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七つの国境、ひとつの故郷  作者: Jint
第1章:黄金の揺籃

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45話:最後の守護精霊祭

 飾り布が半分しかなかった。


 守護精霊祭の前日、広場への飾り付けをしながらルシェンは気づいた。例年ならエルフが持ち寄る刺繍入りの布が、今年は半分の量しかない。ヒューマンの女性たちが野花の飾りで埋めようとしているが、そもそも台が少ない。色が少ない。声が少ない。


 それでも、祭りは始まる。


 始まらなければ、終わってしまう。終わってしまえば、始まらなかったことになる——ファトマがそう言ったわけではないが、ルシェンにはその判断が見えていた。


 準備を手伝いながら、ルシェンは広場のテーブルを見渡した。


 西側の端が空いていた。


 ***


 毎年、ドワーフが座る場所だった。


 西端の長テーブル。今年もテーブルは出してある。誰かが——たぶん惰性で——テーブルだけは出した。だが椅子が置かれていなかった。テーブルがあって、椅子がない。そういう状態で、今年の準備が進んでいた。


 ルシェンは倉の方に行き、椅子を二脚持ってきた。テーブルの前に置いた。


 誰かが見ていた。ヒューマンの年配の女性が、少し驚いた顔でそれを見た。何も言わなかった。


 ルシェンはもう一度倉に行き、杯を一つ持ってきた。椅子の一つの前に置いた。麦酒を注いだ。


 ドラガンがいつも座っていた場所だ。


 杯を置いて、その場を離れた。振り返らなかった。


 ***


 祭りの本番は夕方から始まった。


 かつては五つの種族が集まり、それぞれの楽器と声で守護精霊への感謝を捧げた。エルフの笛と弦。ドワーフの太鼓と低い合唱。ヒューマンの歌。オークの打楽器。ノームの——ノームはずいぶん前からあまり来なくなっていたが、それでも各種族の音が重なり合う豊かさがあった。


 今年はエルフの笛と、ヒューマンの歌だけだった。


 悪くはなかった。美しかった。だが、何かが欠けていた。低音が欠けていた。大地を打つような音が欠けていた。ルシェンは料理の皿を前に、その欠けた音の場所を感じていた。


 エルフの老人が静かに泣いていた。去年も、一昨年も、祭りで涙を流していた老人だ。毎年泣く人だと思っていた。今年の涙は、同じ量だが意味が違う気がした。


 ***


 食事の後、エルフの長老が立ち上がった。挨拶をする習慣がある。例年は各種族の代表が順番に立つが、今年は一人だけだった。


「今年の守護精霊祭は、古来の形に近い姿で執り行うことができました」と長老は言った。「精霊は種族を選ばない。しかし、精霊への祈りは本来の言葉で、本来の形で捧げるのが正しい姿であります。融和の時代に失われていたものを、私たちは今、取り戻しつつある」


 拍手があった。エルフの者たちから。


 ルシェンは拍手しなかった。


(本来の形。失われていたもの)


 去年の祭りを思い出した。一昨年の祭りを思い出した。ドワーフの太鼓が広場に響いていた。オークの打楽器が地面を揺らしていた。エルフの笛が夜空に伸びていた。それが失われていたのではなく、失われたのだ——去年から今年にかけて、一つ一つが消えていった。


 「本来の形に戻った」のではなく、「削られていった結果がこれだ」という方が、ルシェンには正確に見えた。


 だが、口を開かなかった。


 広場の隅を見た。ティセラがいた。小さな卓の前に座り、巻物を広げて、長老の言葉を書き取っている。筆が動いている。一字一句、正確に写している。


 ルシェンと目が合った。


 ティセラが小さく首を振った。賛同しているのではない。否定しているのでもない。「記録している」という合図だった。すべてを記録している。この言葉も、この空気も、この欠落も。


 ルシェンは頷いた。


 ***


 片付けをしているとき、ベシムが来てルシェンの袖を引いた。


「少しいいか」


「何だ」


 ベシムが少し言いにくそうに、それでも言った。


「今年の守護精霊祭、オークには声がかからなかった。俺の家族も、カリム爺さんも、誰一人、招待を受けなかった」


 ルシェンは返す言葉を探した。


「去年まではいたのに」とベシムが続けた。感情的ではなかった。事実を確認するような、静かな言い方だった。「今年は、最初から名前に入っていなかった。そういうことだ」


 ベシムが行ってしまった。


 ルシェンは広場に残って、後片付けを続けた。


 ドラガンのために置いた杯が、空のまま残っていた。誰が飲んだわけでもない。麦酒がそのままあった。ルシェンは杯を手に取り、中身を広場の端の土の上に注いだ。


 精霊への供え物にするという、ドワーフの習慣だ。去年まで、ドラガンがいつもそうしていた。


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