表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

商業ギルドへ

 まだ日は高いので、これから商業ギルドに向かう。

 料理を売るのか、レシピを売るのか、明確には決まってないけど、ギルドカードがもらえると助かる。


 しばらく歩いていくと、大きな建物が見えた。あれが商業ギルドだ。冒険者ギルドは朝一と夕方にすごく混むらしいけど、商業ギルドは常に混んでいるみたいだ。何人もの商人が出入りしている。

 今からあの中に入らなければいけないのかと思うと心臓がバクバクしてきた。

 しかし、ここで突っ立っている方が目立ってしまう。深呼吸をして中に入る。

 ニート脱却への第一歩だ。

 中は予想通り人でいっぱいだった。

 窓口はたくさんあるけど、どこも人が並んでいる。これは時間がかかりそうだ。



 列に並んでしばらく待っていると、思っていたよりも早く私の番がきた。

 受付の人は綺麗なお姉さんだった。いろんな意味でドキドキする。


「本日はどのようなご用件でしょうか」

「えーっと…商業ギルドについて教えてください」


 どうしたらギルドカードもらえますかね。


「そうですね、商業ギルドはその名の通り、商いに関することであればどのような方でも利用可能な組合になっています。職の斡旋をしたり、新たな商売を始める方の登録をしたり、商売に関する情報の売買なども行っています」


 受付のお姉さんはにこやかに説明してくれる。


「商業ギルドのカードを作るのは、新たな商売を始める方だけであり、職の斡旋やその他の売買に関することではお作りしません。ただ、職の斡旋と売買については利用するのに身分証としてギルドカードや住民カードが必要になることがほとんどです」


 つまりここでカードを作るのはあんまり現実的ではないってことかね。


「身分証としてギルドカードがほしいなら、やはり冒険者ギルドがいいかもしれませんね」

「うーん。戦えないのよね」

「お嬢さんは魔法使いではないんですか?」

「あー違いますね。あの、実は料理を作れるので、それでお店を開けないかなと思っているんです」

「ご自分でお店を開くんですか?」

「はい。でもあまりこの辺りの料理について詳しくないので、私が作ってきたものを見てもらいたいんですけど」


 正直ね、誰かの下で働くのは無理かなって思っているのよ。

 働いたことがろくにない異世界人なんて周りの足を引っ張る未来しか見えない。

 そうなると必然的に自営業になるわけで。


「今お持ちなのですか?」

「持ってきてます」

「わかりました。では別室へどうぞ」



 通された部屋は小さな部屋だった。

 2人で対面に座ってまずは自己紹介。ナーリさんというそうだ。

 すぐに、料理を見せてほしいと言われたので素直に出す。

 出したのはハンバーグサンドだ。


「これは…見たことない食べ物ですね。パンはよくある丸パンですね。キャベツと、これはお肉でしょうか」


 ハンバーグサンドを持って分析しているようだ。商業ギルドの職員もやっぱり商人みたいなものなのかな。それにしても、パンに具を挟んで食べるってやらないのかね。

 分析もそこそこに、一口かじる。一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに真剣な表情に。


「この不思議なタレがお肉に合いますね。野菜の食感もあって食べ飽きないし、ボリュームもあってお腹が膨れます。美味しいです」

「売れますかね」

「見た目から気になる人も多いでしょうし、食べれば美味しい。きっと売れると思いますよ」


 専門の人にそう言ってもらえると安心するね。



 食べ終わったナーリさんと改めてお話。お店って言っても、細かいことは何も決まってないからね。


「ナナさん。商いをするということなので、まずギルドカードを作っちゃいましょうか」

「おお、助かります」


 ナーリさんが書類を渡してきたので書き込む。

 名前と生年月日…誕生日知らないけど、あれか、一昨日でいいのかな。たぶん前世のは違うと思うのよね。

 職業って言われても、無職ですけど? 職探しに来たんですけど?

 とか思いながら書いていたら


「わかるところだけで大丈夫ですよ」


 と言われたので書けるところだけ書いて渡した。

 その書類を持ってナーリさんは一旦部屋から出ていった。

 すぐにドアが開いたので戻ってきたのかと思ったら、別の職員の方が飲み物を用意してくれた。果実のジュースのようだ。美味しい。


 しばらく一人で待っていたら、ナーリさんが戻ってきた。


「お待たせしました。こちらがギルドカードです」

「ありがとうございます」


 ようやくギルドカードをゲット!

 これで街の出入りができる。

 ギルドカードには名前と年齢とランクが書かれていた。

 ランクってなんだろう。


「このランクというのは商業ギルドへの貢献度になります。商いの利益の一部をギルドに納め、その金額に応じてランクが変わります」

「何か役に立つんですか?」

「高ければ高いほど信用されやすいですよ。何か大きな買い物をするときなどに紹介状がなくても良いものを用意してくれたりします」


 Fランクから始まり、Aまでいけば大商人レベル。最高はSランクだけど、王族のお気に入りでもなかなかなれないらしい。私もFランクからだ。

 ちなみにランクは下がることもあるそうだ。極端な話、商売に失敗してお店潰した人が信用できるのかっていったらね。そりゃランク下げざるを得ないよね。


「それで、具体的な商売案なのですが、何か具体案はありますか?」

「いや、特になにも。あ、一人でも切り盛りできるような規模がいいです」

「わかりました。それでしたら屋台はいかがでしょう。この商品なら食べ歩きもできますから。屋台で売れば回転率がいいですし、一人でも営業可能です」

「あーいいかも。屋台の設備ってどうしたらいいんですか?」

「商業ギルドで貸し出しをしていますよ」


 客寄せにお肉を焼いたりする必要はあるだろうけど、ほとんどは作り置きしてアイテムボックスに入れておけばそこまで忙しくならないだろう。屋台、いいかもしれない。


 それから、屋台の細かい設備や、お金の話などをした。

 屋台の貸し出し料金はそんなに高くなかったので、無事に商売を始められそうだ。


「では明日、屋台を用意しておきますのでギルドまで取りに来てください」

「わかりました」


 話がまとまり、最後に受付に寄ってほしいと言われたのでついて行く。


「ギルドカードをお願いします」


 カードを渡すと、石板のようなものに乗せられる。するとその上にステータスを見た時のようなウィンドウが出てきて、ナーリさんが何か操作している。ファンタジーって何でもアリだなあ。

 終わったのかギルドカードが返されたので見てみると、職業の欄ができていて、料理人と書かれていた。


 転生ニート、異世界でついに職を得ました。

ついに職を得ましたが、まだまだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ