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派遣社員、宇宙へ行く!  作者: 相内みなぎ
23/25

良妻賢母とは

おそらくそういった高校の方が調理実習や裁縫の授業についていけなかったと思う。


「旦那には敬語で話すこと」


田舎からやってきた転校生から聞いた話は衝撃的だった。


「家庭科の先生がそんな事を言うのよ。テレビに出ている女優の誰それが結婚会見で『結婚させていただく』って言っていたのを見習いなさいとか」


「今どき??」


楓は心底驚いた。


させていただくって・・・。


じゃあ、旦那の方は結婚してやってるって事になるんじゃないの?


そもそも行きたい高校ではなかったし、地元で結婚して母と一緒に祖父母の面倒をみる事を父親に期待されていた。


小学生の頃から毎日のように逃げたい、逃げたいと泣いて過ごしてきたと言っていた。


そして高校一年生の時に母に泣きながら訴えて、二人で都会に逃げてきたそうだ。


「それに比べたらここの学校は天国!自分のための勉強に自分の為の授業。もう男たちのためになんかごはん作りたくないわ!」


彼女はとても料理が得意で、たまに学校をサボってお菓子を作っていた。


次の日にはつくったお菓子を持ってきてくれるのだが、それがとても美味しい。


料理も得意で、家庭科の授業では率先して料理をしてくれる。


楓は洗い物担当だ。


「田舎にいた頃は毎日お母さんと二人で、家族全員のお弁当をつくっていたんだけど本当に嫌で嫌で。

遅くまでテスト勉強してときなんか朝起きれなくってさ、お母さんが気を使ってギリギリまで寝かせてくれていたの。

そうしたらお父さんに叩き起こされちゃって。いつまでも寝てるんだ!さっさと弁当作れ!って」


それでも毎日お昼は購買でパンを買う。


「しばらくはお弁当は作りたくないなって思っててもう二年よ。

実家にいた時にパン買ってとか言えたもんじゃなかったからね、お父さんにもお祖父ちゃんにも。

作ってもらってマズイとか文句ばっかりつけられるし」


マズイなどと言われれば、そりゃ嫌気もさすだろう。


楓だったらイライラしてマトモに作れる気もしない。


絶対にグチャグチャにしてしまうだろう。


料理研究家や料理上手のタレントが思い出として語っているのはいつも

「家族に美味しいと言ってもらったことが嬉しかった」

というのが常套句だ。


マズイなどと言われながら毎日弁当を作るなどどれほど心が壊れそうになった事だろう。


それでここまで料理の写真腕を上げたのはスゴイと楓は思った。


そんなに料理上手なのに、料理は嫌いだと言う。


朝は母と彼女、それぞれで勝手に食べる。


ほぼ毎日トーストかコーンフレークだそうだ。


昼はこれまたそれぞれ買ってすます。


彼女は購買のパン。彼女の母親はコンビニ弁当だそうだ。


彼女が小学生の時の事を話してくれた。

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