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始動

 おお?話しかけてきたぞ。ここは無難に答えておこうかね。


「あー、見方って言ってもそう難しいことは無いんだけどな。そこに貼ってある紙の左上あたりにマークがあると思うんだけど、それが依頼の難易度を示してる。受付に持っていけば受注できるぞ」

「そう、ありがとう。感謝するわ」


 そうして、見知らぬ彼女は依頼を持って受付へ行った。

 あの装備でギルドの使い方もままならないとは、いよいよおかしな冒険者だな。いや、そもそも冒険者なのか?


「いやいや、俺も仕事をしないといけないんだった。早くしないと美味しい仕事が取られるぜ」


 都市清掃でも街の中心と貴族街付近とでは大変さが違う。人が多いところは相応に汚れるからな。やるなら貴族街の近くの方がいい。


「レイナさん、これお願いします」

「はい、街の清掃業務ですね。ではいつも通りお願いします」


 お、さっきの人も清掃か?まあアイアンっぽいし受けられる依頼は少ないだろうしな。


 貴族街は街の中心から少し離れた場所にある。ギルドからだとそこそこ遠い。大通りの喧騒に揉まれながら、朝日を浴びて歩くこの時間が結構好きだ。気分が明るくなる。

 ギルドで依頼される程度の清掃業務は単純だ。基本的には道の清掃だけしていれば良い。ここはそこまで汚れが多く無いのでたぶん昼には終わるだろう。


「おっ、ランベルじゃないか。今日も精が出るなあ」

「おはようございます。もうずっとやってますからね、慣れたもんですよ」


 貴族街への入り口には門番がいる。この人はバルディさんだ。昔は兵士をやっていたらしいんだけど怪我か何かで引退したらしい。


「こっちも職場の近くが綺麗だと気持ちがいいからなあ。ありがたいよ」

「ありがとうございます。そう言ってもらえるとやる気が出ますよ!」


 さて、そろそろ集中しますかね。





「はい、お疲れ様でした。報酬はこちらになります」


 仕事を終えてギルドに戻ってきたが、もう昼も近く人はまばらだった。

 この仕事で宿代くらいは稼げるが食費や貯金を考えるとどうにも心許ない。いつもならこの後は森へ行って金になるものを採集するんだけど……。


「こんなに大変だとは思わなかったわ......。お給料も少ないし、今更後悔してきたかも……」


 今朝の新人(?)少女が疲労困憊で座っていた。

 ふむ、少しアドバイスでもしてみようかね。それに、この街には年の近い冒険者は少ないんだ。出来れば良好な関係を築きたい。


「よう、お疲れ様。随分と疲れた様子だな」

「……。ええ、思ってた以上の重労働だったわ」


 まあ警戒されるよな。当然だ。いきなり見知らぬ子供が馴れ馴れしく話しかけて来たんだ。まともなら警戒しない方がおかしな話だ。


「まあまあ、今後もここに来るならちょっと助言をしようと思っただけだ。清掃なら繁華街とかより郊外の方が楽だぞ。なんせ人が少ないから汚れも少ない」

「えっ?あ、そうなのね……。次があったら試してみる」

「そうか。それじゃ俺は森に行くんで」


 こういうのはスマートさが大切なんだ。話し込まずにすぐに去る。怪しさを下げるには重要なテクニックだ。

 よし、少し急ぐか。今日は竜眼花とか取りてえな。

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