13話目: 勇/ こいつがトールか・・・
前回に引き続きスタバ(略称)の話です、スタバはタンブラーやプリペイドカードなども販売しているそうでね。
プリペイドカードはやたらデザインも凝っているらしく、以前友人が自慢するときに見せてくれたのですが、クリアカードのように透明なものでとても驚いた記憶があります。
といっても、聞き流したんですけどね。驚いた以外には興味ありませんでしたし。
「ほ~ん」とかいってスルーした気がします。
これぶっちゃけS・M・Lじゃダメなの?なんで人名なの?
そんなことを考えていたら、いつの間にか注文したものが出来上がっていた。
頼んだのはエスプレッソとキャラメルマキアートだ、メニューは見ずに頼んでみた。
これによって常連的な通っぽさを出してみたかったんだが、よくよく考えると常連客の顔ぐらい覚えているであろうことに思い当たった。
思い当たったがもしかすると別店舗の常連客だと思ってくれたかもしれない、いやむしろそう思ってください恥ずかしいから。
「お待たせしました、ごゆっくりどうぞ」
そういって商品を差し出す店員さんから商品を受け取って、リリィの待つ席まで戻る。
商品を受け取った時に、商品を見た瞬間「こいつがトールか・・・」などと思い一瞬感慨深くなったのは内緒だ。
「おまたせ」
「おかえり、ご苦労だったな」
「おうよ、ところでコーヒーは初めてだったよな、だったら普通のコーヒーのほうがいいか?」
さっきの話だとリリィはコーヒー自体を飲むのが初めてらしい、だったらまずはコーヒーがどんなものかを知ったほうがいいかもしれない。
そうなるとリリィに渡すのはエスプレッソか、京都の話だと普通のコーヒーに近いのがそれっぽいし。
「普通、ということは普通じゃないものもあるのか?それはそれで気になるな・・・、だが、いややはり普通のものしておこう。なにごとも基本は大事だしな」
リリィは少し悩んだそぶりを見せたが、やはりまずは基本からということに決めたらしい。
「了解、じゃあこれな。エスプレッソってやつだ」
リリィの注文通りエスプレッソをリリィに渡し、自分も席に着くことにする。
「ありがとう」
リリィは律儀にお礼を言うものの、その顔はエスプレッソに釘付けだった、よほどコーヒーが気になるらしい。
コップを眺め、漂う香りを嗅いだりしている。
「なんというか、こう香しいな。とても好きなにおいだ」
「コーヒーは匂いを楽しむもの、なんて言うやつもいるくらいだからな」
「コーヒーとは奥が深いものだな」
「つーても細かい話は俺には分からんが。まあ、そんなことより早く飲もうぜ」
「そうだな、それでは早速いただくとしよう」
「いただきます」
飲み物を飲む前にいただきますを言うのが正しいのかはわからないが、念のため口にして俺とリリィは一緒にコーヒーに口を付けた。
「・・・苦い」
「・・・甘い」
二人の口から出た言葉は真逆だったが、多分俺たちは同じ顔をしていたと思う。
具体的にいうと、眉にしわを寄せて何かに耐えるような顔だ。
「口の中に広がる香りは素晴らしいとは思うが、この苦さは私には辛いものがあるな・・・」
リリィは少し落胆しながらそうつぶやいた、コーヒーはそんな物だといえばそんな物だが飲む人間によっては辛いのかもしれない。
「コーヒーが苦かったら砂糖を入れればいいよ、苦みが消されて飲みやすくなるし。ここにはそういうための砂糖が常備されてる」
そのままの味がどんなものかはもうわかっただろう、俺はアドバイスがてらリリィに砂糖を差し出す。
そしてお次は俺の分である。ぶっちゃけますとキャラメルマキアートは俺には甘すぎる、上に載ってるホイップクリームとカラメルソースは砂糖の代わりだとばかり思っていたがコーヒー自体もかなり甘い。
コーヒーに入れる砂糖が少なめの俺には、この甘さのほうが辛いかもしれない。
「砂糖か、さっそく試してみようと思うが、その前にいいか?」
「どうした?」
「ヨシフミがコーヒーを飲んだ時の反応は私のものと違ったのが気になるんだが、もしかしてヨシフミのコーヒーは元から甘いのか?」
「コーヒー自体はやっぱり苦いんだが、味を売りにしているものもあるんだ。そういうのは砂糖なんかの調整で甘かったりするな、気になるならいっそ交換するか?俺にこれは甘すぎるし」
「いいのか?ならお願いしよう」
俺たちは手元のコーヒーを交換し、さっそくキャラメルマキアートに口を付ける。
あれこれ間接キスじゃね?と思ったが、そのことに関して考える暇もなくリリィの表所が変わっていった。
「なんだこれは!?さきほどの香りを残しつつ甘い香りと味が増えている・・・、そして上に載っている白いくてふわふわしたのはなんだろう?これでコーヒーが柔らかくなっている気がするな」
「お、おう・・・、細かい解説ありがとう。そんなに気に入ったのか?」
「ああ!私はすごく好きだぞ!」
表情と口ぶりから察するにそうとう気に入ったらしい、女性は甘いものが好きというがリリィもそうらしい。
「それにしても。これは砂糖をふんだんに使っていると思うんだが、本当はこのコーヒーは相当な値段じゃないのか?」
「そこそこお手頃な値段かな?こっちの世界だと砂糖は簡単に作れるし、貴重品というわけでもないんだ」
「この世界はとても技術が優れているんだな、正直信じられない」
「逆に考えると、そのせいで魔法が衰退したのかもしれないけどな」
「こんなに美味しいものが飲めるのなら、私はそれもありだと思う」
そういいながら、リリィは幸せそうに顔をほころばせる。
のんきにそんなことを言うリリィだが、あなた魔法が衰退したら魔王倒せるんですかねぇ?
いや魔の王だし魔王自体が存在しないのか?まあだからと言って技術が発展するとも限らないとは思うが。
それからは俺がエスプレッソを普通に飲み干し、リリィが減っていくキャラメルマキアートを嘆きそれでもペースを落とさず全部飲み干した。
そのまま今日の探索の続きの打ち合わせを行い、俺たちは外に出るのだった。




