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派遣社員、宇宙へ行く!  作者: 相内みなぎ
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星乃渚アート展

楓のように宇宙基地で働いている人間も多く来ているようだ。


楓のいる宇宙基地にある企業は、比較的就職しやすい。


学歴や職歴なども特別必要ない。


ただ、一切の犯罪歴がないこと。


それだけなのだ。


一方、月で働くのは大変な事だ。


月にも日本企業があるがどの国でもないため、外国で働くような物だ。


生活費もやたらと高い。


宇宙基地は日本で働くのと変わらない。


食品や生活用品なども専用のシャトルで週に三回、格安の燃料で一気に地球から宇宙基地まで運ばれるので特段高くはならない。


地上の日本から日本宇宙基地へ送られる荷物は「国内便」になる。


しかし、日本から月に送るとなると、「国際便」となり、値が張る。


個人で購入したネット通販の商品は送料は無料というわけにはいかないが、そこまで高くはない。


しかし、届くのに最低三日はかかってしまう。


そうこうしているうちに、小型月面バスは月面美術館に着いた。


月面美術館の入口から中に入ると、常設展示の部屋に出る。


月や宇宙に、関わる作品が並んでいた。


絵画に彫刻。


美術の授業ですら見たことがない比較的最近の作品ばかりだった。


少し進むと別の部屋があり、入口に【星乃渚アート展】とカラフルな看板が掲げられていた。


ここだ。


楓と祖母は、はやる心を押さえながら入口に進む。


入口には、一人の若い女性が立っていた。


白いワンピースに白いサンダルの黒髪の背の高い女性だ。



「はじめまして。星乃渚です」


おしとやかに挨拶をされる。


イラストはネットにたくさんあげられているが、作者の写真はない。


なのでこういった展覧会でないと、イラストレーターに会うことは出来ない。


その部屋には壁一面に大小のイラスト作品が飾られていた。


SNSで見た作品も多いが、未発表の大きめの作品もある。


そのほとんどが宇宙をモチーフにした作品だった。


奥に進むに連れて、初期の作品か南国や海のモチーフのイラストが現れる。


楓はこっちの方が好きだった。


宇宙に住んでいると、海とは縁遠い暮らしになる。


東京に住んでいた時でさえ、自然や海は見ることができていた。


「素敵な絵ね〜」


祖母はそれはそれは感激していた。


彼女は美術館めぐりや展覧会に行く事が大好きだ。


「東京以外で展覧会に来たのは初めてたわ」


「ヘェ~そうだったの?」


楓は尋ねた。


「今も昔もこういったイベント、展覧会なんかはどうしても東京や大都市だけの開催になるわね。

地方のみで開催するって人はやっぱり少ないわね」


祖母が答える。


そうか、そうだよね。


「だから月に来て、月だけで開催される展覧会に来れたなんて嬉しいわ。貴重な体験よね」


祖母はそう言って、パンフレットに目を落とす。


順番にイラストを見ていって、最後に星乃渚が佇んでいる所にまで来た。


「素晴らしかったわ」


祖母は星乃渚に向かって言った。


「ありがとうございます」


星乃渚も答える。


星乃渚は、色々と話を聞かせてくれた。


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