休日5話:月曜日が怖くない理由
「サザエさん症候群」も一之瀬くんの前では無効化。
月曜日が楽しみになる、究極のハッピーエンドをお届けします。
日曜日の午後九時。
部屋の時計が刻む音さえ、明日へのカウントダウンに聞こえてくる。
(……ああ。終わっちゃう。私の天国のような休日が、あと数時間で終わってしまうわ。明日からまた、あの戦場……じゃなかった、ホワイト化したとはいえ、お仕事モードの月曜日が来るのね)
ソファで隣に座る一之瀬くんに、つい、しがみつくような力がこもってしまう。
彼は私の小さな変化を三秒で見抜き、優しく背中をさすってくれた。
「凛さん。……明日のことを考えて、少し怖くなっていますか?」
「……バレちゃった。ごめんなさい、一之瀬くんのおかげで今は仕事も楽しいはずなのに。やっぱり社畜の癖が抜けないのね」
自嘲気味に笑う私の顎を、彼が指先でくい、と持ち上げた。
「月曜日を怖がる必要はありません。……だって明日は、会社でも僕がずっと隣にいるんですよ?」
「それは、そうだけど……」
「出社して三秒で、僕が朝の挨拶という名の『愛の囁き』を耳元に届けます。お昼休みは二人で美味しいお弁当を食べましょう。定時になったら、またこうして僕があなたを迎えに来ます」
(……何その完璧なスケジュール表! 私の月曜日、もしかしてご褒美しか詰まってない!? っていうか、三秒で愛の囁きって……会社が再びパニックの渦に巻き込まれるわよ!)
彼は私の額に、そっと唇を落とした。
「仕事は効率化できても、僕があなたを想う気持ちに終わりはありません。……月曜日を待ち遠しくさせてあげます。一生かけて、僕が」
(ぎゃあああ! 一生! 本日二度目の一生! 日曜日をこんなに甘いセリフで締めくくられたら、眠れるわけないじゃない! 私の心臓の残業代、どこに請求すればいいのよ!)
脳内でいつものようにのたうち回っていると、一之瀬くんが私の手をとり、指先にキスを落とした。
「さあ、おやすみなさい、僕の凛さん。……三秒数えて目を閉じれば、そこはもう、僕に愛される月曜日の朝ですよ」
彼の言葉に誘われるように、私は初めて、月曜日が来るのを楽しみにして目を閉じた。
かつて死んだ魚のような目で戦っていた社畜は、もうどこにもいない。
私の隣には、世界で一番有能で、世界で一番私を甘やかす、最高の騎士がいるのだから。
(休日編・おわり)
「休日編」全5話、お読みいただき本当にありがとうございました!
社畜にとって最大の敵である「日曜日の夜」を、一之瀬くんならどう攻略するかを考えて書きました。
仕事も休日も、凛さんにとって輝かしいものになったことが伝わっていれば嬉しいです。
本編、休日編と続いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
またどこかで、この二人の「三秒」の攻防をお見せできればと思います!
応援ありがとうございました!




