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俺の閣下  作者: テディ
本編
99/186

第98話 奇跡

 この世界には、何種類かの聖動物がいる。

グリフォン、龍、ペガサス、ユニコーン、シーサーペント、

そして伝説のフェニックス。


ペガサスは、馬に美しい羽があり、ユニコーンは馬に長い角がある。

シーサーペントは、海の守神で、大海蛇のような形状で

とても大きく大蛇のようだ。

伝説のフェニックスは鳳凰とも呼ばれ、真紅の羽を持ち

蘇りながら子孫を繋ぐと言われているが、

もう誰も見たことはなかった。


地上の聖動物は、縁の深い王国があり加護を与えるといわれている。


グリフォンはグリフィス王国、龍またはドラゴンと呼ばれているが、

その聖動物はヘイネシア王国、ペガサスはウィライ王国、

シーサーペントは、どの王国でもなく海に関わりのあるもの全てへ。


そしてソフィア達が問題視しているガザン王国はユニコーン。


どれも滅多に会えない。今回、ソフィア達がこれだけ

聖動物に会えているのは歴史的にも異常事態なのだ。


そんな中、クアドロの元にウィライ王国から連絡が入った。

やはり聖動物の件で相談したいことがあるとの申し出だった。


今のクアドロに依頼したウィライ王国は幸運だったのだろう。


1刻も早くリリーを手元に呼びたいクアドロは、ソフィアに連絡も取りつつ

会談の手配をすぐに整えた。


会談の翌日は、グリフィス王国を招いて自国で訓練をする手配も。


ウィライ王国は女王制をとる王国だった。

今の女王にも姫が2人と王子が2人。


今回は1番上の姫、シモーヌ・アデル・ウィライは28歳で

もう夫もおり、母である女王を手伝い政務に励んでいた。

子供はもう3人いた。7歳、5歳、3歳と全員女の子で

可愛い盛りだ。毎日が目まぐるしく、幸せで

夫や周りのものに手伝ってもらいながら日々を過ごしていた。


執政者にありがちな威圧感はなく、おっとりとしているが、

なかなかどうして後継者だけあって、敏腕な所も見せていた。


そのシモーヌがクアドロに会いに来る。

状況によっては、訓練の後に3カ国で会談もありうるだろう。


シモーヌは乳母の制度を自国でとっていないので、

子供連れでも良いか気にしていた。


ヘイネシア側は、もちろんご一緒にと連絡をよこし

警備の相談も付け加えて来ていた。



シモーヌはホッとしていた。世の中には

子供が好きではない人もいるのだ。

特にしきたりの多い国は、その傾向がある。

子供と大人の空間をはっきり区別して、けじめをつけているのだ。

それはそれで良い所もあるのだろう。

でもそれは、シモーヌにとって他国の文化だった。


シモーヌは、ペガサスに会えていた。

彼らは地上の馬と同様に、とても繊細な生き物だ。

音に敏感で、ほぼ人が入ることのない山奥で

隠れるように生きている。

会えるのは何故か霧の日が多かった。

体は馬の2倍くらい大きく、美しく大きな羽を持っている。

大抵は美しい青みがかった白い体と羽が多かった。


密偵が報告してきた他国の状況と同じように、ペガサスは

増えていた。しかもかなりの数がいる。


シモーヌも群れで見たのは初めてだった。


子供達は、絵本を開きながら羨ましがった。


いつかお母様のように、たくさんのペガサスに会いたいのだ。

どの絵が1番似ているペガサスなのか、何度も聞いてきた。


「お母様、羽は1枚もらえないかしら?

もちろん地面に抜け落ちたもので良いの。

ペガサスは怒らないかしら?」


シモーヌは、ペガサスのたてがみと同じ銀髪の娘を抱き、

笑って答えた。


「そうねぇ、地面に落ちているものなら良いと思うわ。

ペガサスは立派な羽を、たくさん持っているから」


「そうなのね!!もし落ちていたら宝物にするのよ!!

だってペガサスが持つことを許してくれるのでしょう?」

「そうね、それは大切な宝物にしなければね」


そう言ってシモーヌは優しく笑い、

会談の段取りも想定するのだった。

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