第92話 蚊帳の外
ソフィアは自室に戻り、ソファの上で
ジョシュアとルーク相手に苦笑いしていた。
「ソフィ、ちょっと展開が早すぎないかい?」
ルークはいつものように、しかめっ面でソフィアに言った。
「……ルーク……、お前、そんなに爺やにそっくりになると
嫁がこなくなるぞ?」
ルークも負けずに嫌そうな顔をして答えた。
「ソフィ、それは痛い所だからやめて。
いいんだ、ソフィとジョシュが片付いたら
今度は僕の番だとオーリーが言っている」
「オーリーが??あいつは、世話焼きだったのか?
お前の方が、世話焼きの気がするが……」
「オーリーは、緻密なんだ。策略家だしね。
武力が優れているだけで、ソフィの近衛隊長ができるわけはないだろう?」
ソフィアは目を丸くして、なるほどとうなずいた。
「あいつは見た目と違って器用だからな。
覚えているか?小さい頃、私とリリーとマイアとモリンに
花冠を編んでくれた。編んでくれるのはいつもオーリーだった」
ソフィアは思い出して微笑んだ。
それは誰よりも身体の大きい男の子が、器用に何個も作って
頭に乗せてくれた。可愛らしい子供時代のひととき。
「あいつ、人のことばかりで自分は大丈夫なんだろうな?」
ソフィアは少し心配になってきた。
「運命を見つけたと話していたよ」
サラッと話したルークに、ソフィアは驚いた。
「何?!いるのか?!」
「ああ、見つけたと話していたよ」
ジョシュアは笑い出した。
「さすが……、抜け目がないな。
オーリーもルークも苦労性だからな。
ルーク、本当に爺やになってしまうぞ。
俺も協力しよう。でもな……、ルークの好みはな……」
「ジョシュ、なんだ? ルークは変な趣味なのか?」
ソフィアは、本格的に心配になり身を乗り出した。
そこにルークが割って入ってきた。
「2人とも、そこでおしまい。
仕事を増やされたくなかったら、そこでおしまいにしておいて。
オーリーが話していたよ。探したんじゃない、そこに居たんだって」
ジョシュアは口笛を鳴らした。
「そりゃ、すごいな。本物だ」
ルークは、ジョシュアをたしなめた。
「ジョシュ、行儀が悪いよ。
……でも僕も、本物だと思うよ。うまくいくといいけど。
そして僕の運命も、どこかにいるんだよ、きっと」
「ルーク、大丈夫だ。オーリーのことだから
絶対に思いを遂げるさ。それより……、ルーク
更に心配性になってないか?本当に爺やみたいだぞ?」
ルークは笑い出した。
「僕の部署はね、心配事は耐えないんだ。そして小言が増える。
でも心配な時こそ笑えないとね」
「さて、リリーはどうするんだろうな。恋をするリリーも見てみたい」
ジョシュアは、幼かった頃のように年下の顔に戻っていた。
ソフィアは、例のように顎に手を当て考えていた。
「恋するリリー……、ダメだ……想像がつかん……。
ヤツは鉄壁の倫理観だからな……、まるで想像できん……」
ルークはクスクスと笑っていた。
「僕は、想像できるよ。きっと平静を装って
真っ赤になるんだ。ね、ジョシュ?」
ジョシュアは、この間のお小言を思い出して詰まった。
「……っっ、やめてくれ、ルーク……。
……でも、……たぶん、そうなんだろうな。
普段のリリーからは想像ができんのが、いいのかも……」
ソフィアは笑いながら2人の話を聞いていた。
「ほお、そうなのか?……私も、見たいな」
ルークはソフィアに釘をさした。
「ソフィ、リリーに見せてくれって言うのは無しだよ」
「ええ〜〜?!ダメなのか?!」
「そんなことしたら、たぶん1ヶ月くらいは口を聞いてくれなくなると思うよ」
「そんなにか?!……んーー、では偶然目撃するしかないのだな?」
「それがお勧めだね」
「こっそり覗くのは?」
「ソフィ……、ダメに決まっているだろう?」
「分かった、分かった。冗談だ」
そう言ってから、ソフィアは優しい眼差しでルークを見た。
「ルーク、頼りにしてるぞ。お前は大切な友達だ」
ソフィアは優しく言った。
「ありがとう、僕も頼りにしているよ」
ルークも微笑んだ。
ソフィアは、豪快に笑いながら友人に約束した。
「大丈夫だ、心配するな。同い年の爺やの嫁は
私が必ず見つけてやるからな!!」
ルークは目に手を当て、首を振りながら答えた。
「ソフィ、嫌な予感がするからそっとしておいて」
「そう言うな。私に任せておけよ」
ソフィアは幸せそうに言うのだった。




