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ヒトノモノ  作者: Kusakari
アカネ パート2
100/120

ヒトノモノ その100 化粧

 アカネはサエを自宅のアパートに呼んだ。アカネはちょっとした工夫をすることで、人の容姿が変わることをサエに伝えたかった。そして、サエに自信を持ってほしかった。


 「化粧品が多いんだね」

サエはアカネの家にある化粧品の数に驚いた。それと同時に、サエはアカネが自らの努力によって、美しさを保っていることを知った。

「けっこう、買っちゃうんだよね」

「こんなにいろいろ買わないとダメなの?」

「そんなことはないよ」


 アカネはサエの顔色を見て、彼女の肌に馴染みそうなファンデーションを選んだ。

「これを薄く肌に伸ばしてみて」

サエはアカネの言う通り、初めてファンデーションを使った。

「なんのために、伸ばすの?」

「肌の赤みを消すためよ」


 ファンデーションを肌に馴染ませると、サエの肌にあったニキビが目立たなくなった。

「アカネちゃんみたいにきれいな肌になった気がする」

「私も毎度、ファンデーションしてるもん」


 ついで、サエはファンデーションの上にコンシーラーを馴染ませた。その後、ブラウンのチークを目元周辺に塗った。サエの少女らしい顔が大人らしい顔つきに変わった。


 「なんかいい感じな気がする」

「そうでしょ。あとはアイライナーとマスカラかな」

アカネはサエが自分の容姿の変化に驚いているのを自分のことのように喜んだ。サエはアカネが教えてくれた化粧品をメモした。

「ありがとう、アカネちゃん」

「どういたしまして」


 それから、一週間後のことだった。

「前に好きな人いるって、言ったでしょ?」

「言ってたね」

「すごい可愛いって、褒められたんだ。アカネちゃんが化粧の仕方を教えてくれたおかげだよ」

「よかったね」

アカネは自分の知識が彼女のためになったことを知って、嬉しい心持ちになった。


 「髪染めたんだね」

内心、アカネは黒髪の方が似合うような気がした。けれども、高ぶっているサエにそのことを言うのはためらわれた。

「うん。彼と一緒に美容室に行って、茶髪にしたんだよ」

「私と同じ色なんだね」

「確かにそうだね」

アカネはサエに真似されているような気がした。サエにはそのつもりがなかった。サエからしたら、ただの偶然だった。


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