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そして勇者は世界を知る/やがて魔王は対峙する  作者: るい
現代日本に勇者は必要ですか?/羊と兎と濡れ烏
20/24

20話目: /魔 感動を覚える反面不安の残る物

お風呂回


※修正しました

 おかゆを食べ終わったあたりで京都が時計を確認したところ、現在の時刻は17時を少し過ぎたほどだった。

 普段の夕食時には少し早いものの、それでもこの後何か食べようという気には今のところならない。

 ミリが空腹を訴えればまた作ろう、そう思い今はベッドに腰掛けゆったりとテレビを見ている。

 一応お客さんという扱いで、ミリはソファに座らせている。

 このテレビは職場での話題作りにと買ったものだったが、結局ほとんど使っていない。

 ではなぜ今テレビが着いているかというと、ただ単にテレビを見せた時にミリがどのような反応をするのかが気になったからである。

 ソファ向かい側の壁にかけてあるテレビを、案の定ミリは何かの額縁だと思っていたようで、電源を入れて画面に番組が映った瞬間などは声を上げて驚いていた。


 「えっ!?い、今この絵・・・。動いて・・・、えぇっ!?」


 という具合でテレビを二度見するミリを見て満足した京都は、種明かしというわけではないがこの世界の化学について詳しく語って聞かせることにしたのだった。


 それからは二人でテレビ鑑賞をしている。

 ちなみにミリは京都と話すときは意思疎通の魔法をつかっているらしいのだが、この意思疎通の魔法は人間相手にしか通じないらしく、テレビなどの音声はわからないとのことだった。

 そのため現在京都は、テレビの日本語をミリにもわかるように日本語で語って聞かせるという、何とも奇妙なことをしていた。

 おかげでミリとは間接的に話をしているような状況になり、先ほどまでの重たい空気はもうどこにも存在しなかった。

 ミリ自身もだいぶリラックスできているようで、先ほどからニュースの映像を興味津々といった具合で眺めている。


 そんなミリを横目に見つつ、日常とはいえないまでも平穏ではある時間を過ごしていると、ふと鼻をつく臭いが漂ってきた。

 これといって不快ではないものの、このコンテナの中は比較的掃除をしており、この臭いに心当たりはなかった。

 臭いの出どころが気になって、鼻をスンスン鳴らして出所を探す。


 「あの・・・、なにか?」


 臭いをたどっているとすぐ傍で困惑したような声を聞く、いつの間にかミリの近くで鼻を鳴らしていたらしい。

 この時点で京都は、臭いの大本がミリに付いた血が残ったものだろうと当たりを付けたものの、女性に対して臭いというのは失礼じゃないかと思い咄嗟にごまかす。


 「あ、ごめん。なんか変な匂いがしたから」


 「私臭いますか?」


 しかしやはり女性とは臭いに敏感なもので・・・、何かを察したミリは自分の腕を鼻に押し当て匂いを嗅ぎ、そしてその表情を曇らせた。


 「血なまぐさいですね・・・」


 そういって少し距離を開ける、自分から異臭がするというのはやはり我慢できないらしい。


 「じゃあお風呂でも入る?」


 女の子だなあ、などとのんきな感想を抱きつつ、京都は入浴を薦めることにする。

 ミリを引き連れ入り口から一番奥の扉を開く。

 そのなかは脱衣所となっており、京都はさらにガラス張りのドアを開く。


 「とりあえずここが浴室ね。さっきの場所が脱衣所で、ここが浴槽。ここ捻ればお湯が出るから、そしてここでお湯の温度を調整するの」


 この国の発展具合についてはある程度の説明をしているものの、それだけで使えるかと言われればそんなはずもなく、京都はお風呂場の説明をしてゆく。


 「話を聞いた時から思ってましたけど、改めて実物を見ると便利ですね」


 ミリの世界では水こそ魔法で何とかなるものの、お湯を沸かすにも魔法が必要であるし沸かすのに時間もかかるのが常識で、蛇口をひねればそれだけで温かいお湯が出てくることはないのだ。

 その上シャワーなんてものも存在せず、お風呂と言えばかけ湯が基本となる。

 ミリにとってこの世界のものは全てが自分の常識を超えるもので自分にも使えるとはどうしても思えない、便利さに感動を覚える反面不安の残る物ばかりだった。


 「本当に私にも扱うことができるのでしょうか?」


 「それは問題ないと思うよ。でも不安なら脱衣所のすぐ外で待ってるから、わからないことがあったらいつでも呼んで」


 「いっそ一緒に入ってもらえませんか?実際に見せてもらえた方がわかりやすいと思いますし」


 だからその問いかけも、わざわざ待たせるよりは一緒に入った方が効率も良く、かける迷惑も少なくて済むだろう、そう思っての事だった。


 「え”・・・」


 だが提案された京都はというと、よくわからない声をあげ驚いたような顔でミリを見つめる。


 「迷惑でしょうか・・・?」


 確かにお世話になりっぱなしのこの状況で、さらにお願いをするというのは不躾だと理解している。

 それでも京都が固まってしまうほどおかしな発言をしたつもりはない、ミリは首をかしげつつも京都に聞き直すしかなかった。

 かくいう京都は早くも落ち着きを取り戻したようで、額に指を当て、何を言うべきか考えているようだった。


 「あぁ~なんでしょうね。そういえば言ってなかったし、そういうこともあるかって思わないでもないんだけど」


 「はい?」


 先ほどの体制のままで京都は口を開く、言葉の意味が理解できないミリは続きを促して待つことにする。


 「それでも、うら若き男女が一緒に入浴するのはまずいと思うの・・・」


 「は?」


 それでも続きを聞いたところで、京都の言葉を理解することはできなかったのだが。

お風呂回(入るとは言ってない)

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