41話 弔い
私はシュバルァーさんに連れられてやってきた場所、そこはサンドワームに喰われ亡くなった人の遺体安置所だった。
「本来なら家族を呼びたいところだが今は戦争中だろう、一人ずつしか呼べないんだ」
「もし敵対勢力同士が出会ったら……」
「そういう事だ、だが冒険者の死は毎日のように起こっているんだがここまで心にクる物はない」
「……どうしてですか?」
「俺があの受付嬢の異変に気が付けていれば犠牲は少なかったはずだ。どうして見抜けなかったんだ」
どうやらシュバルァーさんはあの受付嬢の正体を見破れなかったことに後悔の念を抱いていた。
「だがあの受付嬢を疑い切れていなかったんだ……俺はギルドマスター失格かな」
「いやそれはない!」
セラフィスがそう言った。
「私もあの受付嬢の正体がスライムなんて見抜けなかったさ、だったら私は神失格なんだよ!」
「……ギルドマスターと神は天と地の差があるじゃあないか」
「天と地の差があったとしても、立場は同じだと思うんだ」
「そうですよシュバルァーさん、正直私じゃあなかったら見抜けてなかったですけどあのスライムの布陣は完璧だった。完璧すぎたが故に私の鎌掛け合いに負けた。だから最初から見抜けていなかった私が悪かったですよ」
「……そうか」
シュバルァーさんは冷たい地面に寝かされている遺体の中からナイフを慎重に取り出し、自身の腕を切りつけた。
「何やってるんだ!?」
私は止めにかかるがセラフィスはそれを無言で止めた。
「どうして止めるんだセラフィス!」
「これが今できる俺のケジメだ……まだこの冒険者の痛みとは遠いけど、俺はこの痛みと共に過ごすことにするよ」
「でも血が……溢れてきてますよ!?」
「切りつけたから当然だ。だがこれは切りどころが悪かった。数分以内に出血で死んじゃうよ」
「だと思った。だがどうしてそこまで冒険者に寄り添うんだ?」
「……冒険者無くしてギルド無しだ」
そう言ってシュバルァーさんは私たちを遺体安置所から出した。
「ここから親族が入ってくる、君たちはどこかでゆっくりしていてくれ」
「分かったけどその傷は」
「セラフィスが回復魔法をかけてくれた。とりあえず出血が収まる程度にな」
「ふん」
そう言ってシュバルァーさんは親族を遺体安置所に入れていった。
「あの人はあの人なりに仕事をしているのね……かっこいいな」
そう言って私たちはナナシの元に戻ることにした。
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