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夢宙時空  作者: 星秤
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第四宙 第七夢 さあ! また一つ、素晴らしい夢の始まりだ!

夢宙時空のとある大通り。


祁翔がこの場所へ戻ってくると、楓葉は待ちきれない様子で外へ出たがった。祁翔の宙之暦が震え始める。


祁翔は藏物宙空間を開いた。


胸元の宙之暦が一瞬にして光を放ち、楓葉が宙之暦の中から飛び出してくる。


楓葉は周囲をきょろきょろと見回しながら、興味深そうに言った。


「襲撃があったんじゃなかったの?」


楓葉がそう言った直後、祁翔の宙之暦が光を放った。


「宙之暦を、本来の姿に戻して。」


祁翔がそう言うと、宙之暦は本の形へと戻り、空中で光を放ちながらページを開いた。


祁翔は開かれたページを見つめた。


そこには、いくつもの赤い光点が絶えず点滅していた。


「これは何だ?」


祁翔は不思議そうに呟いた。


彼が宙之暦を軽く触れると、そこには、


『絆を結んだ仲間、狼子・雁羽・陸達が戦闘に遭遇しています』


と表示された。


祁翔は画面を見つめた。


――どちらへ向かうべきだろう?


雁羽と陸達は一緒にいる。


二人なら、危険度は比較的低いかもしれない。


だが、狼子は一人だった。


祁翔は少し考えた後、宙之暦の絆連結にあるナビゲーションシステムを起動した。


すると、宙之暦に再び方向を示す矢印が現れ、狼子のいる方向を指し示した。


祁翔は飛ぶ感覚を思い浮かべる。


そして再び空へと飛び立った。


狼子までの距離は、あと二キロ。


祁翔は急速飛行で狼子のもとへ向かった。


一方、楓葉は本来の姿へと変化し、その後ろを全力で走って追いかけていた。


祁翔は楓葉を見ながら思った。


――楓葉、走るの本当に速いな。


しばらくすると、祁翔は狼子の真上まで到着した。


空から下を見ると、狼子が蛇のような姿をした夢怪と戦っているのが見えた。


祁翔はゆっくりと地上へ降下する。


楓葉は祁翔よりも先に狼子のもとへ到着し、援護に入っていた。


狼子は隣に現れた楓葉を見ると、嬉しそうに言った。


「翔、来たんだな!」


狼子が自分の名前を一文字だけ、「翔」と呼んだ。


祁翔は少し嬉しくなった。


――これって、俺たちの関係が前より良くなったってことかな?


祁翔は頷き、笑いながら狼子に答えた。


「うん、来たよ。一緒に頑張ろう! ところで、この夢怪はいったい何なんだ?」


狼子は首を横に振った。


「俺もよく分からない。目を覚まして元いた時空で知らせを受けて、急いでここへ来たんだ。途中で、力なく倒れている人たちをたくさん見かけた。その後、この怪物に出会った。」


すると、祁翔の宙之暦が声を発した。


『悪夢蛇。夢怪時空に存在する怪物の一種です。』


「悪夢……蛇。まさか、こんなに早く出会うなんて。まだ選抜戦すら始まってないのに。」


祁翔はそう言った。


目の前の悪夢蛇が、黒い息を吐き出した。


その息には、強い毒が含まれているように見える。


狼子は真剣な表情で祁翔を見た。


「あいつの口から出る黒い息には気をつけろ。かなり大きなダメージを受ける可能性が高い。」


祁翔は少し身震いしながら答えた。


「見ただけで気持ち悪いし、怖いよ。それに絶対臭い。」


狼子は祁翔の言葉に思わず笑ってしまった。


そして何度も頷く。


――まあ、祁翔が危険を理解しているなら、それでいいか。


だがその時、悪夢蛇が突然動き出した。


祁翔と狼子の穏やかな時間を打ち破るように、悪夢蛇は悪臭を放ちながら祁翔へと突進してきた。


「うわああ! 来るな! 近寄るな!」


祁翔は叫んだ。


そしてすぐに宙語を唱える。


宙之暦は瞬時に紫霊之杖へと変化し、強い光を放った。


今回の集束速度は、普段よりもはるかに速い。


祁翔は三発の紫霊砲を連続で放った。


紫霊砲は悪夢蛇の頭部と身体に直撃する。


その身体を完全に貫いた。


悪夢蛇は断末魔を上げる間もなく消滅し、煙だけが残って空の彼方へと漂っていった。


祁翔はようやく息を吐いた。


だが、手に握っている紫霊之杖は、まだわずかに震えていた。


狼子は、祁翔があまりにも速く紫霊砲を連射したことに驚き、呆然とした。


――人間は危機的な状況や、恐怖を感じるものに遭遇すると、やはり信じられないような力を発揮するものなんだな……。


しかし、どうやらまだ終わりではなかった。


先ほどまで何もなかった場所に、再び数匹の悪夢蛇が現れた。


どうやら、紫霊砲が放った宙力の気配を察知して集まってきたようだ。


「まだいるのかよ!」


祁翔の表情からは、心の底から嫌がっている様子が伝わってくる。


「さあ! また一つ、素晴らしい夢の始まりだ。」


狼子はそう言うと、宙語を唱え、湛藍之宙を展開した。


瞬間、空気が凍りついたように凝結する。


悪夢蛇たちの動きは大きく制限された。


狼子は祁翔を見た。


祁翔も頷く。


二人は言葉を交わさなくても、まるで互いの考えが分かるかのような息の合った様子を見せていた。


祁翔は宙語を唱え、紫璨之宙を展開した。


手に持つ紫霊之杖が、再び強烈な光を放つ。


強大な光束が集中した後、祁翔は宙技「紫霊砲・宙技連鎖」を発動した。


強烈な紫色の光束が放たれ、目の前の悪夢蛇を撃ち抜く。


さらに光は次々と別の悪夢蛇の身体を貫き、何度もその身体を穿っていった。


やがて悪夢蛇たちは灰となり、いくつかの煙だけを残して消滅した。


『祁翔、狼子は夢宙ポイントを獲得しました。』


二人の宙之暦が、それぞれ声を発した。


「やるじゃないか。どんどん強くなってる。」


狼子は、戦闘能力を大きく伸ばした祁翔を見ながら言った。


祁翔は頭を掻き、少し照れながら答えた。


「そんなことないよ。狼子が動きを止めてくれたからだよ。」


「今はお互いを褒めてる場合じゃない。雁羽たちがどうなってるのか分からない。」


祁翔は焦った表情で言った。


「それなら、急いで雁羽たちのところへ向かおう。」


狼子は祁翔の焦りに応えるように言った。


祁翔は宙之暦の絆連結ナビゲーションシステムを起動した。


そこには、


――雁羽まで残り四キロ。


と表示されていた。


祁翔と狼子は同時に空へ飛び立った。


二人は宙之暦の矢印が示す方向へ向かい、より速い速度で飛行していく。


そして、雁羽と陸達が敵と遭遇している場所へ向かった。


宙之暦の座標がどんどん近づいていく。


すると、宙之暦が告げた。


『絆を結んだ夢宙者、雁羽・陸達まで残り二百メートル。』


祁翔は前方の空から地上を見下ろした。


やはり遠くない場所で、陸達が蔚沁之宙を展開していた。


彼は蔚沁之罩を発動している。


そして雁羽は霧纓之杖を手に持ち、足元に霧纓之宙を展開して、陸達の宙技を強化していた。


祁翔と狼子は二人の真上へ到着し、ゆっくりと降下する。


降下しながら、二人は宙語を唱えた。


祁翔と狼子の足元には、それぞれ湛滅之宙と紫璨之宙が展開された。


雁羽と陸達は、隣に祁翔と狼子の姿を見つけると、まるで強い安心感を得たかのような表情になった。


「よかった。来てくれたんだ。」


雁羽はそう言った。


……ただし、彼女の視線は祁翔の隣にいる楓葉にしか向けられていなかった。


陸達は祁翔と狼子を見て、軽く頷いた。


まるで二人が助けに来てくれることを、最初から分かっていたかのようだった。


狼子が湛滅之剣を一振りする。


瞬間、湛滅之宙の力によって周囲の空気が一気に冷え込んだ。


悪夢蛇たちの動きが、目に見えて遅くなる。


祁翔はその隙を逃さず、すぐに数発の紫霊砲を放った。


目の前の悪夢蛇たちは、祁翔と狼子の連携によってあっという間に倒された。


そして、数多くの美しい夢の霧となって消えていった。


『夢宙者、祁翔・狼子・雁羽・陸達は夢宙値を獲得しました。』


四人の宙之暦が、それぞれ声を発した。


雁羽は霧纓之宙を解除すると、楓葉のところへ走っていき、楓葉を抱き上げた。


そして、楓葉に自分の頬をすりすりと寄せる。


楓葉は呆れたような表情をしていた。


最初は雁羽に抱かれることを嫌がっていた。


だが今では、人間に可愛がられるというこの感覚を、少しだけ楽しんでいるようにも見えた。


祁翔はそんな雁羽を見ながら、心の中で思った。


――雁羽って、本当に猫系の動物が大好きなんだな。


――でも、目の前にいるのは猫じゃなくて、狐だぞ? しかも宙獣の二尾狐だ。


祁翔は小さく呟いた。


「まあ……本人が好きなら、それでいいか。」

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