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ヒトノモノ  作者: Kusakari
アカネ パート2
103/120

ヒトノモノ その103 対決

百三

 「嬉しいなあ。アカネちゃんから誘ってくれることなんてあるんだね」

「びっくりしたの?」

「アカネちゃんに嫌われていると思ったから」

「まあ、嫌いだけど」


 そんな折、二人が座っているテーブルにボロネーゼとたらこスパゲッティが来た。アカネはフォークで綺麗にパスタを巻き、ボロネーゼを食べた。


 「アカネちゃんは付き合っている人いるの?」

「いないよ」

「本当に?」

「いないもんはいないよ。そんな噓をつく必要あるの?」

「でも、モテるはずだよ」

「そう見えるの?」

「だって、美人じゃん」

「私の言ったことが心に残ってないのね」

「なんかあったっけ?」

「人を見た目で決めつけない方がいいって言ったはずよ」

「ああ。高校の時の話か。アカネちゃんのせいで恥ずかしい思いをしたけど、いい思い出だよ」

「過去を美化するタイプなのね」

「美化していないよ。いい思い出だったよ。なんかいつもより、とげとげしいね。もっと、可愛らしい感じのキャラだったような」

「そんなの演技に決まっているじゃない。そんなのも分からないの?男の人って、鈍感ね。私が『嬉しいなあ』とか言ってるの本心だと思うわけ?」

「へえ。これはこれで可愛いね。本当のアカネちゃんが見られて嬉しいよ」


 「下らないわ。単刀直入に言うけど、あなた、サエと付き合っているの?」

「そうだね。サエちゃんって、いい娘だよ」

「サエがハイヒール履いてるのも、髪を染めたのもあなたが言ったからなの?」

「そうだね。一緒にハイヒールを買いに行ったし、美容室にも行ったね」

「サエに私の真似事をさせてるの?」

「真似事?そんなつもりはないよ」

「ほんとかしら?髪の色は私と同じだし、服も似ているし、ハイヒールは背を高く見せるためでしょ」

「その通りだよ。別にいいじゃないか。他人がどういう付き合い方をしているかなんて」

「ふざけないで。サエは初めて、恋人ができたって喜んでいたのよ。それなのに、あなた、本当にサエのことを大切にする気あるの?あなたみたいな人は信用に置けないわ」

「昔のことだろ。そんなの」

「じゃあ、なんでサエに私の真似事なんかさせるの?」

「オレは今でもアカネちゃんのことが好きだから。でも、アカネちゃんがオレのことを見てくれないから」

「本気で言ってるの?」

「うん。中学生の時に好きになったんだ。今でも覚えているよ。メガネを外して、綺麗になったアカネを。それ以来、ずっとアカネちゃんのことが好きなんだ。好きじゃなかったら、同じ大学になんか行かないよ」

「ここまで、気持ち悪い人だとは思わなかったわ。サエの前からいなくなって、サエに私の代わりなんてさせないで」

「確かに、サエちゃんじゃあ、アカネちゃんの代わりにはならないね。付き合ってみて、そう思ってたんだ。いいよ。アカネちゃんの言う通りにするよ。ああ、サエちゃんみたいな性格でアカネちゃんみたいに美人だったら、完璧なんだけど」

「ふざけないで。私の前からも消えて。これでもう会うことはないわ」


 アカネはそう言うと、自分の代金だけ、テーブルに置いていなくなった。


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