第91話 秘密裏
グリフィス王国とヘイネシア王国は
今回の訓練と連結で、より親密になっていった。
サロンでの会議の間、もうお互いに秘密も自分の利益だけの思惑も存在せず
ただ国民のためだけ、弱き者のためにだけ動こうという
善意の塊のような集団が出来上がりつつあった。
そして、他国への対応や落とし所も決まった。
なかなか政治的に、このように合うに会談はそうそうないだろう。
会議に出席したもの全てが、そう思うような納得のいく会談だった。
晩餐を終え、ソフィアはサロンにクアドロを案内した
「クアドロ殿、昼のサロンも良いが、夜のサロンもなかなか良いのですよ」
ジョシュアに手を取られたソフィアは、穏やかに微笑んだ。
サロンの窓から月が見える。満月だった。
その月明かりに、クアドロの待ち人は、戸惑いながら
王族への礼を持って、歓待していた。
ソフィアは、柔らかく告げた。
「クアドロ殿、貴方の運命だ。
ただ、リリーはまだ分かっておらぬ」
そう言っておもしろそうに笑った。
クアドロは、目の前の運命を見つめていた。
ソフィアの言った通り、それは理屈でも、言い訳でも、理由でもなく
ただ己の五感で理解するものだった。
クアドロはソフィアを見た。
「ソフィア殿、貴方の大切な友人に話す機会をいただいても……?」
ソフィアは笑い出した。
「もちろん、青龍殿とグリフォンが頭の中に来た。
貴方のところへも来たはずだ。
私がとやかく言う事柄ではありません。良いな、リリー?」
リリーは面を伏せたまま、突然に起こった事態に
自身の能力の全てを持って答えた。
「閣下、殿下の思われるように……」
ーー何が起こったのかは分からない。
聖動物まで動いている。
普通、自分より身分の高い異性が2人で話したいと言うのは
少なくとも自分を気に入っていると言うことだ。
でも聖動物まで話に上っている。
……何かの任務……?
それとも……?
でも、自分のこれまでの社交界で経験してきたことと
自身の人柄をかけて経験してきた全てを持って理解した。
自身に偽りなく思うままに振舞うこと。それが自分の運命……。
突然起きたこの事柄に身を任せる。
リリーは静かにこの状況を受け入れた。
そうして、どうなるかは誰も分からない。
ソフィアは柔らかに告げた。
「ドアのところにオーリーを残しておきます。
オーリー、残業だ。頼んだぞ」
オーリーも静かに拝礼した。
戸惑うリリーの実感とは反対に、
クアドロはソフィアと同じように運命を見つけたのだった。




