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この校舎は既に閉鎖されています。  作者: トランス☆ミル
ゲーム

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13/19

Day11 終焉

 明け方。目を覚ました瞬間、僕はしばらく天井を見つめていた。


 柔道場の薄暗い天井。


 昨日の出来事が、まだ頭の奥にこびりついている。


 桐谷の演技。高杉たちを完全に出し抜いた、あの緊急会議。そして、最後に高杉が向けてきた、あの憎悪に満ちた目――。


「……もうDay11か」


 僕は小さく呟きながら上体を起こした。


 終わりが近い。それは、生存人数でも、校舎の空気でも、みんなの表情でも理解できた。


 誰も、もう「元の日常」に戻れるなんて楽観していない。


 ただ、自分たちが最後まで生き残れるか。それだけを考えている。


 隣では岩倉が寝返りを打ち、少し遅れて目を覚ました。


「んぁ……朝か」


「おはよう」


 短いやり取り。


 少しして、桐谷も静かに身を起こした。


「おはよう、2人とも」


 時間はまだ5時を少し過ぎたあたり。僕たちは今日の作戦などを立て始める。


 そんな中、ふと、桐谷が何気ない口調で言った。


「ねぇ」


「ん?」


「他人のタスクを隠したら、どうなるのかしら」


 その瞬間、空気がわずかに止まった。


「へ……どういう意味?」


 岩倉が若干間抜けな声を漏らす。僕は黙ったまま桐谷を見る。


「例えば、前回のタスクに指定本の返却処理があったでしょ? もし、あの本がどこかに隠されてたり、誰かに隠し持たれていたりしたら、私たちはタスク未完了でペナルティを食らっていたわ」


「……それは盲点だったな」


 僕は少し考えた後、静かに口を開いた。


「自身の手を汚すことなく、限りなくノーリスクで人を減らせる……」


「確かに、やってみる価値はありそうだ」


 岩倉も納得したように続ける。


 現在、僕だけが無敵ではない状況。変にヘイトを買わずに人を減らせるこの作戦が、一体どのように機能するのか。


(悪くない作戦だ)


 僕の胸は、自然と高鳴っていた。


 

  ◇◇◇◇◇◇



06:00:00



〔――Day11。朝になりました。〕


 いつもの合成音声が、空席だらけの教室に響く。


 その光景が、終焉の近さを嫌でも実感させてくる。


 僕は端末を確認する。



〖役職:一般人(祭司)〗



 この期に及んで能力者が来ない。


 Day5の探偵以外、ずっと一般人だ。運がいいのか悪いのか……まぁ、少なくとも悪くはない。


 僕は小さく息を吐く。


「越宮くん、役職見た?」


 岩倉がこちらを見る。


「一般人だよ」


「そっか。俺は――」


 岩倉も役職を確認する。そこで、一瞬だけ口元を歪めた。


「殺人鬼」


 確殺能力持ちの黒役職。強い。本来なら、今の局面では扱い辛い能力だ。しかし、岩倉は無敵。

 

 岩倉自身に動揺はない。むしろ、どこか吹っ切れたような表情だった。


「へぇ……俺か」


 その声には、僅かな高揚すら混じっている。


 続けて僕たちは、タスクを確認する。



〖第三グループ:タスク〗


・総合体育館にある柔道場のトレーニング器具を整理する。


・事務室にある花瓶を応接室に運ぶ。


・総合体育館から体操服とジャージの回収。


・体操服を職員室へ運ぶ。


・第二校舎会議室からホワイトボードを回収。


・ホワイトボードを2-1の教室へ運ぶ。



「うわぁ、移動が大変だなぁ。少ないとはいえ、他グループと鉢合わせないよう警戒しないと行けないな」


 大量のタスクに、岩倉はダルそうな声を上げた。


 僕はそんな岩倉を横目で見ながら、静かに思考を巡らせる。


(タスクも複雑になって、ゲームも佳境。そんな中、岩倉くんが殺人鬼を引いた。第十二を削るチャンスだな……)


 高杉は危険だ。昨日の件で、確実に僕たちを敵視している。


 なら、先に動くべきなのはこちら。


 ゲームはもう最終局面。勝利への道を、今日、切り開く。



◇◇◇◇◇◇



〔昼になりました。行動を開始してください。〕



【Day11:昼】(07:00:00〜11:59:59)



 昼。殺人鬼の確殺能力は8時からしか使えないので、僕たちは、まずタスクをこなすことに集中する。


 量が多いので、少しでも後に余裕を持たせるため迅速な行動に出た。


 校舎内は静まり返っている。


 人数が減った影響もあるが、それ以上に、みんな無駄な接触を避けているのだろう。

 

 3階から渡り廊下を渡り、そこから階段を下り総合体育館1階の柔道場へ。


 タスクを速やかに終わらせた後、体操服とジャージ回収のタスクに移った。


「『総合体育館から』って書かれてたから、嫌な予感はしてたんだが、このでかい建物の中のランダムな場所にある上に、バラバラだとは……」


 タスクの最中、柔道場とサブアリーナの中間にある第二体育倉庫にあった体操シャツを見つめながら、岩倉は苦笑いをする。


「残りは体操ズボンと、ジャージ一式か。これは面倒だな」


 僕も少し辟易しながら、タスクを続けた。



◇◇◇◇◇◇



「よし、これで最後か」


「意外と早く見つかって良かった〜」


 僕たちは最後のジャージズボンを女子更衣室から発見し、タスクを完了させた。


 それから、息付く暇もなく次のタスクへ向かう。


「職員室って、今の時間だと地味に行きたくねぇな」


 ジャージを肩に担ぎながら、岩倉がぼやく。


「職員室前は吹き抜けになってるから、人目に付きやすいものね。それに、人も集まってそうだし」


 桐谷も周囲を警戒しながら続けた。


 時間は7時53分。まだ、殺人鬼の能力解禁までは少しある。


 僕たちは渡り廊下を渡り、2階へ向かうため、東階段へ歩いていた。その時だった。


 ――カラカラカラ


 図書館の前を通りかかった瞬間、図書館の中から誰かが出てきた。

 

「第三!?」


 第十二グループ。高杉と鳴川だった。


 鳴川が一瞬驚いた声を出すも、瞬時に冷静さを取り戻す。


 空気が変わる。


 昨日までとは比較にならないほど濃密な敵意が、肌を刺してきた。


 高杉はいつものように冷静沈着で、ポーカーフェイスを保っている。しかし、その目には、確かな憎悪が宿っていた。


「昨日は随分楽しそうだったわね」


 その隣で、鳴川も冷たい目を向けてくる。


 僕は即座に状況を整理した。


(まずいな……)


 僕だけが無敵ではない。


 真正面からぶつかるのは危険。しかし、下手に逃げたら逆効果。相手が飛び道具なんかを持っていたら終わりだ。

 

「まぁまぁ、落ち着きなよ」


 僕は努めて冷静な声を出す。


「こんなところで騒ぎを起こしたら、他グループに漁夫の利を取られるだけだ」


「必死だな。越宮くん」


 だが、高杉は即座に吐き捨てた。


「安心したまえ。すぐに終わる」


 その瞬間。高杉が懐から何かを取り出す。


 黒い、小型拳銃のような物体。


(――銃!?)


 僕の思考が一瞬止まる。


 しかし違う。形状が妙だ。銃身が短い。そして先端には、二股に分かれた電極。


「それは!?」


 桐谷が即座に反応する。


 次の瞬間。


 ――バチィッ!!


 激しい放電音。放たれたワイヤーが、真っ直ぐ桐谷へ突き刺さった。


「っ――!!」


 桐谷の身体が大きく跳ねる。


 全身が痙攣。やがて、その場に崩れ落ちた。


「桐谷!?」


(まずい、やられた!!)


 このゲームには、グループのメンバー同士は一定以上離れられないというルールがある。


 つまり。桐谷を置いて逃げることはできない。


 強制招集をかけても、殺人が起きていなければ状況は変わらない。


 そもそも、焦りからか僕の精神状態は『不安定』になっている。デスマッチも発動できない。


 体もダルい。やはり、精神異常はデバフがかかるようだ。


「チェックメイトだ」


 高杉が静かに告げる。そして、ポケットからバタフライナイフを取り出した。


「私たちを敵に回したことを、後悔させてやる!!」


 鳴川も武器を構える。こっちはサバイバルナイフだ。


 僕の背筋に冷たいものが走る。


(まずい……! 今、僕が狙われたら終わる)


 無敵が無い。そして、高杉たちは、それを知っている。


「越宮くん、下がってて」


 そんな中、岩倉が前へ出た。僕を庇うように。


 無敵状態の身体で、真正面から高杉たちの前に立つ。


「お前は今、感情で動いている。合理的じゃないな」


 そして、時間稼ぎの口撃を始める。2人同時に攻められたら、流石に抑えきれない故の作戦だった。


 しかし、高杉は冷静に一歩前え踏み出す。


「合理的じゃない? いや違うな。確かに感情で動いてない訳ではない。まさか桐谷さんに出し抜かれるとはね。本来、勉強ができるのと知能指数が高いのは別物だが、まさかそっち方面も上だったとは――多少プライドは傷ついたさ」


 平坦な声。変わらぬ表情。そして――


「だが、今の状況を見てよく考えるんだな。君たちは無敵に甘えて武器を持っていない。それに比べて、僕たちは2人とも武器を持っている。それに――」


 ――ボフッ!


「がはぁ!?」


 高杉は冷静な表情のまま、岩倉の腹を殴った。


 岩倉はその場にうずくまる。


「無敵は別に最強という訳ではない。致命傷となる攻撃は効かないが、致命傷になり得ない攻撃なら普通に通るんだよ。無敵はあくまで"死なないため"の保証期間でしかないんだからね」


 高杉はそう言うと、視線を僕に向けた。


 だが、岩倉は何とか立ち上がると、


「ふん。つまりお前は俺に致命的な攻撃はできないってことだ。だったら、俺がお前をぶっ倒してやるよ!」


 と、いいながら高杉に殴りかかった。


 高杉をそれを躱すと、少し後退する。岩倉はすかさず高杉に攻撃を仕掛けた。


「確かに、僕は急所は攻撃できないし、これ以上本気で殴ることもできないだろう。でも――」


 しかし、高杉は冷静に攻撃を避けると、岩倉にカーフキックをお見舞いする。


「ぐっ!」


 岩倉は足を抑え、その場に崩れ落ちた。


「だからといって、僕に勝てる訳がないだろう。僕の父親は軍人だ。そして、僕も軍人を目指している。君がステゴロで僕に勝つことはない。どうだい? 状況が理解できたかい? 君たちはもう既に、詰んでいるんだよ」


 高杉の冷静な顔が、僅かに緩む。隣では、鳴川もニヤニヤと岩倉を見つめている。


 やがて、2人はこちらに向かって歩き出した。


「しくじったね越宮くん。恨むなら、その女を恨みなさいよ。常に人の上に立って、他人を見下す――そのツケが回ってきたんだわ」


「君はモロ感情で動いるな。君らしい。やっぱり女子って怖いね」


 僕は勝利を確信した2人を前に、そう軽口を叩く。


「待て! お前ら!」


 そんな中、岩倉は僕の元へ向かう2人の足を掴んだ。


「なんで、リスクを負ってまで越宮くんを狙うんだ! 最初に鉢合わせた時から、お前たちは越宮くんを狙っていた。俺たちが銃なんかを持っていたら終わりだっただろうに。いや、それどころかDay8あたりからずっと狙っていただろう! 昨日鉢合わせたのも偶然じゃないな。危険だからというのだけが理由なら、Day1から殺すつもりで動いていたはずだ!」


 必死の時間稼ぎ。僕たちの唯一の勝機は、殺人鬼の能力解禁まで耐えることのみだ。


 今の高杉たちは、宿敵を前に気が緩んでいる。


 やがて、高杉は静かに口を開いた。


「越宮くんが、危険な存在になったからだよ」


 真っ直ぐ、僕の方を見つめている。


「最初、僕と越宮くんは似ていると思っていた。非常に合理的で、すぐにゲームの本質を理解し、"適応"していった。生かしておけば、こちらにとっても利益があった。越宮くんは、強引にこちらに危害を加える真似はしない。だから、多少牽制しつつ、人を減らしながらヘイトを管理するための駒として、利用していたのさ。それはお互い様だ。だが――」


 高杉はそこまで言うと、不意に怖い顔をした。


「越宮くんの適応は、人の域を出てしまった。僕は確かに合理的だが、倫理観がない訳ではない。例えば、戦地に赴く兵士たちは、なにも人を殺したい訳じゃない。ただ、達成すべき目標のためにはそうせざるを得ないため、仕方なく人を殺めなければならないのだ。


 そして、このゲームはシステムに管理された、完璧な舞台だ。おそらく、この世ならざる力が関わっている。だから、このゲームにおいて、唯一助かる方法は生き残ることだけだ。そのためには、合理的にならざるを得ない。だが、越宮くんはゲームを"楽しんでいる"」


 その言葉に、僕はハッとした。


 高杉は気づいていたのだ。僕がこのゲームに快楽を感じていることを。


 高杉は静かに続けた。


「それは、戦地で人殺しを楽しんでいることと等しい。人として、気色の悪いことだ。秩序が乱れる。ゲームの終焉も近い。だから、多少強引でも、越宮くんは殺す必要があるんだよ」


 そして、次の瞬間。高杉は岩倉の手を振りほどき、ナイフを僕の首めがけて突き出した。


「ぐっ――!」


 僕は咄嗟に腕でガードし、ナイフが腕に突き刺さる。


 鮮血が廊下に垂れる。幸い毒は塗ってないようだが、鳴川も突進しようとしてきた。


 それを見た岩倉は鳴川にタックルをする。


「うわっ!?」


 鳴川はそのまま倒れ、ナイフを落としてしまったが、構わず岩倉を引き剥がし、僕を取り押さえに来た。


 僕の後ろに回り込み、両手を後ろで固定される。


「まずい!」


 岩倉は咄嗟にナイフを拾い、そのまま高杉に突き刺した。


 しかし、ナイフは寸前で止まる。


「なにっ!?」


「ハハッ。いつ、僕が無敵じゃないといった?」


 絶望。高杉は最早僕しか眼中に無い。


 もう一発岩倉を殴り、ナイフを振りかざした。


 絶対絶命の状況。僕は静かに目を閉じた。


(ここまでか……)


 だが、次の瞬間。岩倉が叫んだ。


「越宮くん! いける!!」


 一瞬、なんの事だかわからなかったが、即座に理解した。


 僕は体を回し、鳴川を前に押し出す。


「うわっ」


「なんだ。同士討ちを狙ったのか? 粗末な作戦だな――」


 それを見た高杉が、そう口を開いた瞬間、


「悪いな! 鳴川!」


 と、岩倉が駆け出した。


「死ね」


 そして、岩倉は鳴川の胸ぐらを掴んだ。直後、鳴川の瞳から光が消える。やがて、そのまま力なく崩れ落ちた。


 沈黙。高杉の表情が凍りつく。


「……は?」


 理解が追いついていない。

 

「お前らしくないなぁ。結局、この期に及んで倫理観だとかは非合理極まりない」


 僕は顔面蒼白になっている高杉に、そう話しかけた。


「まさか、殺人鬼……!」


「そうだよ。その可能性を見越して、8時前に仕掛けてきたのは良かったんだが、結局勝ちに目が眩んで視野が狭くなってたな」


「――ッ!?」


 高杉はその場に倒れた鳴川を見つめながら、黙り込んでしまった。


「高杉……君って頭固いよね。これはゲームなんだ。そして、ゲームは楽しむものなんだよ。ただそれだけだ。僕たちはプレイヤーで、互いに1位を目指している。バトロワで敵を倒すのは楽しいことだし、勝つための戦略を立てるのも楽しいことだ。なにも難しいことはない」


 去り際。僕は、戦意喪失している高杉にそう言い聞かせた。


「ゲームに倫理を持ち出す阿呆はいない。君の敗因は、"人間であろうとした"ことだ。プレイヤーになってしまった以上、割り切って楽しめばいいのに……」


 半ば呆れたような声。僕は桐谷を背負いながらそう言って、項垂れる高杉を横目にその場を去って行った。



◇◇◇◇◇◇

 


 職員室のタスクを済ませた僕たちはしばらく無言だった。


 桐谷は気絶から目を覚ましたばかりで、まだ少し顔色が悪い。岩倉も足を引きずっている。


 それでも――僕たちは、生きていた。


「……高杉、完全に心折れてたな」


 岩倉がぽつりと呟く。


「鳴川さんを失ったのも大きいけど、それ以上に、自分の正しさが通じなかったのが堪えたんでしょうね」


 桐谷は静かに返した。


 第十二グループ、残り一人。最強だったグループも、ついに崩壊寸前まで追い込まれた。それは、高杉にとっての、実質的な終焉だった。


 そんな中、ある物に目が止まる。


「あれ……?」

 

 事務室に向かう途中の下駄箱に、不自然に国旗が置かれていた。


「なんでこんな所に……?」


 岩倉も眉をひそめる。


 僕は一瞬で理解した。


(これ……誰かのタスクだ)


 おそらく、先日の校旗と同系統のタスク。


 桐谷が国旗に近づき、静かにそれを持ち上げる。


「試してみる?」


「……やってみよう」


 僕はうなずくと、事務室のタスクをするついでに、国旗を丸めてダクトに押し込んだ。


「これで……どうなるのかしらね」


「あとは、夜のお楽しみさ」


 そうして僕たちは、再びタスクに戻った。



◇◇◇◇◇◇



〔夜になりました。〕



【Day11:夜】(00:00:00:〜00:59:59)



 夜。教室の席から、僕は辺りを見渡した。


 意気消沈している高杉。第六グループ。そして、顔色の悪い第七グループ。


〔本日、タスク未完了のグループを確認しました。対象グループにペナルティを実行します。〕


 やがて、合成音声が流れる。その瞬間、僕たちは顔を見合わせた。


「来た……!」


 岩倉が小さく息を呑む。


 黒板に、対象グループが表示される。



【第七グループ】



〔規定により、対象グループよりランダムで一名処刑します。〕


 ランダム。だが三上は無敵だ。


 つまり、死ぬのは――



【早坂 響子】



 黒板に表示が追加される。そして、早坂の体が拘束された。


「う、うぇ……私……まだ――」

 

 べそをかく早坂を、無慈悲な光は包み込む。

 

「もう……終わりね」


 三上は小さく息を漏らした。


 生存者は残り8人。物々しい空気。目に見えて感じる、終焉の雰囲気。


 その後、執行官は既に死んでいたらしく、追加の処刑が行われることはなかった。



◇◇◇◇◇◇



 深夜。今日の寝床はメインアリーナ。


 バスケットボールやバレーボール、シャトルなどで散らかっている。タスクだ。


「偽装者、いなかったね」


 久しぶりにタスクの先取り――片付けをしながら、桐谷が口を開く。


「おそらく第六にいたんだろう。執行官を模倣して、鳴川か早坂のどっちかを指名したのか……」


 短い会話。未だ底の見えない第六。


 第十二に目がいって意識していなかったが、間違いなく強敵。


 僕たちはまだ、第六の裏の顔を知らなかった――。


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【生存者:8/36】


【脱落者】


〈Day1〉

第二グループ:水嶋 恒一


〈Day2〉

第五グループ:佐伯健人

第一グループ:長谷川 莉乃


〈Day3〉

第十一グループ:板橋 直斗

第五グループ:辰島 雅人/野口 佳奈(全滅)


〈Day4〉

第九グループ:佐藤 愛楽


〈Day5〉

第四グループ:田中 悠人

第八グループ:神谷 篤志


〈Day6〉

第七グループ:高波 遥斗

第十グループ:佐々木 煌

第二グループ:安元 寛治

第八グループ:牧野 亜美/定方 美来(全滅)


〈Day7〉

第一グループ:斎藤 学

第九グループ:村田 那海/永谷 翔吾(全滅)

第十一グループ:小町 朝陽


〈Day8〉

第二グループ:西口 涼介(全滅)

第十グループ:石田 沙羅/藤原 蓮(全滅)


〈Day9〉

第一グループ:川島 奏叶(全滅)

第十一グループ:櫻木 沙友理(全滅)


〈Day10〉

第十二グループ:菅 友彦

第四グループ:東 ゆら/渡辺 美香


〈Day11〉

第十二グループ:鳴川 和葉

第七グループ:早坂 響子

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