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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第83話 進捗

 ジョシュアは1時間ほどで、応接室に戻ってきた。

侍医団の責任者と、魔法医療団の責任者、もちろんルークもいる。


ジョシュアは、ソフィアが内容が分かり次第、

すぐに治療するように指示してあったので、歩いて帰ってきた。


ルークがソフィアに声をかけた。

「閣下、会議室に移りますか?」

「いいや、この応接室の方が訓練場に近い。

このままで話そう」


護衛の者達以外は、全員席についた。

ルークは、説明を頼んだ。

まずはジョシュアからだ。


「治癒に時間がかかりまして、申し訳ありません。

ご説明いたします」

少し疲れて見えるものの、ジョシュアはいつもの通りの声の強さだった。


「まず、魔法の発動ですが難しくはありません。

私の場合は、次回は無詠唱で発動できると思います」


ジョシュアの冒頭の説明に、ヴェルデは密かに目を見張った。

……ツァイトも無詠唱でいけるだろうか……?


「呪文を正確に唱え、体の中から沸き起こる魔力に

身を委ねれば良い、ただそれだけです。

問題は、その後かと思います」


ツァイトは、ジョシュアに尋ねた。

「ジョシュア殿、魔力が体の外に出て行くときは

どのような感じですか?」


ジョシュアは苦笑した。

「私の場合、発動した瞬間は穏やかでした。

別に他の魔法と変わらず、穏やかに魔力が漏れ出した。

でも次の瞬間、体が2つになるかと思うくらい

魔力の波があっという間に外に出ました。

別に痛みはありませんでした。ただ自分も流れで

どこかへ飛ばされそうなほど、強い衝撃でした。

そして気がついたときには、立てなくなっていた。

かろうじて視線の先に、花が浮いたのを確認できたのみです」


ツァイトは、真面目な顔でうなずいた。

「それは恐ろしい衝撃ですね。私も経験したことがありません」


「1つ幸いだったのは、発動後でも気絶せずにすみました。

ただ訓練を続けて、次は立っていられるようになるかと問われれば、

その答えは否です。基本魔力が劇的に上がらない限り、

それは難しいかと思います」


ルークは、次に侍医団の責任者に話すよう促した。

「まず、身体的な所見です。副閣下は、全身に激しい疲労が見られました。

ただ、脳も内臓も筋肉も、どこにも損傷はなく、

そこには影響がなかったと思われます。一般人であれば、緊急に治療を受け、

しばらくは絶対安静の診断がおりたでしょう。

もちろん対処法は、治癒魔法、もしくは体力を回復させる薬湯、そして睡眠です。

一般的な魔力切れに近い症状と考えております」


次は魔法医療団の責任者だ。

「こちらも同じく、身体的に問題はなかったと判断しております。

魔力切れに近い状態で、副閣下の場合は気力を振り絞ればですが

結界を1回張るくらいの魔力は残っていたと思われます。

ただ、それを発動すれば魔力切れになります。

意識はなくなるでしょう。ですから、副閣下よりも

魔力が低い方が試される場合、細心の注意を払っていただきたい」


クアドロとテオドアは、真剣に聞いていた。


「私たちが副閣下にさせていただいた治療は2点です。

まずは疲労を回復させる治癒魔法。薬湯では間に合わないと判断しました。

それから、魔力回復の魔法。こちらは魔石に助けてもらいながら

行いました。副閣下の魔力は膨大なので、魔法だけだと

こちらが何人も倒れてしまいます。打開策をとったと解釈していただきたいと

思っております」


ルークは、皆に尋ねた。

「何かご質問のある方は、いらっしゃいますか?」


ソフィアは、いくつか質問を思いついたようだった。

「ルーク、この医師達は今回の案件の内容を知っているのか?」

「詳細説明はしておりません。ただ訓練した魔法を使う可能性のある

案件が入っているとだけ話してあります」

「そうか……。その方達に質問がある。この魔法を使ったと想定してくれ。

ただ、魔具を使うことを考えているから、今より消耗は抑えられる。

その前提で、人知れず魔力の回復、治癒魔法をかけることはできるか?」


魔法医療団の責任者は、少し驚いたようだった。

「閣下、それは無詠唱で密かに行うということですか?」

「その通りだ」


「……何名か行えるものがいると思います。ただこちらも確認のため

お時間をいただきたい。できなかったでは済まされませんので……」

「そうか。分かった。正確な人数を教えてくれ。

分かった時点で、こちらの訓練と同時にやる。

それから侍医団。遠征訓練と同様に、何名か現場に行くことになる。

侍医団も医療団も、役人として連れて行く」


2人は、王族への礼をとった。

「かしこまりました、閣下」

「正確な人数把握の手配をし、その後に私が訓練に参加させていただくのは

いかがでしょうか?ヘイネシア王国の皆様のお時間も、

効率的に使えるのではと思うのですが……」


「そうだな、それが良い。あとは先ほどの訓練で控えていた者達を

また待機させよ」


それを聞いていたツァイトが、ニコニコと話し出した。

「さて殿下、私の番ですよ?ソフィア閣下、訓練させていただいても

よろしいですか?」


「もちろんだ」

ソフィアは、静かに答えたのだった。


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