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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第76話 娯楽

 ソフィアは、ジョシュアがガッツリと色々なものを

削られている間、呑気にベッドの中で魔具をいじっていた。


ジョシュの気にいるもの……。何がいいかな……。


そう考えているうちに、自分がジョシュアの持ち物を

ほとんど覚えていないことに気がついた。


ん???

あれ?ジョシュの普段使っているペンは……?

あいつ、時計は持っていたっけ……?


ーーこれは、いかんな。婚約者の持ち物も知らんとは……。

そういえば、魔具もほとんど持ち歩いていない。

ジョシュの魔力があれば、必要ないのだろうけど……。


ソフィアは、ジョシュアについて考えるのも楽しいのだなと

ぼんやり思った。さて……、明日にでも観察してみよう……。


そう思いながら、夢の世界へと入っていった。



 そしてソフィアは、気がついたらジョシュアの腕の中にいた。

朝日が眩しくて、眼が開けられない……。

……暖かくて気持ちいい……。もう一眠り……。


そう思った時、自分の頬に何か柔らかいものが触れた気がした。

それは、場所を移し目元や額、こめかみ、頬に柔らかく触れていく。


ん???


ソフィアは、やっと眼を開けた。

「おはよう、ソフィ」

眼を開けると、やはりジョシュアの漆黒の瞳があった。

ああ、今日も綺麗だな。ソフィアはそう思いながら返事をする。

「おはよう、ジョシュ。もう朝か?」

ジョシュアは、柔らかな表情で答えた。

「ああ、朝だ。起きてくれ、俺の大切な閣下」

ジョシュアは、そういうとソフィアの唇を指先で撫でた。


「そうだ、今日はお前に、たくさん話があるんだぞ」

「そうなのか?」

「そうだ。だから仕事を早く終わらせよう。

魔法省の訓練も、私たちの訓練もプログラムをたてたから

大丈夫だ。あとはテオドアのスケジュールを確認してくれ。

聞きたいことが、山の様にあるのだ。あ、でも安心しろ。

仕事の話ではない」


朝から、大量にハキハキ話すソフィアを見て、

ジョシュアは面食らっていた。

「……ソフィ、……ああ、分かった……」

眼をパチクリさせて返事をしたジョシュアに、ソフィアは

笑いながら抱きついた。

「ジョシュ、浴室まで連れていってくれ」


ジョシュアは、思わず息を呑んだ。

そして、即座にリリーを思い出す。


ーー大丈夫。俺は誓いを守れる男だ!!


昨日の今日で、ぐらつく訳にはいかない。

ジョシュアは、平気なフリをしてソフィアを侍女の元へ連れていった。


今日から、湯あみを終えたソフィアの世話は自分がすると

ジョシュアは侍女達に伝えた。

何やら、プルプル震えているものもいて、面白いが放っておく。

忙しいのだ。


侍女長が、声をかけた。

「ジョシュア様、それはようございますが、

ソフィア様に慣れていただくために、時々は

私どもでお世話させてくださいませ」

「ああ、そうだな侍女長殿。それも大切なことだ。

たぶん、私が全ての時間をかけることは無理だ。

だから、必然的に侍女達に頼むことになるだろう」


ジョシュアの言葉に、侍女長は満足そうにうなずいた。

「かしこまりました、ジョシュア様」


そうして他の侍女にテキパキと指示を出していった。


湯あみを終えたソフィアを、鏡台の前に座らせ髪を乾かし、

香油で丹念にとかす。その間に、ジョシュアの魔法が

化粧を終えていた。


ソフィアは笑っていた。

「ジョシュ、便利だし楽でいいが、

普段からこの速さだと、目が覚めるか心配だ」

「大丈夫だ。その時は別の手を考える」


そう言って柔らかく笑うジョシュアに、

侍女達の身悶えは広範囲になったのだ。


ジョシュアは、日に日に色気が増していた。

別に変な意味ではなく、オーリーが言うところの

男として成熟してきたんだろうと言う色気だ。

黒髪で少し癖っ毛、黒い瞳をもつジョシュアは

元から秘密めいて見えた。

何かを真剣に考えている表情も、スッと視線を外して少し笑う時も、

女性達のウワサにのぼるには充分だった。


そして、婚約していると知りながら近寄る女性に

非情なまでに冷酷なところも。


その冷たさが良いらしい。オーリーは笑いながら

冷たいのが良いなんて、さっぱり分からんと大笑いしていた。


そんなジョシュアは、昨日の一件で

ソフィアに秘め事とは何か、しっかり教えてやると思っていた。


俺しか教えられないんだからな……!!


ソフィアが悪いわけではないが、ちょっと話す必要がある。

ジョシュアも今日は、たくさん話があるのだった。

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