第8章:レベル3 ― コードの復讐 ~明かされる『クソゲー開発者』の逆恨みと、廃墟モールの罠~
ローディングの圧迫するような暗闇は、コンクリートと血の新しい地獄へとは繋がらず、『聖域』の温かく無菌で、永遠に静止した光の中へと溶けていった。
エリアスは重い革張りの椅子にドサリと座り込んだ状態で意識を取り戻した。呼吸は紙やすりのように喉を削り、筋肉は痙攣するほど張り詰め、両手は今も震えながら『プレイヤー2』の血で取り返しのつかないほど汚れていた。目の前では、重厚なオーク材のテーブルの磨かれた天板を挟んで、商人が彼を観察していた。オーダーメイドのスーツを着た老NPCは顎の下で両手を組み、自己満足に満ちた粘り気のある称賛の笑みを浮かべていた。
「心からの賛辞を贈ろう、旅人よ」部屋の明るい虚無に心地よい声を反響させ、商人が切り出した。「実に……デリケートな遭遇を生き延びたね。極限の選択を突きつけられた時、ごくわずかな人間しか持ち得ない『実用主義』を君は証明してみせた」
エリアスはすぐには答えなかった。男を睨みつけ、ひび割れた肋骨よりもはるかに強く胃袋を焼く、深い嫌悪感と内臓から湧き上がる憎悪を感じていた。
「お前が誰だろうと」抑え込まれた純粋な怒りに声を震わせ、エリアスは唸った。「あるいはこのクソッタレなビデオゲームの――ゲームと呼べるならの話だが――裏にいるのが誰だろうと、お前らは狂ってる。頭のイカれた異常者だ! 架空のクソ時間のために、生きた人間二人を無理やり殺し合わせやがったんだぞ!」
商人はまばたきひとつしなかった。エリアスの怒りの爆発を完全に無視し、その笑みを1ミリたりとも揺らがせなかった。手入れの行き届いた片手をテーブルの上へと伸ばし、黄金の懐中時計の鎖に指を触れさせる。
「君が島へ出発する前に約束した通り」老人は柔和な口調から一転して、突然冷たく計算高いトーンへと声を変えて言った。「君がなぜこの悪夢の中にいるのか、その理由を教えてあげよう。なぜ君が、そして君のような者たちが選ばれたのかをね」
エリアスは体を強張らせ、椅子の上で身を乗り出した。
「4年前のことだ」シミュレーションされた現実のピクセルを突き抜けてエリアスの魂を直接見つめるような視線で、商人が語り始めた。「私たちの開発スタジオは、野心的な新作サバイバルホラーゲームの初期ベータ版を、宣伝のために何人かの有名ストリーマー(配信者)へと送った。その中に、君もいたんだよ。君の知名度、その何百万人ものフォロワーが私たちの最高傑作を世に送り出してくれると期待して送ったのだ。だが、それは私たちの人生における最悪の過ちとなった」
商人のホログラムがわずかに明滅し、ジャケットの縁に沿って走った赤いグリッチが、本来ただのコードの文字列が持つはずのない「純粋な憎悪の感情」を露わにした。
「ゲームはまだ未完成だった。それは私たちもわかっていた。だが、その雰囲気や物語のポテンシャルを評価する代わりに、君たち配信者の一部――特に君を筆頭とする連中は、何時間もの生配信を費やして私たちの作品を徹底的に辱めたのだ。コードのバグを悪用してクリアする方法を見つけ出し、グリッチを乱用し、スクリプトの順序を破壊し、何百万人もの視聴者の前でAIを笑いものにした。君たちに壊滅的なネガティブキャンペーンを張られたせいでパブリッシャー(販売元)は撤退し、プロジェクトは凍結・中止された。ゲームエンジンを作るために費やした開発費すら回収できず、私たちは完全に破滅したのだよ」
商人は背もたれに身を預け、芝居がかった身振りで両腕を広げた。「だから、復讐することにしたのさ。私たちのやり方でね」低く喉の奥から響く悪魔のような笑い声が聖域に轟き、エリアスの血を凍りつかせた。
怒りが青年の目をくらませた。罪のない人間を殺してしまったばかりだという乗り越えられないトラウマが、そのあまりにも哀れで、卑小で、狂気じみた動機に対する怒りと結びついた。純粋な本能に突き動かされた電光石火の動きで、エリアスはベルトからタクティカルナイフを抜き、テーブルを飛び越えて商人の喉笛へと致死的な一閃を振り下ろした。
だが、刃が肉に届くことは決してなかった。男の首筋からわずか1ミリの手前で、ナイフは耳をつんざく電子音を立てて「見えない壁」に弾かれた。青い火花とコードの破片がオーク材のテーブルの上に降り注ぐ。
商人は身を引くことすらしなかった。「ここは買い物エリアだよ、旅人くん」首を横に振りながら、彼をからかった。「『セーフゾーン』だ。システムによって戦闘行為は無効化されている。私に触れることはできないよ」
エリアスは荒い息を吐きながら椅子へと重く崩れ落ち、ナイフを鞘に収めた。
「もっとも」純粋な悪意に目を輝かせながら、商人が付け加えた。「君にも復讐のチャンスはある……もし最終レベルまで辿り着くことができれば、の話だがね」嘲笑うような笑い声が再び部屋を満たした。「いいかい、エリアス。『プロジェクト0:プレイヤー1』は、通常のビデオゲームと全く同じようにプログラムされている。同じルール、同じ制限、同じグラフィックアセットを持っている。だが、そこに致死的な要素がひとつ追加されている――君の行動パターンを観察し、あらゆる手段を使って君を妨害しようとする『適応型AI』だ」
商人は再び身を乗り出し、青年へと告発するような人差し指を突きつけた。
「このゲームをクリアすることは本当に可能だよ。それは保証しよう。だがそのためには、今度こそ君が『本物の実力者』であることを証明しなければならない。私たちのルールに従ってプレイしてもらう。いかなる種類のバグ技も使わず、アイテム増殖もせず、マップの地形を悪用して敵の手が届かない安地に隠れることもせず、そして何よりも……道中の脅威との戦闘を避けてスルーすることもなしに、だ」男は効果的に言葉を切った。「もう理解しているはずだね。どんな小細工も、ゲームを壊してイキろうとするどんな試みも……厳重に処罰されることになる」
エリアスは目を閉じ、不安を押し殺して冷静さを保とうとした。ゲーム百科事典のような彼の頭脳がフル回転し始める。4年前。ベータ版のサバイバルホラー。世界的に有名なストリーマーだった彼は、インディーからトリプルA(大作)まで毎週のように新作タイトルをテストしていた。生配信で何十本ものバグだらけのクソゲーを破壊し、何百本もの凡作をレビューしてきた。記憶を掘り返してみたが、そのスタジオの名前も元のゲームのタイトルもまったく思い出せなかった。市場は無限の海であり、思い出すのは不可能だった。
「思い出せねえな」爪が手のひらに食い込むほど強く拳を握りしめ、エリアスは呟いた。「一体どこのクソゲーの話だ?」
「無理に思い出そうとしても無駄だよ、エリアス」顔を真っ二つに裂くような無慈悲な笑みを浮かべ、商人が遮った。「そして率直に言って、そろそろ買い物を始めた方がいい。無駄話はここまでだ。君に残された時間は、あと『40秒』しかないからね」
エリアスはカッと目を見開き、テーブルの上に置かれた黄金の懐中時計を見た。針が猛烈な速度で逆回転していた。
「この野郎ッ!」吐き気のように喉までせり上がってくるパニックを感じながら、エリアスは叫んだ。「俺に黙ってタイマーを起動させやがったな! 休憩時間を削るためにわざと話し込んで引き延ばしたのか!」
「私の店では、質問の答えにも値段がついているのさ」商人は涼しい顔で答えた。「残り30秒」
エリアスはテーブルに並べられた商品を狂ったように見渡した。現在の残り寿命は『04:30:46』を示している。だが体力は危機的な状態――ハートがたった2個しかない。
「1個30分のハートを2個もらう!」脈打つ赤いクリスタルを指差して叫んだ。不可視の残高から60分間が瞬時に差し引かれ、2つのハートが溶けて熱の奔流と共に彼の胸へと飛び込んだ。【体力:4/6】。
視線が必死に新しいアイテムへと落ちる。重厚なハイテク・ブレスレットだ。HUDがコンマ数秒のうちにそれを『パルス・ディフェンス(衝撃波防御):5チャージ』と識別した。周囲の敵を範囲攻撃で吹き飛ばすギミックで、隅に追い詰められた時には完璧な装備だ。値段は「命の60分間」という大出血だったが、絶対的な群衆制御兵器にはそれだけの寿命を払う価値があった。
「20秒」時計のチクタクという音が空気を満たす中、商人が告げた。
「パルス・ディフェンスをもらう!」エリアスは唸り、ブレスレットを掴んで左手首に装着した。
弾薬箱は無視した。ベレッタには43発、ショットガンには4発ある。うまく立ち回ればそれで足りるはずだ。
「10秒。目的地を選びたまえ」商人が命じた。3つのホログラム球体が空中に現れ、汚染されたシナリオを投影し始める。
だが、時間が切れるのがあまりにも速すぎた。3秒。2秒。回転する球体の中の映像に焦点を合わせる時間すらなかった。
「30分のステージにする! 一番安い奴だ!」目を閉じたままテーブルを叩き、勘だけで購入を確定させて叫んだ。
網膜の上でHUDの計算結果が残忍に点滅した。
『合計消費時間:2時間30分』
周囲の世界が即座に耳をつんざくピクセルの渦へと分解され始めた。
「素晴らしい買い物だ」ローディングの暗闇の中へと姿を滲ませながら、商人が囁いた。「まだ『02:00:46』残っているね。幸運を祈るよ、旅人くん」
ローディングによって肉体が非物質化していく中、エリアスは復讐に燃えるプログラマーの亡霊に向かって指を突きつけた。その声は純粋な怒りの塊だった。「絶対に許さねえぞ。こんなクソゲー、クリアしてやる。そしてお前ら全員を現実で見つけ出してやるからな!」
新しいステージへの着地は柔らかく、痛みを伴う激突はなかった。だが、肺を満たした空気は淀んで死んでおり、埃と劣化したプラスチック、そして腐った床用ワックスの無菌的な匂いが立ち込めていた。
【レベル3:ショッピングモール ― 開始】
エリアスは目を開けた。そこはポストアポカリプス(終末世界)の巨大なショッピングモールの広大なアトリウムの内部だった。頭上の強化ガラスの天窓は割れており、青白い灰色の光が差し込んでいる。エスカレーターは停止し、錆びついて自重で崩落していた。割れたショーウィンドウを太いツタ植物が飲み込み、天井のノイズ混じりのスピーカーからは、歪んで音程の外れたひどく不気味なエレベーターBGMが繰り返し流れていた。
(王道のショッピングモールか)サプレッサー付きベレッタのグリップを握りしめ、エリアスは考えた。(ガキの頃に初めて観て、俺がこのジャンルにハマるきっかけになった初期のゾンビ映画を思い出させてくれるな……ロメロ監督の名作だ。だが、思い出に浸っている暇はない。タイマーは動いている)
方向を確認するために周囲を見渡した。彼の真後ろ、スポーン地点から3メートル未満の場所に、大きな『アパレルショップ(紳士服・衣料品店)』の入り口が大きく口を開けていた。ネオンサインが点滅し、内部の手足の欠損したボロボロの服を着たマネキンたちが、暗闇の中で彼を監視する不吉な影のように見えた。
コンプリート主義者の本能は、中へ入ってすべての箱、すべての試着室、すべての棚を漁れと叫んでいた。だが、商人の言葉が死刑宣告のように頭の中で鳴り響いていた――『ゲームは、君が上級者ぶって裏をかこうとする試みを処罰する』。
(もし今あの店に入ったら、時間と物資を浪費させるために無限湧きの群れと一緒に閉じ込められるはずだ)視線を鋭くし、自らを律してエリアスは推論した。(今回はその手には乗らないぞ。物資集めで時間を無駄にする気はない。最速で駆け抜ける。純粋なスピードラン(RTA)だ)
衣料品店に背を向け、上層階のメイン回廊に沿って行軍を開始した。
ショッピングモールの残りの部分は、信じられないほど、ほとんど苛立たしいほどの一本道に見えた。銃を構えたまま、果てしなく長い「8分間」にわたって真っ直ぐ歩き続けた。静寂は圧迫感に満ちており、割れたガラスを踏みしめる軍用ブーツの音だけが響く。回収できるものは事実上何ひとつなかった。植木鉢に薬草もなければ、ベンチの後ろに弾薬もない。そしてさらに不気味なことに、戦うべき敵も1体もいなかった。
遊歩道沿いのいくつかの店舗(書店や家電量販店)に近づいてみたが、シャッターが下りているか、『見えない壁』が入り口を塞いでいた。純粋なグラフィックの飾り――死んだアセットだった。
「このフロア全体で唯一入れるクソ店舗が、俺が慎重に避けてきた真後ろの店だけだったってわけか」歯を食いしばって悪態をついた。
長いアトリウムの突き当たりに到達した。目の前には、先へ進むための唯一の道――ガラス張りの大型業務用エレベーターがそびえ立っていた。扉は開いたまま彼を待っている。凝固した血で汚れた操作パネルには、点灯して選択可能な行き先が1つだけ示されていた。『地下 ― 駐車場・倉庫』。
エリアスは迷わず歩み寄り、かごの中に入ってボタンを押した。鈍い金属音を立てて扉が閉まり、古い鋼鉄ケーブルをきしませながらエレベーターが降下し始める。
緊張してはいたが、どこか安堵してもいた。最初の衣料品店というあからさまな罠に引っかからなかったことで、本当にゲームのパターンを打破できたのかもしれない。
エレベーターが微かな振動と共に停止した。チーン。
扉が開いた。
目の前にあったのは虚無だった。地下フロアは真っ暗で無音の深淵だった。
エリアスは即座にプレイヤー2から回収した懐中電灯を抜き、スイッチを入れた。白い光の円錐が暗闇を切り裂き、打ちっぱなしのコンクリートの業務用回廊を照らし出した。
数歩前進し、右側の壁を照らす。そこには、壁に埋め込まれた燃えるように赤い巨大な『発電機』があった。そこから伸びる黒いケーブルの束が、駐車場へと進む唯一の道を完全に塞いでいる超重量級の鋼鉄シャッターへと繋がっている。
発電機のパネルに歩み寄る。端子が焦げた空っぽのソケットがあった。大型の『ヒューズ』が欠けている。
ヒューズがなければ発電機は動かず、電気がなければシャッターは上がらない。道は完全に閉ざされていた。
エリアスは懐中電灯を下ろした。地下室の墓場のような静寂は、無力な憎悪に満ちた彼の荒い呼吸音だけによって破られた。
「クソゲーがよ……」苛立ちに目を閉じ、彼は吐き捨てた。
キーアイテムがどこにあるかは正確にわかっていた。古いサバイバルホラー特有の『バックトラック(来た道を戻らせる仕様)』の論理は、残酷で絶対的だった。
「ヒューズは上の階の衣料品店の中だ。スポーン地点の真後ろにあった店。時間を節約しようと賢ぶって俺がスルーしたあの店だ」発電機の外装を拳で殴りつけ、関節を擦りむく。「最初からあそこに入っていれば……すぐに見つかっていたはずだ。だが、最初から入っていたらゲーム側が罠を発動させて俺を閉じ込めていたに違いない。そして今……俺は同じ道を2往復させられる羽目になった」
タイマーを確認し、胃袋がきつく締め付けられるのを感じた。上層階を歩いて渡るだけで8分間かかったばかりだ。これから店に戻るのにさらに8分。そしてパーツを持ってエレベーターまで戻ってくるのに「さらに8分」かかる。戦闘時間を除いても、ただ歩くだけで命の16分間が文字通り燃やされるのだ。AIは怪物で彼を殺そうとしているのではなく、「退屈と移動距離」で彼を殺そうとしていた。
重いため息と共にエリアスはエレベーターの中へと戻り、上へ戻るボタンを押した。金属の檻が再びゆっくりと上昇し始める。ベレッタを強く握りしめた。上で何が自分を待っているかは完璧にわかっていた。彼は不文律を破り、エリアを「スキップ」しようとしたのだ。そしてシステムは、空っぽの回廊をロードさせた代償として彼を残忍に処罰するはずだ。
チーン。
エレベーターが上層階に到着し、扉が開いた。
さっきまでは無人で静まり返った荒野だったショッピングモールの回廊は、今やうごめく悪夢へと変貌していた。
感染者の群れ(ホード)が遊歩道に沿って並び、彼を待ち構えていたのだ。少なくとも12体はいる。すべて単純な鈍重ゾンビで、装甲怪物や巨人は混じっていなかったが、彼とアトリウムの奥にある衣料品店との間を隔てる「突破不可能な肉の壁」を形成するように配置されていた。
エリアスは距離を測った。新しく購入した『パルス・ディフェンス』を使って敵の戦線を吹き飛ばし、全速力で店まで駆け抜けることもできた。だが、刃のように鋭い商人の言葉を思い出した――『道中の敵との戦闘を避けてスルーすることもなしだ。どんな小細工も処罰される』。
もし衝撃波を使って逃げれば、ゲームはあの12体の鈍重ゾンビを12体の超高速ランナーに変えるか、さらに酷い何かを起こすだろう。スキップはできない。銃弾で代償を払ってエリアを掃除するしかなかった。
「いいだろう」懐中電灯をしまい、背中から『骨の弓』を抜きながらエリアスは唸った。「準備はできている。お前らのクソルールで遊んでやるよ」
回廊の圧倒的な距離を利用し、ステルスから攻撃を開始した。3本ある矢の最初の1本をつがえ、慎重に狙いを定めて放つ。矢は淀んだ空気を切り裂き、最初のゾンビの頭蓋骨に深く突き刺さった。一撃必殺。スナイパーの筋肉記憶で素早く同じ動作を繰り返す。さらに2本の矢を放ち、市松模様の床の上にさらに2体の死体が崩れ落ちた。
(帰り道で矢が消滅せずに回収できることを祈るだけだな)弓を背中に戻しながら考えた。
残るは9体。死体が倒れる鈍い音に気づいた群れが、彼に向かって行進を始めた。
エリアスはサプレッサー付きのベレッタを抜き、一番近い敵の頭部に照準を合わせた。だが引き金を引いた瞬間、システムがまたしてもイカサマをした。怪物のアニメーションがわずかにグリッチを起こし、不自然な痙攣のように頭が横へとカクンと揺れたのだ。銃弾は空を切り、背後のダミーの靴屋のショーウィンドウを粉砕した。
「クソ開発者どもめ」エリアスは吐き捨てた。AIは遠距離からの消音武器の使用を罰するため、敵の基本移動パターンを書き換えていたのだ。ゾンビたちは今や頭と肩を不器用かつ非同期にぐらぐらと揺らしながら歩いており、ヘッドショットを悪夢のように難しくしていた。
包囲されないよう一歩ずつ後退しながら、エリアスは猛烈なペースで発砲することを強いられた。サプレッサーが銃声を抑えてはいたが、頭蓋骨を捉える前に柔らかい肩や胴体に銃弾が吸収されていく。
狙い、撃ち、照準を修正する。1体が沈む。もう1体。さらにもう1体。
消耗を伴う、泥臭く不正確な射撃戦だった。9体のゾンビの最後の1体が靴先から1メートルの場所でついに額に風穴を開けて崩れ落ちた時、ベレッタのスライドがガチャリと音を立てて後退位置でロック(ホールドオープン)された。
エリアスは苛立たしげな手つきでマガジンを交換し、荒い息を吐いた。たった9体の間抜けな鈍重モンスターを倒すのに、14発もの銃弾を消費させられたのだ。彼のようなベテランにとっては壊滅的な命中率だった。時間の不安に蝕まれ、デジタル化された死体のドロップ品を確認するために立ち止まることすらしなかった。
最初に殺した3体のゾンビ――衣料品店のすぐ近くに倒れている死体へと歩み寄る。
溶けかけている頭蓋骨から骨の矢を引き抜いた。笑みを浮かべ、インベントリへと戻す。だがほんの一瞬HUDを確認した途端、その笑みが消えた。矢はもはや通常のアイテムではなかった。骨の矢尻が黒ずみ、黒い血の塊がこびりついていたのだ。
【Zウイルス付きの矢】
「『Z』はゾンビのZだろうな」疑わしげに矢を見つめながら推測した。システムはこの変化を説明するステータスも説明文も一切表示しなかった。ただの「感染した矢」に変化していた。これが吉と出るか凶と出るかは、もっと先になってみなければわからない。慎重に矢筒へと戻した。
スポーン地点の衣料品店へと足を踏み入れる。青白いプラスチックのマネキンたちが不気味なジオラマの人形のように配置され、暗闇の中で彼を観察しているかのようだった。再び懐中電灯をつけ、狂ったように店内を漁り始める。安物の服の山をひっくり返し、やがてレジカウンターの後ろへと向かった。
キャッシュレジスターの金属製の引き出しの中、ゲーム内では何の価値もない紙幣の束の上に、彼の魂を削り取っていた目的のアイテム――重い『工業用ヒューズ』が置かれていた。
それをポケットに収める。「よし。無理やりここまで戻らせたんだ、この罠の中に他に何があるか見せてもらおうか」
死角をライトで照らしながら、店内を丹念に調べ上げた。側面のショーウィンドウの中、首のない男性用マネキンの胸に強力な両面テープで貼り付けられた「本当の戦利品」を見つけた――ショットガン用の赤い12ゲージ・シェルが2発だ。
「ムチの後のアメってわけか」皮肉っぽく呟いて回収し、ショットガンの合計弾数を6発にした。
店から飛び出し、今や誰もいなくなった回廊に沿って再び行軍を開始した。背後に新しいゾンビが再出現することはなかったが、この馬鹿げた往復の疲労で両脚の筋肉が焼けるように痛んだ。一歩ごとに頭の中のタイマーの音が彼を嘲笑う中、さらに8分間の消耗する徒歩移動をこなす。
エレベーターのかごに入り、地下のボタンを押して扉を閉めた。
降下する中、ゲーマーとしての第六感が両腕の鳥肌を立たせた。キーアイテムを手に入れた今、地下フロアが彼を無傷のまま素通りさせてくれるはずがないと、純粋で残忍な経験からエリアスは確信していた。
彼は戦術的な決断を下した。前のステージで見つけていた布ガムテープのロールを取り出し、ケブラー製防弾チョッキの肩ストラップ――鎖骨の高さに電池式懐中電灯をぐるぐる巻きにしてきつく固定し、真っ直ぐ前方を照らすようにした。これで両手が完全に空き、強力な指向性の光源が確保された。
拳銃をしまい、ショットガンを抜く。威嚇的な金属音を立ててフォアエンドを引いた。ゼロ距離で最大ダメージを叩き出すための究極の武器だ。虐殺の準備は整った。
チーン。
地下室の暗闇に向かって、エレベーターの扉がゆっくりと開き始めた。
懐中電灯の光の束が暗闇を切り裂き、2つの巨大な悪夢を照らし出した。
出口のすぐ目の前に、肩を並べて待ち構えていたのだ。2体のタイタン級のゾンビ――2体の『デブ(ブーマー)』だった。身長2メートル以上、横幅も同じくらいある恐ろしく肥満した怪物で、全身が膿んだ腫瘍と特大サイズの服のボロ切れに覆われている。メタンガスと腐肉の悪臭を放っていた。
扉が完全に開き切るより先に、エリアスは一歩前に踏み出して引き金を引いた。
ドォン!
最初の散弾が、左側のデブの顔面のど真ん中で炸裂した。
ドォン!
コンマ数秒後、ポンプして右側のデブの顔面に発砲した。
反動で痛む両肩が激しく揺れる。普通のプレイヤーなら、頭部がメロンのように弾け飛ぶのを期待しただろう。だが2体の巨像はわずかにंよろめき、鈍い唸り声を上げただけだった。散弾は頭蓋骨の大部分を削り取っていたが、奴らの膨大なHPをゼロにはできなかったのだ。文字通りの『弾丸スポンジ』だった。
エリアスは大声で悪態をつき、エレベーターのかごの中へ一歩後退すると、散弾のヒット数を最大化するために胸のど真ん中を狙い、チューブマガジン内の最後の2発をそれぞれの怪物に1発ずつ撃ち込んだ。
ショットガンが空のクリック音を立てた。弾切れだ。だが2体のデブは咆哮し、リノリウムの床の上に黒い胆汁を吐き散らしながら、エレベーターのかごの中へと侵入してきていた。
エリアスはスリングに吊るしたショットガンから手を離し、ホルスターから引きちぎるような必死の動きでベレッタを抜いた。
たるんだ巨大な腹が顔のすぐ目の前まで迫っている1体目のデブに銃口を向ける。
パスッ。パスッ。パスッ。パスッ。
超高速の4連射を、すべて頭部の同じ箇所に叩き込んだ。ついに左側の怪物の不可視の体力ゲージが尽き、腐肉の袋のように自重で崩れ落ちてエレベーターの扉を半分塞いだ。
2体目が油ぎった巨大な両手をエリアスの首へと伸ばしてくる。青年はエレベーター奥の鏡に背中を押し付け、体重の下でガラスにひびが入るのを感じた。
パスッ。パスッ。パスッ。パスッ。
12ゲージが顔面に開けた風穴の中へと、さらに正確な4発を撃ち込む。2体目のデブは水っぽい喘ぎ声を漏らし、回廊側へと仰向けに倒れ込んだ。
銃の煙が腐敗臭と混じり合うエレベーターの中で、エリアスは荒い息を吐いた。アドレナリンが引き始め、被害の集計へと意識が切り替わる。
右上のHUDが絶え間なく脈打っていた。消耗する往復移動とこの死闘で、貴重な「38分間」が吸い取られていた。
【大脳皮質崩壊まで:01:22:43】
「急がないと」ひび割れた声で喘いだ。溶けかけている2つの巨大なピクセルの山を乗り越え、赤い発電機に向かって必死に走った。
ソケットにヒューズを押し込み、側面の重いレバーを引く。機械が咳き込むように揺れ、排気管から黒い煙を吐き出すと、耳をつんざく唸り声を上げて稼働し始めた。通路を塞いでいた重い鋼鉄シャッターが鎖をきしませながら上昇し、ついに道が開けた。
さらなる群れかボスが待ち構えているのではないかと銃を構えながら、エリアスは突破口を越えた。だが、地下駐車場は無人だった。怪物もいなければ、炎上する車の残骸もない。
広い駐車エリアの中央、点滅するたった1本のネオンの下に、信じられないほどヴィンテージな外観をした白い小型キャンピングカーが停められていた。
「脱出ポイント(エクストラクション・ポイント)か?」極度の警戒を保ちながら歩み寄り、エリアスは自問した。
外周を確認する。周囲には何もない。その時、度重なる処罰を受けてなお消すことのできない「強迫的な探索者」としての本能が、再び頭をもたげた。
膝をつき、襟元に固定したままの懐中電灯でキャンピングカーの車体下部を照らし出した。後輪の内側近くに、『黄金の虫』が張り付いていた。
ナイフの柄でそれを叩き潰す。
【シークレット発見:+30分】
【現在の残り時間:01:52:43】
満足して立ち上がった。他に探索できる場所は本当に何もない。キャンピングカーの運転席側のドアに歩み寄り、金属のハンドルを掴んで干渉を試みた。
指先が冷たい金属に触れた瞬間、HUDが完全に消え去った。シネマスコープサイズの黒い帯が、視界の上下に唐突に降りてくる。
『カットシーン(イベントムービー)』が始まったのだ。
エリアスの肉体は自らの意志を奪われ、ゲームエンジンの計算に導かれてひとりでに動き出した。ドアを開け、乗り込み、運転席に座る。キーはすでにイグニッションに挿さっていた。これほど古い車両には不釣り合いなほどの轟音を立ててエンジンが始動する。
指一本動かすことができないまま、エリアスは自分自身の肉体の中の観客となり、自分の両手がギアを入れ、駐車場のコンクリートの上でタイヤをきしませ、ショッピングモールを背後に残して未知の世界へと続く出口のスロープをキャンピングカーで猛スピードで駆け上がっていくのを、自分の目を通してただ見つめることしかできなかった。
--- 装備確認(キャンピングカー・チェックポイント時点) ---
【銃火器】
・サプレッサー付き9mmベレッタ:残り21発
・ショットガン(12ゲージ):残り2発
【遠距離/近接武器】
・骨の弓:Zウイルス付きの矢・残り3本
・タクティカルナイフ:1本
・大型パイプレンチ:1本
【投擲武器/戦術ツール/防具】
・パルス・ディフェンス:残り5チャージ
・閃光弾:残り1個
・電池式懐中電灯:1個
【衣装/アーマー】
・ケブラー製防弾チョッキ:装備中
・宇宙服:コマンドでいつでも装備可能
【体力・ステータス】
・ハート:4/6
・精神状態:激怒。バックトラックで消耗しているが、目標に対して冷酷なまでに集中している状態
・所持通貨(残り寿命):01:52:43




