水底の国28 音を超える氷と武人
「今更ですが主様、今回我らを呼んだ理由は?」
「ああまあ、囮と足場作りと回収を担ってもらう為にだな」
今回は今までとは違い、ヴァル・フラウやミニオンを連れて来た。
その理由は、簡単に言ってしまえば対ポセイドラ戦の切り札になりそうだと、子供社長が目をつけたからだ。
「まあ囮の必要は今なくなったけどな」
「そのようですね」
『いや今ので大体わかったというのですか?』
「そうじゃな…設計図にもあったが、熱吸収の容量で広がっていくという感じじゃった」
熱吸収。
簡単に言えば、エネルギーを吸収していき熱を奪う。
その結果、熱を奪われたものが凍っていくのだ。
今回の場合は、プレイヤーの攻撃で発生した摩擦熱を伝うようにプレイヤーまで熱を奪われたのと、液体の着弾地点を中心に一定範囲の熱を奪うの2種類が拝めたわけだ。
まあ今回見るべきは、速度だ。
「マッハ5か行ける?」
「無論じゃな」
忍者たちなら余裕で切り抜けられるスピードだな。
「じゃあセンジュとアルカさんは支援メインで下がってて。フラウたちは足場作りとかをメインにヤツの周りを飛んでいて」
「分かった」
「了解」
パーティーのNPCたちが動き出し、その場に仙女ババアと俺だけになる。
「サーテと振り切るか」
「そうじゃな」
ミニオンたちとフラウが周囲に飛び回り、それらに目を向け始める。
「「ゴー!!!」」
瞬間、音より遥かに速く突っ込む。
そしてポセイドラの腹部に、2つの斬撃が走る。
しかし、斬撃の箇所から同じように凍結が始まるが、2人には届かない。
「ヨッシ行ける!」
「ウム。問題は無いようじゃな」
やはり、高速で切り込めば行ける。
だが、
「チッ、対応が速いな」
「儂らに対応するべく産まれたのじゃ。どうってことはない」
ポセイドラが、槍を立て、腕以外の防具を落とす。
「グラップラーフォームってか?」
「まあそれだけではないがの」
ポセイドラ自体は、素早い格闘メインで俺たちに対応できるようにしているのだろうが、さらに槍から液体が噴出する。
「いやー早くね?もう第2形態かよ」
『対応次第では早まりますけど、それでもコレはおかしいですよ!!?』
アルカでも分かんねえってことはアイツらがなんかやってんなぁ。
「上等だ!サッサとブッ飛ばす!」
ポセイドラ・グラップラーフォーム
防御を捨て、拳で対応するフォーム。使わない槍は立てた状態で噴水のごとく凍結液を飛ばしてくるので、
とにかく接近がきつい。かといって射撃でも降り注ぐ液体が邪魔をする。
元々ある程度ダメージを受けたらという想定だったが、ハバキリ達のレベル帯では下手に無傷で攻撃された瞬間から形態変化する。




