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漫才ガール!!  作者: わったん
第ニ幕 ガーリー・ロック始動編
40/65

第40話 ヴァンパイアハンター華と2つの玉

 乱子に〝ココ〟と呼ばれたお姉さんは、血のように赤い目で睨みつけながら華達に近付いてくる。口からは、人とは思えない鋭い牙が2本飛び出しており、鋭くこちらを狙っているようだ。


「乱子!あたしの後ろに隠れて!」


「は…華!一体これは何なん!?」


 乱子は酷く怯えながら華の背中に隠れるように逃げた。そんな彼女を勇ましい表情で華が庇っている。


「あの人はヴァンパイアの殺し屋やで!その証拠に赤い髪に赤い目をしてる!でも安心して!あたしが乱子を守ってあげるから!」


「華…。あんたって人は…可愛いツッコミだけじゃなくて…まさかヴァンパイアハンターやったなんて!」


「さぁ!覚悟しーや!あたしのこの聖なる十字架で消え去りなさい!ヴァンパイアお姉さん!」


 華は、いつの間にか首から下げていた十字架を手に取り、それをココに向けるとその十字架は聖なる光を強く発し始めた。


「ぐぎゃぁぁぁぁ!!美しく可憐なヴァンパイアハンターめぇー!!覚えていろぉーー!!」


 華が放った聖なる光を浴びたココは、太陽の光に焼かれたように灰になって消えていく。


「す…凄いよ華!いいえ!これからは最強美少女ハンター華様って呼ばせてもらいます!」


「おほほほほ!あたしは世界を救うんや!やるで!やったるんやでぇぇ!!」


・

・

・


「おーい。華ー。大丈夫かぁー?」


 自分を呼ぶ乱子の声と、顔をペシペシと叩かれている感触で、華はガバッと勢い良く起き上がる。


「は!?世界を救わなければ!!」


 夢の続きを叫びながら華は起き上がったが、目の前にはココの無表情な顔が間近にあった。


「のわぁぁー!!ヴァンパイアめぇー!!まだ生きてたんかぁ!!ぬぉぉ!あたしの聖なる十字架でもう一度ぉぉぉ…ぉ……ぉ…ぉ…。あ…あれ…?」


 そこで、華はさっきまでの出来事が夢だった事に気付く。恥ずかしさにより、茹でダコ並に顔が真っ赤になっていく華を指差して、ココが無表情のまま乱子に質問をする。


「このおもろい子誰なん?」


「えっと、うちの新しい相方っす。」


「へぇ〜。あんた相方出来たんや。」


 醜態を晒してしまった事が原因でフリーズしている華に向けて、ココは握手をするために手を差し出した。


「私ココって言うねん。」


「ひゃ…ひゃ…あたし…は…華…です…。」


 ココから差し出された手を華は握るが、その動きはロボットのようにカクカクしている。


「よろしくな。ヴァンパイアハンター。」


「いやぁぁぁ!!やめてくださいぃぃ!!どうにか忘れて下さいぃぃ!!」


 厨二病を爆発させたような出来事は置いておき、乱子とココはカウンターの中に入り、華はヨロヨロとした足取りでカウンター席に座った。


「えー!改めまして、このBARのオーナーのココさんです!で、こっちはうちの相方の華です!」


 この場を仕切り直すために、乱子が改めて二人の紹介をする。


「いやー。おもろかったわー。」


「絶対嘘じゃないですか…。さっきからずっと無表情ですよ…。」


「ココさんはな、感情をほとんど表に見せん人やねん。いつも怒ってるように見えるけど全然ちゃうから安心してな。怒ってる時は先に手が出るから!」


 意気揚々と説明している乱子に対し、ココは突然乱子の二の腕あたりを殴る。


「痛ーー!!」


「あんた遅刻し過ぎな。しばくぞ。」


「ほ…ほらな…。ココさんが怒ってる時はこんな感じやから…。」


「へ…へぇ〜…。分かりやすい例がすぐに見れて良かったです…。」


 するとココは、かなり痛がっている乱子を放置して、きつい眼差しのまま華にオーダーを聞いてきた。


「飲み物何にする?」


「あ!えっと〜…。」


 華は目の前にあったメニュー表を開くと、ココからの威圧感もあり、ウィスキーの欄にあった『ゴールデンハイボール』というものを適当に選ぶ。


「こ…このゴールデンハイボールをお願いします!」


「あいよ。ウィスキーはジャックでええか?」


「は…はい!それで良いです!」


 オーダーを受けたココは、普通にウィスキーとソーダをグラスに入れて混ぜる。


(あ、良かった。普通のハイボールや。なんか特別なやつやったらどうしようって思ってたから良かった。)


 ココのお酒を作る手元を見ていた華は安心するが、ココは最後にお酒の中へ金色のビー玉のような物を2つ入れた。


「はい。どうぞ。ゴールデンハイボールです。」


「あ…ありがとうございます…。」


 そして、華は出されたお酒を一口飲むが、味はいたって普通のハイボールであった。そこで、この2つの玉の事が気になった華は、恐る恐るこの玉の意味をココに聞く。


「あの、この玉って何なんですか?何か味に変わりが出るとか何ですか?」


「ん?それは金玉やで。」


「へ…金…何て言いました?」


「金玉。」


(聞き間違いやなかった…。金玉って無表情で2回言われたん生まれて初めてやわ…。)


 愕然とした華に気付いたのか、乱子がフォローに入る。


「あ、そうか。華に言ってなかったもんな、このBARがどんなんなんか。」


「どういう事!?」


「ここな、下ネタBARやねん。だから金玉とかいっぱい下ネタが散りばめられてんねん。」


 聞き慣れない『下ネタBAR』という単語に、華は嫌な予感をひしひしと感じるのであった。

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