第2話「あるのに、ない!?」
着ぐるみモンスター
Another Story
「もし、最初の当たりが忘れ物小僧だったら」
第2話「あるのに、ない!?」
内田紀人 作
※この物語は、本編とは異なる世界線の物語です。
「ちゃんとあるよ!」
「ないって」
「ある!」
「どこ?」
則人とさとるの言い合いは、しばらく続いていた。
問題の大きなバッグは。
二人のすぐ目の前にある。
則人には、いつも通りはっきり見えている。
さとるも。
じっと見れば――。
「あ……これ?」
と、一度は気づく。
「そう! それ!」
「こんなのあったっけ?」
「あったよ! ずっと!」
「そうだっけ……」
さとるが首を傾げる。
そして。
ほんの少しだけ、目を離した。
「…………」
数秒後。
「ねえ、さとる君」
「なに?」
「バッグ」
「バッグ?」
「…………」
則人が目を丸くする。
「忘れた!?」
「何を?」
「今見たじゃん!」
「何を?」
「バッグ!」
「どこに?」
「そこー!」
また最初からだった。
「すごーい!」
則人の目が輝く。
「喜ぶところなの?」
さとるは困ったように言った。
その横で。
ぬらりひょんは、まったく笑っていなかった。
「忘れ物小僧」
「はい」
「戻せるんじゃろうな?」
「戻せます」
「なら、さっさと――」
「待って!」
則人が両手を広げた。
ぬらりひょんが嫌そうに眉をひそめる。
「なんじゃ」
「これ、すごく便利じゃない?」
「何がじゃ」
「だって、このバッグ大きいからさ」
則人がバッグをぽんと叩く。
「児童館に持っていくと、すっごく目立つんだよ」
「ほう」
「でも、みんながすぐ忘れちゃうなら」
則人の顔が、どんどん楽しそうになる。
「持ってても気にされないじゃん!」
忘れ物小僧も頷いた。
「そういう使い方もできますね」
「でしょ!」
「感心するでない」
ぬらりひょんが二人を睨む。
「よいか。物そのものが消えたわけではないぞ」
「分かってるよ」
「本当に分かっとるのか?」
「うん!」
ぬらりひょんはしばらく則人を見る。
「…………」
まったく信用していない顔だった。
◇
その日の児童館。
「こんにちはー!」
「おかえり、則人くん」
職員が則人を迎える。
ランドセル。
その横には。
KIDの着ぐるみが入った、大きなバッグ。
かなり目立つ。
少なくとも。
本来なら。
「…………」
職員は則人を見る。
ランドセルを見る。
大きなバッグを見る。
そして。
「今日は荷物少ないね」
「え?」
則人が自分の横を見る。
ある。
ものすごく大きいものが。
「これあるよ?」
「何が?」
「バッグ」
「ランドセル?」
「こっち!」
則人が大きなバッグを指さす。
職員が目を凝らした。
「ああ……」
ようやく気づく。
「本当だ。大きいバッグ持ってたんだね」
「うん!」
則人は笑いをこらえる。
職員も一度は、ちゃんとバッグを見ていた。
ところが。
数秒後。
「じゃあ、ランドセル置いておいで」
「こっちのバッグは?」
「バッグ?」
「…………」
則人は口元を押さえた。
「ふふっ……!」
「どうしたの?」
「なんでもない!」
少し離れたところでは。
忘れ物小僧が満足そうに頷いていた。
「完璧ですね」
「うん!」
「何が完璧じゃ」
ぬらりひょんだけは呆れている。
「これなら、誰もバッグのこと言わない!」
「便利ですね」
「でしょ!」
則人と忘れ物小僧が嬉しそうに顔を見合わせた。
ぬらりひょんは大きく息を吐く。
「だから、物が無くなったわけではないと言っとるじゃろうが」
「大丈夫だって!」
「その言葉ほど不安なものはないのう」
そして。
ぬらりひょんの嫌な予感は。
すぐに当たった。
◇
「わっ!」
ドン!
「痛っ!」
一人の子が何かにぶつかり、よろけた。
「大丈夫!?」
則人が駆け寄る。
「う、うん……」
その子は、自分がぶつかったものを探すように辺りを見る。
「何にぶつかったんだろ……」
「これだよ!」
則人がバッグを指さす。
「これ?」
「あ……ほんとだ」
一瞬。
その子にもバッグが見えた。
けれど。
「…………」
目を離す。
「何だっけ?」
「また忘れた!」
則人が忘れ物小僧を見る。
「危ないじゃん!」
「そうですね」
「そうですね、じゃないよ!」
「だから言ったじゃろう」
ぬらりひょんが腕を組む。
「見えにくいことと、そこに無いことは違う」
「…………」
則人はバッグを見る。
大きい。
重い。
ちゃんと、そこにある。
誰かが気にしなくなっても。
ぶつかれば痛い。
邪魔な場所に置けば。
やっぱり邪魔だ。
「……これ、ちゃんと置く場所考えないとダメだ」
「やっと分かったか」
「うん」
則人はバッグを抱き上げた。
「見えなくなったみたいでも、なくなってないんだもんね」
「そういうことじゃ」
「じゃあ、持ってればいい?」
「人にぶつけんようにな」
「分かった!」
忘れ物小僧も、バッグを見ながら頷く。
「使い方を考えないとダメですね」
「そうだよ!」
則人が言う。
さっきまで。
二人とも同じように面白がっていた気もするが。
則人はもう忘れているらしい。
「でも」
忘れ物小僧が言った。
「使い方さえ考えれば、やっぱり便利ですよ」
「ほんと?」
則人がすぐに食いつく。
ぬらりひょんの顔が険しくなった。
「おい」
「例えば――」
「余計なことを教えるなよ」
忘れ物小僧が少し考える。
そして。
「宿題とか」
「宿題!?」
則人の目が。
ものすごく輝いた。
ぬらりひょんが頭を抱える。
「言うと思ったわ!」
「宿題も忘れられるの!?」
「できますよ」
「すごい!」
「すごくない!」
「じゃあ先生も――」
「やめんか!」
ぬらりひょんの声が、児童館に響いた。
――つづく
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。
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【人間×生成AIによる合作作品】
企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




