53話:名もなき行列
列が、南へ伸びていた。
メシャラを出てから半日。ファトマが「歩く」と言ったその速さで、十四人の集団は街道を進んでいた。誰も口数が多くなかった。荷物の重さの違いだけが、各々の足どりに表れていた。
南へ向かう街道に、他の旅人の姿はなかった。本来なら交易の馬車や行商の列があるはずの道だった。今は、空いていた。空いていることが、街道の異常を告げていた。誰かが先を行ったか、誰かが戻ってこなくなったか——どちらかだ、とルシェンは考えた。どちらにせよ、いい兆しではなかった。
ルシェンは先頭を歩いていた。
なぜ先頭かと問われても、答えは「そうなったから」しかない。出発のとき、ファトマが「お前が前だ」とは言わなかった。ただ、ファトマが後ろに退いた。それでルシェンが前に立った。後ろの者たちは、誰が先頭かを確認するように、ルシェンの方を見た。見られたから、先頭にいる。ただそれだけだった。
ポケットにルマの地図がある。南への道は、頭の中にも入っている。だが、地図に書かれていないのは、道の上に何があるかだった。誰がいて、誰がいなくて、何が燃えていて、何が残っているのか——歩いてみなければ、わからない。
***
日が傾く前に、街道を外れた。
窪地があった。三方を斜面に囲まれ、南の一面だけが開けている。入ってしまえば外から見えにくい形だ。ルシェンは少し離れた場所からも、その窪地を確認した。街道からは見えない。風の通り道でもない。火を焚かなければ、夜の暗闇に紛れる場所だった。
「今夜はここで止まる」
荷物が下ろされた。人が座り込んだ。腰を下ろしたあと、すぐには立ち上がれない者が、何人かいた。歩くことに、まだ慣れていない者がいた。メシャラを離れて初日の夜だった。脚の使い方を、皆が、これから覚えていくことになる。
「火は出さない」
誰かが「寒い」と言った。
「見える」とルシェンは言った。
それだけで足りた。火は出なかった。暗い中で人が体を寄せ、老人が老人に背中を向け、子供が母親の腕の中に入った。ベシムがその端に座って、膝を立てて目を閉じた。ファトマはベシムの隣で、杖を両手に持って静かにしていた。十四人が、寄り固まって、夜をやり過ごす形になった。
***
全員が落ち着いてから、食糧を確認した。
メシャラから持ち出したもの全部を、地面に並べて、ルシェンが数えた。乾し肉、保存麦、塩漬けの野菜、わずかな油。子供の母親が、布の包みの底から、固いパンを三つ出した。「ここまで取っておいた」と小さく言った。ルシェンは礼を言って、その三つも、共有の山に加えた。
全部を合算した。十四人を賄えるのは、この計算では六日が限度だ。
(ノームの自治区まで、十日以上かかる)
間に合わない。途中でどこかから調達する必要がある。畑があれば残り物を、廃村があれば貯蔵庫を、あるいは——途中で出会う者があれば、分け合うことになるか。だが今夜、それを言っても意味がない。聞いた者を、明日歩く前から重くするだけだ。
「明日から配給を決める」とルシェンは言った。「一日分を全員で分ける。守ってくれ」
誰も反論しなかった。ファトマが「正しい」と言った。それで基準になった。
***
深夜、眠れなかった。
頬の傷がまだかすかに痛む。静かすぎる夜は、いろいろなものを連れてくる。村のスポメニックの石の重さ、出発の朝の母の顔、ドラガンが去る前の「すぐ戻る」、ティセラが「覚えている」と言った声——順に来て、順に去った。
荷物の中から、布に包んだ束を取り出した。
ティセラが渡した巻物の束だ。「この村の記録だ」と言って置いていった。「あなたが一番、使い方を知っている」——あの朝の声が今も聞こえる気がする。
一番上の巻物を手に取った。紐をほどいた。月明かりを頼りに、最初の一行だけ読んだ。
「メシャラ村は、かつて五つの種族が共に生きた場所だった」
(かつて、と書いた)
あの朝、この一文を読んだとき、過去形だと思った。今夜、街道の脇でまた読んで、その言葉が別の重さで来た。場所はまだある。石の壁が残っている。スポメニックは立っている。しかし人がいなくなれば、場所は過去になる。語り部はそれを知っていた。だから出発する前に、もう「かつて」と書いた。
もう一行、読んだ。
「この記録は、戻る者のためのものではない。覚えている者のためのものだ」
ルシェンは、しばらく動かなかった。
ティセラがこれを書いたとき、何を考えていたのか。戻れないと知っていて、それでも書いた。覚えている者のために——その「者」が誰なのか、ティセラは名指さない。だが、書いた者と読む者の間には、確かに約束があった。
巻物を閉じた。紐を結んだ。束に戻した。
***
南の空に光が見えた。
小さな赤みだった。火事か、篝火か、街の灯りか、遠すぎて判断できない。位置からすると、街道の先、二日分の距離。
ルシェンは見ていた。
判断しなかった。朝になればわかる。今夜は、そこに光があるということだけを知っていれば足りる。光がある、ということは、人がいる、ということだ。生きているのか、燃やしているのか——それは、近づいてみなければわからない。
目を閉じた。
眠れたかどうかは、自分でもわからなかった。




