表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜40代、スマート年下男子に「3秒」で救われる。~効率化された時間で、私、愛されてもいいですか?~  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/28

第5話:一生分の定時、一生分の愛

 カーテンの隙間から、柔らかな朝の光が差し込む。

 かつての私なら、この光は「絶望の始まり」だった。重い体を引きずり、栄養ドリンクを流し込み、戦場へ向かうための合図。


 けれど今は。


「……ん、凛さん。あと三秒、このままで」


 背後から伸びてきたたくましい腕が、私の腰を抱き寄せる。

 首筋に感じる熱い吐息と、心地よい重み。


(……ああ。幸せ。幸せすぎて、脳内が三秒でとろけそう。四十歳を過ぎて、こんなに甘い朝が来るなんて、あの頃の私に教えてあげたいわ)


 私たちは今、同じ家から、同じ会社へ向かう。

 一之瀬くん……いえ、蓮くんは、私の隣でゆっくりと目を開け、とろけるような微笑みを浮かべた。


「おはようございます、僕の奥様。……今日も、世界で一番綺麗ですね」


「……もう、朝からその語彙力、どこで仕入れてくるのよ」


 私たちは並んで朝食をとり、並んで歯を磨く。

 出社してデスクに座れば、私たちは再び「最強のパートナー」に戻る。


「課長、本日の業務フローの最適化、終わりました。……三秒あれば確認できますよ」

「ええ、ありがとう、一之瀬さん。私も、午後の会議資料の自動化を三秒で済ませておいたわ」


 オフィスに響く、軽やかなタイピング音。

 もう、この部署に「終わらない残業」も「理不尽な怒号」もない。

 効率化によって生まれた時間は、新しいアイデアを生むため、そして――。


「凛さん。今日の定時後は、三秒で帰りましょう。……予約していたレストラン、楽しみですね」


 彼が私の耳元で、私だけに聞こえる声で囁く。

 周囲の部下たちは、「またやってる」と笑いながら、自分たちの仕事に誇りを持って向き合っている。


 私は、左手の薬指に輝く指輪をそっとなぞった。

 三秒で恋に落ち。

 三秒で仕事を終わらせ。

 三秒で未来を決めた。


 社畜だった私の人生は、彼という最高の「魔法使い」によって、永遠のホワイト企業へと生まれ変わったのだ。


「……蓮くん」

「はい、凛」

「私、一生定時で、あなたを愛し続けるわ」


「……。……。……はい。三秒、見惚れました」


 重なる視線。止まない鼓動。

 私たちの「三秒」の物語は、これからも一生、続いていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ