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夢宙時空  作者: 星秤
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第三宙 第一夢 白い蝶(中編)

その直後――


迷宮へと続く無数の通路から、人面食夢蛛の群れが一斉に姿を現した。


どうやら先ほどの巨大な蜘蛛の巣は、ほんの前触れに過ぎなかったらしい。


群れの中には、五、六体ほどの巨大な人面食夢蛛まで混じっていた。


その異様な光景を目にした祁翔は、思わず顔をしかめる。


「うわ……気持ち悪い。」


狼子は口元に笑みを浮かべる。


「さあ――また最高の『美夢』の始まりだ。」


そう言うと、《宙之曆》が蒼い光を放ち、『湛滅之劍』へと姿を変える。


剣身は深い蒼色の輝きをまとい、狼子は静かに構えを取った。


戦いの準備は万全だった。


雁羽も《宙之曆》を『霧纓之杖』へ変化させる。


片腕には楓葉を抱えたまま、もう片方の手で杖を握り、静かに敵を見据えた。


陸達は『蔚沁之盾』を地面へ立てる。


足元には『沁藍之宙』が展開され、巨大な『蔚沁之罩』が仲間たち全員を包み込んだ。


祁翔は仲間たちがすでに戦闘態勢へ入っていることに気づく。


「僕も……!」


そう呟き、ゆっくりと《宙語》を唱え始めた。


『夢よ――


何が幻で、


何が真実なのか。


想像の翼で大空を翔け、


広大なる夢宙時空を越え、


我を真なる現実へ導きたまえ。』


詠唱が終わると、《宙之曆》は『紫靈之杖』へと姿を変えた。


祁翔が杖を握った瞬間――


杖の先端にある紫水晶が、再び銀河のような輝きを放つ。


しかし今回は違っていた。


以前よりも、その銀河の光は長く、美しく揺らめいている。


祁翔は目を見開いた。


「狼子、見えた?」


狼子は静かに頷く。


「ああ、見えた。」


「どうしてだろう?」


祁翔は不思議そうに尋ねる。


狼子は紫靈之杖を見つめながら答えた。


「たぶん、お前自身が成長したんだ。」


「その成長に合わせて、「宙武」も進化したんだろう。」


祁翔は思わず感嘆の声を上げる。


「すごい……!


《宙之曆》から生まれる「宙武」って、成長するんだ!」


彼は「夢宙時空管理局」が創り上げた神器《宙之曆》を、尊敬の眼差しで見つめた。


だが、その感動に浸っていた時間はほんの一瞬だった。


激しい衝撃音が周囲へ響き渡る。


何体もの人面食夢蛛が、『蔚沁之罩』へ次々と体当たりしてきたのだ。


祁翔は我に返る。


「そうだ……今は感心してる場合じゃない!」


彼は静かに目を閉じ、心の中へ紫色の隕石が降り注ぐ光景を思い描いた。


次の瞬間――


足元に『紫靈之宙』が展開される。


高い天井いっぱいに巨大な魔法陣が浮かび上がった。


そして、紫炎をまとった無数の隕石が空から降り注ぐ。


『紫燃之隕』。


紫炎の隕石群は、人面食夢蛛と巨大な食夢蛛たちへ次々と激突し、大地を激しく揺るがせた。

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