第四宙 第五夢 友情、絆
倫薩のオフィスを出た祁翔と狼子は、歩きながら話し始めた。
「どうだった? 欲しかった答えは見つかったか?」
狼子が祁翔に尋ねた。
「だいたいはね! 少なくとも、この夢宙時空について少しずつ分かってきたし、宙之曆がどんな古代伝説の宙器なのかも分かってきた。まだよく分からないこともあるけど……特に『宙魂』についてはね。」
祁翔は笑いながら答えた。
「そうだ。雁羽と陸達はどこにいるんだ? 様子を見に行こう!」
祁翔は、何かが吹っ切れたような明るい表情で言った。
狼子は頷き、先を歩き始めた。
祁翔はその後ろについて歩きながら、俯いて考え込んでいた。
――白い長袍の男が言っていた「彼になる」ということ。
――欠片を集めること。
――時空を救うこと。
それはつまり、自分には何か大きな使命があるということなのだろうか?
祁翔は、もう以前のように困惑して、「どうして俺なんだ?」と逃げようとしていた少年ではなかった。
何があっても努力し続けよう。
いつか必ず、すべての真実を知ってみせる。
祁翔は、自分自身をそう励ました。
やがて狼子と祁翔は、雁羽と陸達が休養している部屋の前へ到着した。
狼子が扉をノックすると、部屋の中から陸達の声が聞こえた。
「どうぞ。」
二人が部屋に入ると、雁羽はベッドに横になりながら音楽を聴いており、その傍らには陸達が付き添っていた。
「あなたたちだったのね!」
雁羽はイヤホンを外して言った。
「よかった……二人とも無事だったんだな。」
祁翔は嬉しさを隠しきれない様子で言った。
陸達は笑顔で頷いた。
「それにしても、誰が蛛后を倒したんだろうな。きっと、ものすごく強い人だったんだろうね。」
雁羽が珍しく長い言葉を口にした。
祁翔は気まずそうに黙っていた。
狼子はそんな祁翔の様子を見て、さらに先ほど祁翔と倫薩が話していた内容を思い出した。
そして、おそらく蛛后伊絲を倒したのは祁翔なのだろうと察した。
狼子は祁翔を見つめながら、心の中で思った。
――祁翔の実力は、本当に計り知れない。
まだまだ未熟に見える部分はあるが、それでも……。
「そういえば、まだ雁羽や陸達とは『絆』を結んでいないんじゃないか?」
狼子が祁翔に尋ねた。
祁翔は頷いた。
「そうみたいだな。でも、二人は受け入れてくれるかな?」
「これだけ一緒に戦ってきたんだ。断るわけないだろ。」
狼子は笑いながら言った。
雁羽は特に反応を示さなかったが、どうやらそれは了承の意思らしい。
陸達も頷き、快く受け入れた。
雁羽と陸達は同時に、それぞれの宙之曆を取り出した。
そして祁翔、雁羽、陸達は互いの宙之曆に手を置いた。
祁翔の宙之曆からは紫色の光。
雁羽の宙之曆からは沁藍色の光。
陸達の宙之曆からは桃虹色の光。
三つの光が交差すると、三人の宙之曆が同時に声を発した。
『祁翔との絆の接続に成功しました。』
『雁羽との絆の接続に成功しました。』
『陸達との絆の接続に成功しました。』
「やった! また仲間が増えた!」
祁翔は子供のような笑顔を浮かべ、嬉しさをまったく隠せなかった。
「戦闘中の増幅宙技、ありがとう。本当にすごかったよ。」
祁翔は雁羽に感謝を伝えた。
祁翔の言葉を聞いた雁羽は、いつもの彼女とは少し違って見えた。
頬が徐々に赤くなっていく。
どうやら、照れているらしい。
「それに、陸達の蔚沁之罩もすごかった! 本当に頼もしかったよ!」
祁翔は誠実な眼差しで陸達を見つめながら言った。
陸達は片手で頭を掻き、照れくさそうに呟いた。
「そ、そうでもないよ……。」
陸達の頬も雁羽と同じように、少しずつ赤くなっていった。
祁翔は目の前の雁羽と陸達を見て思った。
――この二人、本当にお似合いだな。
その時。
四人の宙之曆から、同時に音が鳴った。
聞き覚えのある言葉が、再び響き渡る。
『夢宙者・祁翔。三日後、夢宙時空管理局にて、悪夢蛇討伐選抜戦を開催します。参加しますか? 今回も参加人数は四名です。』
『夢宙者・狼子。三日後、夢宙時空管理局にて、悪夢蛇討伐選抜戦を開催します。参加しますか? 今回も参加人数は四名です。』
『夢宙者・雁羽。三日後、夢宙時空管理局にて、悪夢蛇討伐選抜戦を開催します。参加しますか? 今回も参加人数は四名です。』
『夢宙者・陸達。三日後、夢宙時空管理局にて、悪夢蛇討伐選抜戦を開催します。参加しますか? 今回も参加人数は四名です。』
「こんなに突然?」
祁翔が言った。
「よくあることだ。」
狼子はすっかり慣れている様子で答えた。
雁羽は頷き、陸達は笑いながら黙っていた。
四人の宙之曆から、同じ選抜戦への招待が届いた。
四人は互いの顔を見合わせ、示し合わせたかのように頷いた。
すでに彼らの間には、確かな息が合っていた。
四人は一緒に、この選抜戦へ参加することを決めた。
四人はそれぞれ宙之曆に手を置き、宙之曆の問いに答えた。
宙之曆から、紫色、深藍色、沁藍色、桃紅色――四つの光が放たれる。
そして、宙之曆が告げた。
『祁翔、狼子、雁羽、陸達の登録が完了しました。三日後、選抜戦広場へ集合してください。』
「悪夢蛇か……名前を聞いただけでも怖そうだ。」
祁翔はそう考えただけで、思わず身体を震わせた。
頭の中でその夢怪の姿を想像してしまい、考えれば考えるほど怖くなっていく。
「想像するな。まだ選抜も討伐も始まってないのに、自分で自分を怖がらせてどうする。」
狼子が祁翔を落ち着かせるように言った。
雁羽は笑っていた。
そしてこの時、彼女は初めて祁翔の傍らにいる楓葉に気づいた。
雁羽は楓葉にこちらへ来るよう合図する。
楓葉はおそらく雁羽に慣れているのだろう。
黙って雁羽の傍へ走っていき、彼女に抱かれた。
「なあ、みんな。選抜戦って、一体どんな感じなんだろう?」
祁翔は狼子、雁羽、陸達に興味津々で尋ねた。
「分からない。俺も選抜戦に参加するのは初めてだからな。それまでは、一人で討伐できる夢怪ばかりだった。」
狼子が答えた。
「そんなに強かったのか!」
祁翔は尊敬の眼差しを向けた。
「いや、そうでもない。王級以上の迷宮じゃなかったから、一人でも十分だった。それに、後から雁羽たちも加わったしな。」
狼子は雁羽たちを見ながら言った。
「なるほど……。そういえば、狼子と雁羽はどうやって知り合ったんだ?」
祁翔は興味深そうに狼子へ尋ねた。
狼子は一度雁羽を見た。
まるで「この話をしてもいいか?」と彼女の許可を求めるように。
雁羽は穏やかな表情で頷いた。
「大丈夫よ。話していいよ、狼子。」
「ある時、雁羽が夢怪を討伐している時に、人面食夢蛛に不意打ちされたんだ。たまたま俺が彼女を助けた。それがきっかけで、俺たちは絆を結んだ。」
狼子は昔の出来事を思い出しながら語った。
「二人の間には、そんな物語があったんだ!」
祁翔は興味津々な様子で、すっかり話に夢中になっていた。
雁羽は俯きながら楓葉を撫でていた。
その過去について、彼女は特に気にしている様子もなかった。
祁翔、狼子たちが話していると――
突然、祁翔は自分の身体に、何か目覚めそうな感覚が訪れていることに気づいた。
「また会おう。」
祁翔は狼子たちに言った。
「楓葉、戻っておいで!」
祁翔は収納宙空間を開いた。
宙之曆が光を放つ。
楓葉は雁羽のベッドから飛び降り、祁翔の宙之曆のペンダントの中へ戻っていった。
「また会おう。」
狼子が言った。
雁羽、陸達、狼子は笑顔で、消えていく祁翔を見つめていた。
今回、夢宙時空を離れる祁翔は、とても安心していた。
なぜなら、宙之曆に「絆」の接続が残っている限り――
再び夢宙時空へ入った時、きっとまた彼らと出会える。
そう確信していたからだった。




