「忘れてたの?」


「今日のことで頭いっぱいだった!」


「まだ今日終わったばっかりだけど」


「だからだよ!」


 咲子が呆れたように笑う。


 天女が二人を見る。


「二か月後にも、今日と同じような催しがあるのですか?」


「うん。たぶん今日とまったく同じじゃないと思うけど、またバザーがあるって」


「そうなんですね……」


 天女は少し考え込んだ。


 その視線が、商品が並んでいた机へ向く。


「どうしたの?」


「いえ」


 天女が笑う。


「今日、とても楽しかったので」


「天女、ほとんど遊んでたもんね」


「ちゃんと皆さんのお店も見ていました!」


「ほかのお店も全部見ようとしてたけど」


「それは……気になったので」


「やっぱり遊んでたんじゃん」


「違います!」


 三人が笑った。


     ◇


 少し前まで商品でいっぱいだった机には、もう何もない。


 残った商品も箱へ戻し、売上もまとめた。


 人で賑わっていた会場も、少しずつ片付けの時間へ移っている。


 ミオは何もなくなった机を見ながら言った。


「でも、次かあ」


「まだやるって決まったわけじゃないよ」


 咲子が答える。


「分かってるよ」


「妖怪側がどうするかも聞かないといけないし」


「売るものだって必要だもんね」


「そういうこと」


 今日売れ残ったものもある。


 それをもう一度出すのか。


 値段を変えるのか。


 新しい品物を追加するのか。


 そもそも、もう一度参加するのか。


 決めることはいくらでもあった。


「天女はどう思う?」


「私ですか?」


「またやりたい?」


「やりたいです!」


 返事は早かった。


「即答だ」


「だって楽しかったですから!」


「何が一番?」


 咲子が聞く。


「一番……」


 天女が考える。


「いろいろなお店を見ることです!」


「そっち!?」


 ミオが突っ込んだ。


「もちろん、私たちの品物が売れるのも嬉しかったですよ!」


「今、後から足したよね?」


「足してません!」


「絶対足した!」


「本当です!」


 天女は慌てて否定する。


「人間の方が私たちの品物を手に取ってくださるのも嬉しかったですし、何を選ぶのかを見るのも面白かったです。それに、人間の食べ物も――」


「やっぱり遊ぶ方が多いじゃん」


「違います!」


 咲子が横で笑っていた。


     ◇


「でも」


 天女が少し真面目な顔になる。


「次も参加するかどうかは、私だけでは決められません」


「そうだよね」


「今日のことを、皆さんにお話ししてみます」


「売れたことも?」


「もちろんです」


「売上で何を買うかも決めないといけないしね」


「はい」


 妖怪たちが欲しいものを手に入れるために始めたバザーだった。


 今日の売上を何に使うのか。


 二か月後にも参加するのか。


 どちらも、妖怪たち自身が話し合って決めることになる。


「じゃあ、上で相談してくるんだ」


「はい」


 天女が頷いた。


「皆さんが何を欲しがるのか、私も楽しみです」


「天女は候補いっぱいあるもんね」


「はい!」


「そこは否定しないんだ」


     ◇


 ミオは少し考えてから、天女に聞いた。


「もしさ」


「はい?」


「またバザーやることになったら……私たち、また手伝う?」


「え?」


 天女が目を丸くした。


「ミオ、誰に聞いてるの?」


 咲子が言う。


「咲子」


「やっぱり」


「私は手伝ってもいいよ」


 ミオはあっさり言った。


「今日、面白かったし」


「朝はあんなに緊張してたのに」


「それは初めてだったから!」


「最初のお客さん来ただけで固まってたよね」


「咲子だって緊張してたじゃん!」


「ミオほどじゃない」


「またそれ!」


 ミオが頬を膨らませる。


 天女はそんな二人を楽しそうに見ていた。


「で、咲子は?」


「私は……」


 咲子は少し考える。


 朝からのことを思い返す。


 誰も買ってくれなかったらどうしようと心配した。


 最初の商品が売れたときには、ミオと一緒に喜んだ。


 午前と午後で客が変わり、売れる商品まで変わった。


 忙しかった。


 疲れた。


 それでも。


「まあ、またやるなら手伝うよ」


 咲子が答えた。


「ほんと!?」


「やるなら、だからね」


「やった!」


「まだ開催するって決まってない!」


「でも手伝ってくれるんでしょ?」


「だから、やるなら!」


 天女の顔が一気に明るくなる。


「ありがとうございます!」


「天女まで喜ばないでよ。まだ決まってないって」


「でも、もし決まったらまたお願いできるんですよね?」


「まあ……うん」


「はい」


 天女は嬉しそうに頷いた。


     ◇


「次やるならさ」


 ミオが言った。


「今度はもっと上手くできるよね」


「どうだろ」


「できるって!」


「例えば?」


「朝は大人の人が多かったから、千円とか二千円くらいのを見やすいところに置く」


「うん」


「午後になったら、百円とか三百円とか五百円くらいのを前に出す!」


「それはよさそう」


「高いのは……」


「そこが問題だね」


「もうちょっと値段考える?」


「それも妖怪側と相談じゃない?」


「そっか」


「商品も同じとは限らないし」


「ああ、そうだった」


 まだ二回目をやると決まったわけでもないのに、二人の間ではすでに次の話が始まっている。


 天女が笑う。


「お二人とも、もう次をやる気になっていますね」


「え?」


 ミオが止まる。


「……ほんとだ」


 咲子も気づいた。


「まだ決まってないのに」


「まあ、いいじゃん」


「ミオが言い出したんでしょ」


「咲子も考えてたじゃん!」


「それは……」


「ほら!」


「うるさい!」


     ◇


 会場の片付けも、ほとんど終わっていた。


 朝から続いていた賑わいも少しずつ遠ざかり、何もなくなった机だけが残っている。


 ミオはその机をもう一度見た。


「朝は、ここいっぱいだったんだよね」


「うん」


「ほんとに一日で終わったんだ」


「またそれ?」


「だって、なんか変な感じ」


 朝には不安だった。


 売れるのか。


 ちゃんと接客できるのか。


 値段は合っているのか。


 何も分からなかった。


 けれど終わってみれば、失敗したことも、迷ったことも含めて、次に使えそうなことがたくさん残っている。


「次は、もうちょっと余裕あるかな」


 ミオが言う。


「どうかな」


「あるって!」


「また最初のお客さんで固まったりして」


「しないよ!」


「ほんと?」


「たぶん!」


「そこは言い切りなよ」


 三人が笑った。


     ◇


「では、私は戻って皆さんにお話ししてきます」


 天女が言った。


「うん」


「売上で何が欲しいかも聞いてきてね」


「はい!」


「全部天女が決めちゃ駄目だよ」


「決めません!」


「ほんと?」


「……欲しいものは言います」


「やっぱり」


 ミオが笑う。


「あと、二か月後のことも」


 咲子が言った。


「はい。皆さんに相談してみます」


「決まったら教えてね」


「もちろんです」


 天女は二人へ笑顔を向けた。


「今日は、本当にありがとうございました」


「どういたしまして」


「またやるなら、そのときね」


「はい!」


 次のバザーは二か月後。


 妖怪たちがもう一度参加するのかは、まだ決まっていない。


 今回の売上で何を買うのかも、これから決める。


 それでも、ミオと咲子の答えだけは決まっていた。


 もし、もう一度店を開くのなら。


 二人はまた手伝う。


 初めてのときより少しだけ慣れた声で、また「いらっしゃいませ」と言うために。


 天女は上の世界へ戻っていった。


 今度は、今日一日の結果と、二か月後の話を持って。

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。