第二章 アイドルは女王様 - 33 - 張り合い
第二章 アイドルは女王様 - 33 - 張り合い
ただ、戦巫女というものがまったく分かっていないので「はぁ……」という感じになってしまう。
もちろん分っていないのはそれだけではない。
むしろ、ほとんどのことは分かっていないと言っても過言ではない。
さすがにここまでに経験してきた中で、ある程度の空気は読めるが、空気は空気だ、理解しているというのとは別物である。
詳しいことが分かるかと思った矢先に襲撃を受けた。
圭太は何度も死にかけた。一度などは、確実に命を落としたはずだった。
二人のアイドルが登場してからずっと、綱渡りのような状態が続いている。
その綱から何度か落っこちていることを除いては、そんな感じであった。
自分の置かれた状況が分からないままであったにしても、とりあえずこの綱の上を歩いていくしかなさそうであった。
「わかった。とりあえず、東京に帰る……ということでいいんだよな?」
若干自信なさげに圭太が確認すると。
「ええ、そうよ。さすがにやつらだって帝都の守りの中じゃ派手な仕掛けはできないけど、その分敵も紛れ込みやすくなるわ。帰ったら、十分注意して」
類が圭太の確認に頷きながら、やたらと気になるような警告を発する。
「注意してったってなぁ……」
圭太は苦笑を浮かべながらそう答えるしかなかった。
正直、どうすりゃいいのか皆目見当もつかない。
「圭太さん、絶対にあたしから離れないでください。何があっても必ず守ります」
圭太にぴったりと身を寄せながら言ったのは舞だった。
抱きつかなかったのは、若干遠慮しているのかも知れない。
「それは、あたしのセリフよ。圭太さんは、あたしが守る。こんな女のことなんて、気にする必要はないわ」
同じように、圭太の反対側からくっつきながら類が言ってきた。
圭太を守るという一点では共闘できるとしても、それ以外では一切馴れ合うつもりはない二人であった。
この二人の関係性がまったく理解できていない圭太としては、下手に口出ししないでおくことにする。
これは、空気を読んだというよりは年齢を重ねてきたことによる経験則だ。
事情を知らない人間が、下手に口をだすと事態は大抵の場合悪化するものである。
なので、圭太は微妙な部分を避けて話を変える。
「それで、東京に帰るにはどうすればいいんだ?」
類と舞が言い争っている、その結論そのものに直結する質問である。
さすがに、この質問に二人が答えないわけにはいかない。




