<番外編> 神
蛇足のような番外編です。
23時に最終話を投稿済みです。
先にそちらからどうぞ。
ここは神界。
神が住まう場所。
人が住まう世界とは別次元に存在する。
少なくとも、人が生きたまま生身でここに来ることは不可能だ。
そんな中でも、ここは最も暗い場所。
もっとも暗く、もっとも罪深い神が住む。
私は今、そんな場所に足を踏み入れている。
ここに来るのは何度目だろうか。
ここはあまり好きではないし、ここに住む彼のこともあまり好きではない。
でも、さすがに一言言わないわけにはいかない。
だから、ここに足を踏み入れている。
「こんにちは。邪悪なる闇の神よ」
「こんばんは、相変わらず眩しいね、光の神」
きっとここに私が来ることがわかっていたのだろう。
彼はテーブルとイス、そして紅茶を用意して待っているのだ。
私がここに来るときはいつもこうだ。
だからいつものようにイスに座り、紅茶をもらう。
「今日は何しに来たんだい?」
「わかっているでしょう?」
ニヤニヤとした表情をしながら私を見る彼に、そう問い返す。
「さあ? 心当たりが多すぎてわからないな」
そう言ってカップを口に運ぶ彼の口元は歪んでいる。
「あなたという方は…」
こうやって飄々としているのも、私が彼を嫌う理由の一つだ。
私たちは根本的に合わない。
「六つもの魂を消滅させた挙句、七つ目の魂をあのように歪にして…おふざけにも程がありますよ」
「ああ、そのことかい」
カチャリとカップを置いた彼が続ける。
「ちょっと人間を作ってみたくてねえ。作ったらやっぱり動かしてみたいだろう? ちょっとした好奇心だよ」
「そのようなこと…転生の神に怒られますよ」
「彼がわざわざ怒るわけがないじゃないか」
彼が言うように、転生の神は少々変わり者なのだ。次の転生先を玩具などを使用して決めるという、神にあるまじき行為を平気でする。
中立の立場にあるはずなのに、どちらかというと闇の神に近い気がする。
「それは…そうですけど、やっていいことではありません」
「はいはい。わかったよ。たぶんもうやらない」
「はあ…。七つ目の彼女は、あの肉体が死んだら魂は転生せずに消滅してしまうかもしれませんよ」
「そうだね。それなら転生の神にバレることもないね」
「ちゃんと反省してください」
「してるさ。たぶん。話はそれだけかい」
「ええ。もう帰ります。今後はこのようなことがないように」
そう言って席を立つ。
「わざわざここまでお小言を言いに来るなんて、君は変わっているね」
「誰も注意しないからですよ。あなたは毎度毎度やりすぎです」
「暇だからねえ」
今日何度目かのため息をついた私は、早々にこの場を後にした。
これにて本作は完結です。
駆け足気味でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
次は別の作品でお会いしましょう。




