④ 黒幕登場
すると、どうだろう。先程まで屈強な白いゴリラのようだったソイツのカラダが、見る見るうちに萎んでいき、最後はすっかり可愛いレッサーパンダに戻ってしまったのだ。
状況が理解出来ず、キョトンとした顔をしている、その小熊猫を小脇に抱えると、バステトはその場に仁王立ちしながら、大声で叫んだ。
「どうせ、その辺で様子を見ているんでしょ?潔く出て来て、アタシと勝負しなさい!」
すると周りの木陰から、次々に、ずんぐりした体形の、二足歩行ロボットが現れたのだ。ソレは、我々ニンゲンの世界で、日本の縄文時代に現れて人々を拉致して行った、あの遮光器型土偶そっくりのロボットたちだった。
「やっぱりアンタたちの仕業だったのね?まったく、次から次に……いつまでも懲りない、トカゲちゃんたちだこと。」
バステトがそう言うと、外部スピーカーを通して変質した声で、赤い遮光器土偶のバケモノに乗った、アラハバキの隊長らしき者が答えた。
「懲りないのはキサマの方だ!いつもいつも邪魔しおって!今日こそ目にもの見せてやるからな!」それは、最後に必ず負ける悪役がよく言う、ベタなセリフだった。
「あら、期待しちゃうわね。まあ、私相手に、生身の姿を晒さず、そんなロボットの中に隠れた事は、多少効果が望めるかもね?褒めてあげてもイイわよ?」
「ええい、ヤッてしまえ!」
その侵略隊長の一声を合図に、10体ほどの遮光器ロボットたちが、一斉にバステトに襲い掛かった。反重力で飛びながら、果敢に急接近し、肉弾戦を挑む者、少し離れて、実弾やビーム兵器で狙う者、まあ、その他イロイロだ。
……それから約5分後。
全ての抵抗は、虚しく終わった。
無論、バステトの圧勝である。
彼女は背中のオリハルコンの剣を抜きもせず、素早い身のこなしから繰り出される、その生身の拳骨と蹴りだけで、敵をことごとく粉砕したのだった。
アラハバキの隊長がふと気がつくと、見渡す限りの辺り一面に、ずんぐりむっくりロボットたちの残骸が散らばっていたのである。
「この場所が、たまたま竹林の近くの郊外で良かったわぁ。関係ない住人に、攻撃のとばっちりが行ったら、大変だものねえ?」
ニヤニヤ笑いながら、黒猫神が余裕でそんな事を言っている。
立ち上がる気力のある爬虫類族の者は、最早一人も見当たらなかった。
バステトは、隊長の乗ったロボットに、つかつかと真っすぐ近づくと、素手でその頭部をちぎり飛ばした。
「さあ、今からアナタを、どうしてくれようかしらねえ?」
彼女は、屈強そうな緑色の肌をしたトカゲ男を、コクピットの中から片腕で引きずり出しながら、そう言ったのである。




