↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漫才ガール!!  作者: わったん
第一幕 最強コンビ結成編
16/22

第16話 憤怒の乱子

 劇場に居る人達全員が乱子の方に注目する。何かのイベントが始まったのかと勘違いする者も居るが、激怒した乱子の顔を見ると、その考えの間違いに気付く。


「お前らなぁ!うちの…!」


バチーーーーーンッ!!!!


「痛ったぁーーーー!!」


 肩で呼吸するほど息の荒い乱子が、また何か叫ぼうとするが、鉄平に頭を後ろから叩かれて邪魔される。


「このボケ乱子!チケットも買わんと飛び込みやがって!お前の分まで払わされたやんけ!払えよ!きっちりチケット代!払えよ!」


「ケチケチすんなや!男やったら女に奢るのが当たり前やろが!ハゲ!」


「ハゲちゃうわ!坊主じゃ!シャンプーもパンテーン使ってるわ!」


「パンティで洗ってるとか…ほんまもんの変態やな…鉄平…。長い付き合いやけど…警察…呼ぶわな…。」


「パンテーンじゃ!どうやってパンティが泡立つねん!」


 乱子と鉄平の罵り合いが始まると、周りはザワつきが激しくなる。

 その様子を舞台の上から見ていた紫音は、顔付きが先程とは変わり、少し怒りが垣間見える。


「誰やねん…あいつら…邪魔しやがって…。」


 紫音は、誰にも聞こえないようにそう呟くと、華の方へ視線を移す。


(チッ!バキバキに心を折ったのに…!あいつらが来てから、また華奈に生気が戻りだしたやんか…!どうにかせんと…!)


 そこで、紫音は表情を泣き顔に戻すと、マイクを通して話し出す。


「その人達は誰ですか!?セキュリティの人!早くつまみ出して下さい!」


 その紫音の訴えにすぐ反応したのは、セキュリティではなく、紫音のファン達だった。


『紫音ちゃんをまた泣かせやがって!』

『お前誰やねん!どっかいけ!』

『ブスが!』

『みんなでこいつらを外につまみ出すぞ!』


 数人の男達を先頭に、紫音のファン達がぞくぞくと乱子と鉄平の所に迫ってくる。

 しかし、こんな事で乱子が恐れたり、引いたりするはずがなかった。


「やかましいわ!オタク共!そこをどかんかい!うちは華の所に行くんじゃ!ほんでな、ブスっていうシンプルな悪口言うた奴。そういうのが一番効くねん。だから後でブチ殺すからな。」


 乱子から漏れ出る殺気に、元は気弱なオタク達は後退あとずさりをしてしまい、自然と舞台へと続く道を作ってしまう。

 そこを堂々と歩く乱子は、ある男性の前で足を止める。そして、その行動に驚いて目を逸らす男性を、乱子はそのまま思いっ切り睨みつけた。


「え…なん…ですか…?」


「お前やな。うちの事ブスって言うたん。」


「ち…!違います!僕じゃないです!」


「お前みたいなメガネで天パで細身な奴はな、今みたいにコソコソと後ろから悪口言うんや!」


「そ…そんなん!む…無茶苦茶やないですか!」


「で、どないやねん。近くで見た乱子ちゃんの顔は?」


「か…可愛いです…。」


「やろ?しゃーない、許したろ。でも次言うたらその天パをシルバーに染めて、『スチールウールたかし』って名前でデビューさせるからな。」


「僕…ひろしです…。」


「たかしでもひろしでもどっちでもええわ!横山か!」


 この辺りから、少しずつ劇場内の空気が変化し始める。初めは乱子に敵意剥き出しであった紫音のファン達からも、クスクスと笑い声が上がり始めていたのだ。

 そして、また歩き始めた乱子の前に、3人の男が道を阻んできた。


「なんや?」


 彼らに警戒した乱子が睨みを利かすと、一人が前に出てきて悔しそうな顔をしながら話し出す。


「僕ら、華奈ちゃんを初期の頃から推してきたオタクなんです。でも、さっきから責められる華奈ちゃんを救う事がでけへんくて…!どうか…どうかヘタレな僕らの代わりに華奈ちゃんを助けてあげて下さい!」


 そう言うと、とうとう3人共涙を流し、悔しさで拳を握りしめている。


「任せなさい。」


 そんな彼らに、乱子は一言だけ告げて、男性の肩をポンッと叩くと前へ歩き出した。

 そして、乱子は舞台に着くと、迷わず舞台に上がり、すぐに華に寄り添った。


「華…大丈夫か?」


「乱子…来てくれたん…?お笑いライブは…?」


「うちの代役を先輩に頼んできた。だからこっちは何も心配せんでええから。それよりも、何回掛け直しても電話でーへんからこっちが心配したやんか!」


「ごめん…。もう…頭ゴチャゴチャになってて…。」


 そこで、華と乱子の会話に、不機嫌そうな紫音が割り込んでくる。


「あのー。どちら様か知りませんけど、部外者は出ていってくれますか?せっかくのライブが台無しじゃないですか。」


 その言葉に、乱子はゆっくりと立ち上がると、振り向きざまに、今までで一番怒りの籠もった目で紫音を睨みつける。


「お前か…うちの相方を泣かせたんは…。」


 乱子の放つ凄まじい怒気に、さすがの紫音もいつもの憎まれ口は出てこなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。