後日談1話:英才教育は「三秒」から?
後日談シリーズ、スタートです!
二人の間に生まれた「リトル一之瀬」くんが登場。
有能すぎる親子に、凛さんの脳内パニックも絶好調です。
「……凛さん。湊のパズル、終わったみたいですよ」
リビングで洗濯物を畳んでいた私は、蓮くんの声に顔を上げた。
そこには、三歳になったばかりの息子・湊が、百ピースはある難しいジグソーパズルの前でドヤ顔で座っていた。
「ええっ!? これ、さっき箱を開けたばかりじゃない。もう完成させたの?」
「……三秒、かかった」
小さな指を三本立てて、湊が誇らしげに言う。
……実際には数分だろうけど、この「三秒」という口癖は、間違いなく隣で満足げに頷いている父親の仕業だ。
(……ぎゃああああ! 恐ろしい! 一之瀬家の遺伝子が、三歳にして完全に開花してるわ! 私の『根性でどうにかする』遺伝子はどこへ行ったのよ!? この子、将来マクロより先に人生の最適化を覚えちゃうわよ!)
脳内で絶叫する私をよそに、蓮くんは湊をひょいと抱き上げた。
「よくできました。湊、片付けも『三秒』でできますか?」
「うん! パパ、見てて!」
湊は、おもちゃ箱に驚異的な効率でミニカーを詰め込んでいく。無駄のない動き。まさに「ミニ一之瀬」だ。
「……蓮くん。この子の教育、大丈夫かしら。将来、上司を三秒で論破するような子にならない?」
「いいじゃないですか。理不尽に耐える時間は、人生の無駄ですから。……ねえ、凛」
彼は湊を床に降ろすと、私の腰に手を回して引き寄せた。
パパになっても、その瞳の熱さは変わらない。
「子供が優秀だと、僕たち二人の『夜の時間』も効率よく確保できますし」
(……はい、出た! パパになっても、この男の最終目的はそこなのね! 私の心臓は、数年経っても一向に効率化されず、三秒でバクバク言ってるわよ!)
「……凛さん。耳まで真っ赤ですよ。……三秒、見つめていいですか?」
数年前と同じ、でも少しだけ深みを増した彼の声。
私たちの賑やかで甘い日常は、新しい世代へと「三秒」の魔法を引き継いでいた。
お読みいただきありがとうございます!
湊くん、お父さんに似て将来が有望(?)すぎますね(笑)。
一之瀬くんはパパになっても、凛さんへの溺愛っぷりは一切衰えていないようです。
次回、第2話。パパとママの、秘密の「定時後」エピソードです!




