49話:炉に火を入れる
最初の一打は、狂っていた。
力の方向が違った。金床に対して角度がついた。鉄の表面が荒れた。もう一打。今度は深く入りすぎた。薄くなりすぎている。もう一打。また修正。修正しながら形を作る。師匠のやり方はそうではなかった。師匠は最初から方向が決まっていた。ルシェンの手は、打ちながら形を探していた。
それでも、鉄は形を変えた。
赤い状態で打ち、水に入れ、また炉に戻し、また打った。繰り返した。一時間後、作業台の上に刃物が一本あった。粗削りで、師匠の作とは比べ物にならない。だが刃が付いていた。紙を当てると、切れた。
(切れる)
それだけを確かめた。美しさは後だ、と思った。今は、切れることが先だ。
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翌朝、若者三人が来た。
カジミルとヤンコとネマニャ。ヒューマンの若者たちだ。三人とも鍛冶の経験はない。
「何をすればいいか」と聞いた。
ルシェンは炉、風箱、冷却水の桶を順番に指差した。炉の炭の補充、風箱の操作のタイミング、水の温度管理——それぞれに割り振った。
「詳しいな」とカジミルが言った。
「教わったんだ」とルシェンは言った。
教えながら、気づいた。自分が師匠の言葉をそのまま繰り返している。「炭は多すぎてもだめだ。空気の通り道が塞がれる」——ボグダンの声がそのまま出てきた。「水に入れるタイミングは色で見る。黄色から橙に変わったら、まだ早い」——それもボグダンの言葉だった。
師匠はいない。だが師匠の声は、ルシェンの中に入っている。
同時に、別の声も来た。
「叩きすぎれば折れる。人も国も同じだ」——炉の前でボグダンが言った言葉だ。合金の話として言ったのか、それ以上の話として言ったのか、あの日も判然としなかった。
今、ルシェンが打っているのは守るための刃だ。折るためではない——そう思おうとした。だが、守るための刃と折るための刃の間に線があるかどうか、ルシェンには分からなかった。打ちながら、その問いが来た。
答えは出なかった。出ないまま、次の打撃に移った。
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三日目、ベシムが来た。
「俺は不器用だ。でも力はある」
「じゃあこれを」
ルシェンが一番重い作業——炉への炭の補充と、加熱した鉄の運搬——をベシムに任せた。鉄の重さを扱う仕事だ。精巧さは要らない。力と安定性がいる。
ベシムはその日から、黙って炭を担い、黙って鉄を渡した。余計なことを言わなかった。言われたことだけをした。それが大きな助けになった。
鍛冶場が、音を取り戻した。
炉の音。風箱の音。金床に当たる金槌の音。水が沸く音。冷却の音。一つ一つの音が戻ってきて、鍛冶場が鍛冶場になった。師匠がいた頃と同じ音ではない。もっと荒削りで、もっとぎこちない。だがそれは音だった。
***
五日目に、作った刃物をファトマのところへ持っていった。
六本。短刀が四本、長刀が二本。どれも師匠の水準には遠い。だが実用に耐える。
ファトマが一本手に取った。刃を日光に当てて見た。表面の荒れを確認した。重さを確かめるように持ち直した。
「使えるか」とルシェンは聞いた。
「使える」とファトマは言った。「これで全部が変わるとは言わない。だが、何もないよりはいい」
それだけ言って、刃物を返した。
***
一週間が経った頃、鍛冶場の中には毎日六人がいるようになっていた。
ルシェンが打つ。三人が補助する。ベシムが炭と鉄を運ぶ。もう一人が完成品を整理して布に包む。それが一日の流れになった。
夕暮れ、最後の作業が終わり、人が帰っていった後、ルシェンは一人でボグダンの金床に手を置いた。
温かかった。
一日の仕事の熱が、金床の鉄に残っている。師匠が去ってから初めて、この金床が一日の仕事の温みを持ち続けた。炉の余熱ではなく、仕事の熱だ。
そこに、ファトマが来た。
戸口から中を覗いた。刃物の束を見た。ルシェンを見た。
何も言わなかった。それから言った。
「お祭りは終わった」
「はい」
「これは、祭りの後の日々だ」とファトマが言った。「分かるか」
ルシェンはすぐには答えなかった。
祭りのあとの日々。村の祭りが象徴していたもの——異なる種族が集まり、食べ、笑い、音楽を鳴らした時代——がもう終わったということだ。これから打つ刃は、その後の時代のためのものだ。
「分かります」とルシェンは言った。
ファトマが頷いた。それだけ言って、去った。
ルシェンは金床の温もりに手を当てたまま、しばらくそこにいた。




