㉓ 気分転換
たて続けに、そんな目に合ったので、バステトは少しばかり、"正義の味方活動"をお休みする事にした。
彼女は気分転換に、惑星ガイアの地下世界を統治している、ウアジェト女王の元を訪れる事にした。
地下世界の空は、今日も可愛らしいピンク色だ。
実はコレ、女王の指示でそうなっているらしい。何でもピンク色は、見る者の闘争本能を、著しく削ぐ働きを持つとか。
地下世界では、みんな争わず、仲良くして欲しいという、彼女の思いが込められた色なのだ。
バステトが時空旅行機で、その空の中を飛び、目的地に到着すると、ちょうどソコに、女王の爬虫類仲間の、鰐王セベクが先客として来ていた。二人は、城内の中庭で、お茶を愉しんでいたのだった。
「こんにちは。アポ無しで来ちゃったから、お邪魔だったかしら?」
彼女が女王に挨拶すると、驚いたように、二人は振り返った。
「ああ、今ちょうど、アナタのウワサをしていた所だったのよ。いらっしゃい。ご一緒に、紅茶でもいかが?」
女王はそう言っているし、鰐王も、嫌そうでもない顔つきだったので、バステトは、お言葉に甘える事にした。
彼女が席につき、三人でお茶を飲み始めると、早速女王が話し始めた。
「久しぶりね……ひょっとして、何か有ったの?」
「別に。まあ、大した事は無いのよ。ほら、何か調子の出ない時って、誰にでも有るでしょ?」
努めて快活そうに、答えて見せるバステト。
「女王こそ、どうなの?もう惑星ガイアのために、"ニンゲンを絶滅させる"なんて言わないわよねえ?」
「ああ、恥ずかしいから、もう勘弁して。アレは、私なりに、思い詰めていたのよ。」
「あの時は、もうちょっとで、アタシが介入する所だったのよ?」
「……反省しているわよ。」
「まあ、おかげで久しぶりに、スカラベ君の勇姿を、見る事が出来たけどね?」
「全く、わざわざキサマが手を下さなくとも、あんなヤツラ、どうせ直ぐに、自滅すると言うのに……。」鰐王がそう言って、鼻でせせら笑った。
「鰐王だって、そんな事を言いながら、あのサン・ジェルマンに、肩入れしているのでしょう?」
「そうだな。ヤツは、ニンゲンにしては、見どころが有るからな。」
「私も、由理子には、目を掛けているのよ。彼女なら、もしかして、夢の"全種族統一"をやり遂げるかもしれないから……。」
「……それはまた、大きく出たな?」
「夢は、大きい方が、素敵じゃない?」
「違いねえや。ハッハッハ。」
「真面目な話……この惑星ガイアの、次の要注意ポイントは、西暦2012年だけど、私たちでまた、見守ってあげなきゃね?」とバステトが言うと、「そうねえ。」と女王は呟き、鰐王は、ソッポを向いた。




