↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢宙時空  作者: 星秤
PR
29/43

第三宙 第七夢 悲憤の変幻

祁翔は目の前の伊幽、伊無、伊尽がますます狂ったようになっていくのを見ていた。このままでは、陸達の蔚沁之罩は必ず突破されてしまう。先ほど放った紫霊炮も、三人が力を合わせて防いでしまった。祁翔は、何か有効な攻撃方法はないかと考えていた。


彼は手にしている紫霊之杖を見つめた。


祁翔は心の中で考えた。


もしかしたら、宙之暦なら何か有効な助けを与えてくれるのではないか。


『夢宙者は、ポイント交換機能を開放しますか?』


祁翔はその言葉を聞いて疑問に思った。しかし、目の前では迷っている暇もなく、選択の余地もなかった。


彼は答えた。


『はい』


すると、紫霊之杖が宙之暦の形態へと変化し、淡い紫色の光を放った。


その内頁には、『宙技連鎖』、『多重技能』という二つの選択肢が現れ、それ以外の場所はすべて空白になっていた。


これはつまり、現在の夢宙値、夢宙ポイントで選べるのは、この二つだけということなのだろうか?


狼子は祁翔を見て言った。


「夢宙値が一定のポイントに達すると、個人の天賦専用武器の技能強化を開放できるみたいだな。お前の技能、なかなか面白そうじゃないか」


狼子は笑いながら言った。


陸達は苦しそうに首を横に向け、祁翔を見ながら言った。


「早く……宙之暦の技能を選んでくれ……!」


祁翔は頷き、急いでその二つの技能を選択した。


『夢宙者・祁翔は、「宙技連鎖」、「多重技能」を獲得しました。』


宙之暦がそう告げると、紫色の光を放ち、再び紫霊之杖の形態へと戻った。


ただ、今までとは違っていた。


杖の柄が淡く光を放ち、紫水晶の球体も同時に微かな光を放っていた。


祁翔は頭を掻いた。


二つの技能を手に入れたとはいえ、彼はまだその効果が何なのか分からなかった。


すると、手にしている宙武・紫霊之杖が、祁翔の疑問に答えるように反応した。


『「宙技連鎖」は、紫霊炮に拡散連鎖機能を付与することができます。』


『「多重技能」は、紫霊炮と紫燃隕石、さらにはその他の技能を同時に放つことができます。』


祁翔はそれを聞いただけでも、かなり強そうだと思った。


しかし、どうやって使うのかは分からなかった。


その時、伊幽が最後の一撃を放った。


蔚沁之罩は、瞬く間に崩壊して消滅した。


狼子は湛滅之宙を開放した。


空気中に再び冷たい気配が満ち、伊幽たち三人の動きを大幅に鈍らせた。


「早く新しい技能を使え! 俺も長くは持たない!」


狼子が祁翔に切迫した声で言った。


祁翔は頷いた。


心の中で、「宙技連鎖」と「多重技能」がどのような効果を持つのかを想像する。


すると、手にしている紫霊之杖から放たれる紫色の光が、ますます強くなっていった。


祁翔は宙語を唱えた。


「夢よ! 何が幻で、何が真実なのか! 想像の中を翔け、広大なる夢宙時空へと私を導き、本当の真実のすべてを手に入れさせてくれ!」


足元に現れた紫燦之宙は、以前よりもさらに大きくなっていた。


まるで二層になっているかのように展開し、紫色の五芒星陣が交差しながら回転している。


手にした紫霊之杖に徐々に力が集まり、ますます強大な紫色の光が紫霊之杖から放たれていく。


そして次の瞬間。


強大な紫霊炮が発射された。


伊幽は避けようとした。


しかし、紫霊炮は伊幽を追尾していく。


次の瞬間、伊幽を直撃した紫霊炮は、さらに無数の紫色の光線へと分散した。


分散した紫霊炮は、すぐそばにいた伊無、そして陸達へとますます接近していた伊尽へと次々に襲いかかった。


しかし、それだけでは終わらなかった。


祁翔の紫霊之杖の水晶球が光を放つ。


紫燦之宙の光が一斉に強くなった。


次の瞬間、無数の紫燃之隕が同時に伊無、伊尽、伊幽へと降り注いだ。


祁翔は攻撃を受けた三人を見つめた。


今度こそ効いたはずだ。


そう思った。


紫霊炮と紫燃之隕による激しい攻撃が徐々に収まり、目の前に現れたのは、苦しそうな三人の姿だった。


それは、伊希が攻撃を受けた時と同じような状態だった。


三人の身体が、徐々に変幻していく。


「くそぉぉ!」


「憎い……!」


「忌々しい……!」


伊幽、伊無、伊尽の三人は、変幻しながら悲鳴のように叫んでいた。


それを見た祁翔は、思わず身震いした。


何か、とんでもないことが起ころうとしている。


「三人同時に変幻するなんて……これ、どうやって対処すればいいんだ……」


祁翔は心配そうな表情で呟いた。


狼子は祁翔の隣で、彼の肩を軽く叩いた。


仮面の下にある狼子の目には、どこか人を安心させるような光が浮かんでいた。


まるで祁翔にこう伝えているようだった。


――心配するな。俺たちがいる。


その時だった。


三体の巨大な人面食夢蛛が現れた。


頭部の人面は、伊希の時と同じだった。


それぞれ伊幽、伊無、伊尽の顔。


表情は凶悪に歪み、目には血走った赤い筋が浮かび、憎悪に満ちている。


そして、血走った三人の目には、涙が浮かんでいるようにも見えた。


三体の人面食夢蛛は、悲鳴のような咆哮を上げながら、祁翔たちの前に姿を現した。


雁羽は彼らを見ながら、冷淡に一言言った。


「本当に気持ち悪いですね」


そう言いながらしゃがみ込み、手では相変わらず楓葉を撫で続けていた。


祁翔も深く同意するように頷いた。


しかし心の中では、彼らが伊希を失った感覚は、きっととても苦しいものなのだろうと思っていた。


それでも祁翔は俯き、小さく呟いた。


まるで自分自身に、絶対に心を弱くしてはいけないと言い聞かせるように。


「情けをかけちゃいけない……情けをかけちゃいけない……絶対に、情けをかけちゃいけない……」


祁翔は必死に自分の信念を強くした。


次の瞬間、伊幽たちが動き出した。


一瞬にして、無数の白い蜘蛛糸が彼らの口から吐き出され、四方八方から祁翔たちへ向かって飛んできた。


祁翔が先ほど時間を稼いだことで、陸達にも立て直す時間が生まれていた。


陸達は再び蔚沁之罩を展開し、大部分の白い蜘蛛糸を防いだ。


狼子も湛滅之宙を開放した。


冷たい空気によって、無数の白い蜘蛛糸が凍りついていく。


祁翔は紫燦之宙を開放し、無数の紫霊炮を放った。


凍りついた白い蜘蛛糸を次々と撃ち砕き、地面へと落としていく。


楓葉もまた、強大な炎を吐き出し、多くの白い蜘蛛糸を焼き払った。


それを見た伊幽は、さらに怒りを露わにした。


彼は白い蜘蛛糸を操って白幽刀を動かし、鋭く、無駄のない刀さばきで蔚沁之罩を攻撃した。


伊尽も伊幽と同じように白尽刀を使って攻撃する。


原形へと変化したことで、伊無の白無鞭にも大量の白い蜘蛛糸が絡みついていた。


鞭を振るうたびに、無数の粘ついた白い蜘蛛糸が噴射されていく。


次第に、蔚沁之罩は再び攻撃を防ぎきれなくなっていった。


そして次の瞬間。


白幽刀と白尽刀が蔚沁之罩を突破し、狼子へ向かって攻撃を仕掛けた。


狼子は湛滅之剣でそれを防ぎ、後方へ跳躍しながら湛滅之剣を振るった。


そして宙語を唱え、湛滅之宙を開放する。


白幽刀と白尽刀に絡みついていた白い蜘蛛糸は、冷たい空気の影響を受けたかのように、攻撃速度が遅くなっていった。


祁翔も宙語を唱えて紫燦之宙を開放する。


再び無数の光線を集め、紫霊炮を発射した。


正確な攻撃によって、白幽刀と白尽刀を操っていた白い蜘蛛糸を撃ち抜く。


先ほど狼子によって凍らされた白い蜘蛛糸は、砕け散り、そのまま消滅した。


狼子は、自分と息の合った連携を見せた祁翔を振り返った。


そして、親指を立てた。


祁翔は狼子からの励ましを見て、この戦いに対する自信をさらに強くした。


伊幽と伊尽は、自分たちが操っていた刀が地面に落ちたのを見て、さらに怒りを募らせた。


次の瞬間、白い蜘蛛糸が刀を引き戻した。


そして彼らは、狼子と祁翔へ向かって素早く突進し、二人に体当たりを仕掛けようとした。


その時。


雁羽が宙語を唱え、霧纓之宙を開放した。


彼女は狼子の湛滅之宙を強化した。


狼子の手にある湛滅之剣が、さらに強い湛藍色の光を放つ。


無数の氷晶が空から降り注ぎ、伊無と伊尽の動きを大幅に鈍らせた。


よく見ると、二人の足元も徐々に凍りついている。


祁翔は雁羽の霧纓之宙を見つめながら考えた。


雁羽の強化効果は本当にすごい。


もし自分の紫燦之宙も、雁羽の増幅効果によって強化されたら――。


「宙技連鎖」と「多重技能」も、さらに効果的に強化できるのではないだろうか。


一方、狼子は伊幽たちの動きがますます遅くなっているのを見て考えていた。


もし、伊希の技能――「美夢幻境」を彼らに使ったら、一体どうなるのだろうか。


次の瞬間。


狼子の手にしていた宙之暦が、まるで狼子の心の中の考えに反応するかのように言葉を発した。


『目の前の伊幽、伊尽、伊無に、伊希固有技能「美夢幻境」を発動しますか?』


狼子はその言葉を聞き、数秒間考えた。


そして答えた。


「はい」


狼子は心の中で思った。


――さあ、こいつらにも「美夢幻境」の感覚を味わってもらおう。


――それが、どれほど苦しいものなのかを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。